2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:19:54.49 ID:U35r+UIP0

魔王「エリザベスカラーっぽいお婆ちゃん帽子オッケー!」

魔王「首巻きタオルオッケー!」

魔王「袖が落ちないカバーオッケー!」

魔王「もんぺよーし!」

魔王「地下足袋…うーん…どうせ私有地だからなぁ」

魔王「大して石も落ちてないだろうし…」

魔王「よし!裸足で行こう!」ポイポ-イ

魔王「今日は暑いからな!水田であるし気持ち良さそうだ!」





3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:21:26.46 ID:U35r+UIP0

魔王「それでは失礼して…」ソロォ

魔王「おふぅ!土もいい感じに水を吸ってねちょねちょだ!」グチョグチョ

魔王「これは期待できる!」

魔王「まずは紐と棒を繋いで…」

魔王「できた!これを田んぼの端と端に立てて…」

魔王「どうだ!これで植える目安ができたぞ!」

魔王「ちゃんと苗を植える間隔の目印つきだ!」





4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:22:29.35 ID:U35r+UIP0

魔王「苗を適当に一束ずつ取って…」

魔王「印に沿ってズブリ!」

魔王「おおぅ、この感じ…懐かしい!一年振りだ!」

魔王「おや?苗が倒れてしまった…感覚を忘れているのだな」

魔王「まあ一年振りだしな…仕方ないだろう」

魔王「まだまだ苗はたくさんあるのだからそのうち思い出すだろう!」





5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:23:18.09 ID:U35r+UIP0

魔王「とりあえず植え直して…っと、よし!」

魔王「カニ歩きで横に移動して…歩き辛い…」

魔王「また印に沿ってズブリ!」

魔王「おお!今度はうまく行ったぞ!」

魔王「この調子でいけば日暮れまでには終わるだろう!」

魔王「フハハハハ、待っていろ苗ども!すぐにお水たっぷりの天国へ送ってやるからな!」





6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:23:55.72 ID:U35r+UIP0

魔王「とりあえず一列終わったか…」

魔王「棒を刺し直すところからだが…」

魔王「反対側の端がなぁ…」

魔王「遠いなぁ…」

魔王「側近たちがいてくれれば…ハッ!」

魔王「いかんいかん!今はいない者たちのことを考えてどうする!」ブンブンッ





7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:24:29.17 ID:U35r+UIP0

魔王「さぁ、こちら側の棒を動かしたら反対側に行き、また植えるぞ!」

魔王「よいっしょっと」

魔王「待ってろ反対側の棒よ!すぐに場所を移動させてやる」バシャバシャバシャバシャ





8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:25:53.22 ID:U35r+UIP0

魔王「おう、走りにくいがこれはなかなか楽しいぞ!」バシャバシャバシャバシャ

魔王「人間たちが田植え前の水田でスポーツするのも頷けるわ!」バシャバシャバシャバシャ

魔王「はーっはっはっはっはっ!」バシャバシャバシャバシャ

にゅるんっ

魔王「!」

べちょんっ

魔王「」ドロドロ





9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:26:36.84 ID:U35r+UIP0

魔王「…こけた…」グスン

魔王「泥とは…随分滑りやすいのだな…」グスン

魔王「さらに適度な固さもある…」グスン

魔王「腹からこけたから、腹がジンジンする…」グスン

魔王「もう走らない…」グスン





10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:27:49.34 ID:U35r+UIP0

魔王「さあ、気を取り直して棒を移動させるぞ!」シャキン!

