花鳥風月-2ちゃんねる-

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    魔王さま

    1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/08(火) 22:26:35.49 ID:nz/DmJaUO/span>

    魔王「なかなかこれは気まずいな……」

    姫「なにをブツブツ言ってるのかしら?」

    魔王「ぬおあっ!? き、キサマ、我々の言葉がわかるのか!?」

    姫「私の側近に魔物に無駄に詳しいのがいるのよ。いつもその人の魔物話を聞くついでにあなたたちの言葉も教えられて。
      それでしゃべれるのよ、書くのは流石に無理だけどね。それより今気まずいって言ったわよね?」

    魔王「キサマら脆弱な人間にこの魔王がそのような感情を抱くわけあるまい。
       馬鹿なことを言うなら口を慎め、人間」

    姫「そうね、下等な人間は黙っておくわ」





    3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/08(火) 22:29:46.45 ID:nz/DmJaUO/span>

    五分後


    魔王「…………おい」

    姫「あら、下等生物の人間である私になにかようかしら?
      あなたと私の間で会話が弾むような話題があるとは思えないし喋るなと言われたはずだけど」

    魔王「用は無いし会話をしたいわけではない。だが、なにかこの魔王に言いたいことはないか?」

    姫「ないわね、髪の毛一本分すらないわ」

    魔王「……いやいや、たぶん今自分が置かれている状況とかに疑問はあるでしょ?」

    姫「なんなのあなたは? さては相当ヒマなのね、この立派すぎるお城の敷地に生えてる草でも抜きにいったら?」

    魔王「この魔王になんて口のきき方だ!
       あまり生意気な口は叩かない方がいいぞ。キサマら人間はこの魔王が触れただけで……ぬおあぁっ!? イタイいいぃっ!?」

    姫「私が指につけてるこの指輪、うちの賢者たちが何年もかけて魔力を込めて作った魔除けの指輪なの」





    4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/08(火) 22:32:23.90 ID:nz/DmJaUO/span>

    魔王「ぬうぅ、まさかそのようか代物をキサマが所持しているとは……」

    姫「まさかこの指輪があなたに効くとは思わなかったわ。
      私を直接さらったあなたの側近には効かなかったのに。不思議ね、あなたには効果があるなんて」

    魔王「な、なかなかやるではないか……その指輪に免じて特別にキサマにこの魔王に質問する権利をやろう」

    姫「なんなのあなた、私とお話がしたいの?」

    魔王「断じてちがうわ! ただ一つの空間に二人っきりでいるのに沈黙しかないというのが気まずいだけだ!」

    姫「無駄に声でかいわね、と言うか気まずいって言っちゃってるし」

    魔王「う、うるさいっ! いいからこの魔王に質問をするのだっ!」





    5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/08(火) 22:34:39.81 ID:nz/DmJaUO/span>

    姫「まあ私もここにいる限りはヒマだし、指輪によってあなたが私になにかするのも無理みたいだし質問してあげるわ」

    魔王「初めから素直にこの魔王の言葉にそうやって従えばいいのだ」

    姫「……まあいいわ。そうね、実のところ気になることはけっこうあるのよね。
      うちの凄腕の兵士たちをどのようにかいくぐって城に侵入したのか、とか」

    魔王「ふむふむ」

    姫「私をさらう理由もよくわからないし、勇者様と闘わないことはもっとわからないわ。
      しかも城へ攻撃するわけでもないし私を連れて魔王城に帰っちゃうし……まさかあなたロリコン!? 
      たしかに私の年齢ならまだロリと言えなくはないし……だとしたら指輪を持ってなかったら危なかったわね」

    魔王「この魔王を愚弄する気かキサマっ!? キサマごときが私の目にかなうとでも!?」
       この魔王がキサマら人間相手に抱く感情など微塵もないわ!」

    姫「さっき気まずいって言ったじゃない」





    6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/08(火) 22:36:41.87 ID:nz/DmJaUO/span>

    姫「疑問と言えばまだあるわね、今あなたと私がいる部屋よ」

    魔王「この部屋? キサマが幽閉される部屋だが、なにか問題でもあるのか?」

    姫「逆よ、問題が無さすぎるのよ」

    魔王「ならばよいではないか、いったいなにを疑問に思うことがある?」

    姫「だから問題がなさすぎることが問題なのよ。なんなのこの横たわった瞬間に全身が沈んでしまうような柔らかいベッドは?
      私の部屋より広いし、ピアノまで置いてあるわ!タンスを見てみれば素敵な服がたくさんあるし!
      シャワーまで備えられてるし棚には高級なお菓子がいっぱい並んでるし、私はお客様なの?」

    魔王「ええい! そんなに長々と喋るな、だいたい疑問に思う前に少しは自分で考えんか!」

    姫「自分が質問しろって言