魔王「よいっしょっ…ととっ!」

魔王「泥が重たいが…これくらいどうということはない!」

魔王「さあ棒め!待っていろー!はーっはっはっはっはっ!」バシャバシャバシャバシャ





11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:32:45.30 ID:GYxFi9r/0

なんというほのぼの





12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:33:42.08 ID:U35r+UIP0

魔王「……」サクサクサクサク

魔王「……」サクサクサクサク

魔王「……」サクサクサクサク

魔王「……」サクサクサクサク

魔王「…ふぅ」ゴシゴシ





13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:34:24.61 ID:U35r+UIP0

魔王「ん?もう太陽があんなところに…」

魔王「そろそろ昼だな」

魔王「半分はできたし、午前はこんなものだろう」

魔王「とりあえず用水路で手と足の泥を落として…」バシャバシャ

魔王「そうだ、ついでに顔も洗っておこう」バシャバシャ

魔王「泥だらけでは折角の男前が台無しだからなっ!」キリッ





14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:34:54.35 ID:U35r+UIP0

魔王「んむ…」フキフキ

魔王「さあ飯だ!」

魔王「今日のご飯はシンプルにおにぎり!」バ-ン

魔王「たくあん!」ババ-ン

魔王「冷やしすまし汁!」バババ-ン

魔王「極め付けは…」

魔王「よっく冷やした麦茶!」ド-ン

魔王「いただきまーす!」





15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:35:59.32 ID:U35r+UIP0

魔王「……」モグモグ

魔王「……」モグモグ

魔王「……」モグモグ

魔王「……」モグモグ

魔王「……っ」ゴクン

魔王「…ん、…ん」ゴクゴク

魔王「ぷっはー!労働の後の飯は美味い!」





16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:36:44.49 ID:U35r+UIP0

魔王「塩加減も完璧!さすがだ!自分で作ったからよく好みがわかってる!」

魔王「焼き海苔に醤油をつけて巻くのもいいが、個人的には味海苔に醤油派だ」ムシャムシャ

魔王「塩分濃度なんて気にしない」モグモグ

魔王「すまし汁も美味しいなぁ」ズルズルズルズル

魔王「たくあんは二切れしかないからな」モグモグ

魔王「最後まで取っておくんだ」ゴクゴク





17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:39:05.42 ID:U35r+UIP0

魔王「おにぎりとすまし汁完食!お待ちかねたくあんターイム!」

魔王「あーん…」ポリッ

魔王「………」ポリポリポリポリ

魔王「………」ポリポリポリポリ

魔王「………」ポリポリゴクン

魔王「はぁ…美味いなぁ…」

魔王「いつかたくあんもつけてみたいものだ…」ヒョイ





18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:39:54.95 ID:U35r+UIP0

魔王「あーん…」ポリッ

魔王「………」ポリポリポリポリ

魔王「………」ポリポリポリポリ

魔王「………」ポリポリゴクン

魔王「はぁ…たくあんがなくなってしまった…」

魔王「いつも思うのだが、なぜ大根を漬けたらあんなまっきっきになるのだろう…?」

魔王「世の中には不思議な術もあったものだなぁ」





19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:41:23.82 ID:U35r+UIP0

魔王「おっ、いい風…」ソヨソヨ

魔王「………」ソヨソヨ

魔王「あと数ヶ月もすれば、あの苗たちは背が伸び、稲となり、米となるのだな…」ソヨソヨ

魔王「…できることなら、側近たちと共に…」ウトウト

魔王「いかんいかん!田植えの続きだ!」

魔王「動かねば昼寝してしまう!」

魔王「はっ!そうだ!」パンッ

魔王「ごちそうさまでした!」





20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:45:35.77 ID:U35r+UIP0

魔王「半分終わったとはいえ、まだニ区画あると思うと少し気が重いな…」サクサクサクサク

魔王「まあ今日中にこの区画が終れば、一区画一日でできるということだ」サクサクサクサク

魔王「そう思えば、三日。たった三日頑張るだけでいいのだ」サクサクサクサク

魔王「完成した暁には縁側で昼寝をしてやろう…」サクサクサクサク

魔王「城の縁側は高台にあるからな、田んぼの様子もよく見えるし、なにより風が気持ちいい」サクサクサクサク

魔王「ああ、楽しみだな」サクサクサクサク





21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:46:13.00 ID:U35r+UIP0

魔王「……」サクサクサクサク

魔王「……」サクサクサクサク

魔王「……」サクサクサクサク

魔王「……」サクサクサクサク

魔王「…ふぅ」ゴシゴシ

魔王「そろそろ腰が限界だな…」セノビッ

魔王「だがあと4分の1といったところか…」ン-

魔王「あともう一踏ん張りだ!やるぞ!」





22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:47:01.86 ID:U35r+UIP0

魔王「……」サクサクサクサク

魔王「……」サクサクサクサク

魔王「……」サクサクサクサク

魔王「……」サクサクサクサク

魔王「…ふぅ」ゴシゴシ

魔王「終わった…」

魔王「むっ、すっかり夕方であるな」

魔王「とりあえず用水路で手足と顔を洗って…」

魔王「はぁ」バタン





23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:47:48.58 ID:U35r+UIP0

魔王「あー…草の匂い…」ソヨソヨ

魔王「夏だなぁ…」ソヨソヨ

魔王「………」ソヨソヨ

魔王「側近…どこへ行ったんだ…」ソヨソヨ

魔王「いなくなってどれほどの時が経ったと思ってる…」ソヨソヨ

魔王「このままだと、全部植えてしまうぞ…」ソヨソヨ





24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:48:34.71 ID:U35r+UIP0

魔王「他の魔族どももだ…」ソヨソヨ

魔王「連絡もなしに…みんな一斉にいなくなってしまった…」ソヨソヨ

ーーーーーッ

魔王「なにがいけなかったのだろう…」

ーーーードッ

魔王「人間の領土に頼らない、自給自足制の導入がいけなかったのだろうか…」

ーーーッドッ

魔王「いやそもそも人間との協定がいけなかったのかもしれぬ」

ーードッドッ

魔王「しかし、あのまま戦争を続けていても、ただいたずらに民たちを傷つけるだけであったしなぁ…」ウ-ム





25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:49:24.47 ID:U35r+UIP0

ードッドッドッ
ーーオ-ーー

魔王「それとも、…あれか?勝手に闘技場を田んぼにしたからか?」

ドッドッドッドッ
ーーオ-サー

魔王「だってもう闘技場いらなかったじゃん…ほとんどかくれんぼの会場扱いだったし…」

ドッドッドッドッ
ーーオ-サマ-

魔王「にしてもさっきからこの地鳴りはなんだ?」

ドッドッドッドッ
マオ-サマ-!

魔王「西の方…人間の領土から…なにか…?」

ドッドッドッドッ
マオ-サマ-!マオ-サマ-!

魔王「…逆光で見えぬ…」

魔王「いや…あれは…!」





26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:54:01.75 ID:U35r+UIP0

側近「まおーさまー!」ドッドッドッドッ!

魔王「…!側近…!側近ではないか!」

側近「まおーさまー!」ドッドッドッドッ!

魔王「側近ー!側近ー!」タッタッタッタッ

側近「まおーさまー!あっ」ドッドッドッガウンッ!

魔王「」チ-ン





27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:54:49.28 ID:U35r+UIP0

魔王「自分で自分に蘇生術かけるとか初めてだよ…」

側近「魔王さま自ら轢かれに来たんじゃないですか」

魔王「というかその馬はなんだ、鳴き声は可愛くないし、なんだか硬いんだが…」サスサス

側近「馬じゃありませんよ、ク○タ電機製ラク○ェルです」

魔王「」





28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:55:26.58 ID:U35r+UIP0

魔王「えっ…えっ?」

側近「いわゆる自動田植機です」

魔王「えっ?」

側近「あれ?魔王さま、田植えして下さってたんですか?」

魔王「そ、そうだぞ!側近がいないから一人でだな…!」

側近「今日自動田植機に乗って帰りますと、書状を一月ほど前にお送りしたはずですが」

魔王「」





29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:56:20.99 ID:U35r+UIP0

側近「読まれてなかったんですか…」

魔王「郵便受けに入ってるものはダイレクトメールだけだと思ったんだもん…」

側近「そんなわけないでしょう…」

魔王「だっ、大体お前らが勝手にいなくなるから…!」

側近「みんなそれぞれ農業を学びに人間の領土に留学してますよ」

魔王「」





30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:57:09.34 ID:U35r+UIP0

側近「お伝えしましたでしょう?」

魔王「…!それならそれで、みんな使い魔とかで連絡をしてくれれば」

側近「人間の領土では使い魔が出せるほどの瘴気がないのをご存知で?」

魔王「」





31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:58:19.97 ID:U35r+UIP0

側近「だからみんな手紙を送ってるはずですが?」

魔王「」

側近「はぁ…それでは、とりあえず城へ帰りましょう」

側近「ほら、魔王さま」

魔王「ん?」

側近「二人乗りくらいはできるので乗ってください」

魔王「お…おう!」





32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:58:51.49 ID:U35r+UIP0

魔王「はーはっはっはっ!これはなかなかどうして。良い乗り心地ではないか!」ドッドッドッドッ!

側近「はいはい」ドッドッドッドッ!

魔王「側近!運転してみたい!」ドッドッドッドッ!

側近「あー、じゃあ明日の田植えの時にお教えしますね」ドッドッドッドッ!

魔王「よし!楽しみにしてるぞ!」ドッドッドッドッ!

側近「はいはい」ドッドッドッドッ!





33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 19:59:32.53 ID:U35r+UIP0

魔王「…!側近、田んぼを見ろ!」ドッドッドッドッ!

側近「なんですか…、あ」ドッドッドッドッ!

魔王「夕日が…反射して綺麗だな…」ドッドッドッドッ!

側近「…そうですね」ドッドッドッドッ!





34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 20:00:52.34 ID:U35r+UIP0

魔王「…よしっ!帰るぞ我が城へ!」ドッドッドッドッ!

側近「それじゃあ発進しまーす」ドッドッドッドッ!

魔王「うわっ!」ズルッ

側近「えっ?」ドッドッドッガウンッ!

魔王「」チ-ン

側近「…まあ、帰ってからの蘇生でいいか…」ヨイセッ

側近「………」ドッドッドッドッ!





魔王「田植えの季節だ!」 おしまい





35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 20:10:01.36 ID:ZCLbPTrvo

乙。
ほっこりした。





36: ◆V8hSvXiS.s:2013/06/10(月) 20:13:37.79 ID:U35r+UIP0

初めてSSを投下しました。
ほのぼのと言っていただけて嬉しかったです。
書き出したきっかけはテレビで田植え体験をした小学生のニュースを見たから。
田植え自体は一度しかしたことありませんが、魔王のように一人でやるものではないと思っています。

それでは、また稲刈りの季節にでも。





37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 20:36:57.96 ID:X1qdBZ2Wo

どうしてだろう、最近はこう「魔王が農作業」ってのに違和感が無くなってるw

魔王らしくない魔王の見過ぎかなぁ…w





38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/06/10(月) 20:59:46.34 ID:i/CJBLv4o

魔王が四輪作を実施する世の中だからな
最近はマックでバイトもするしな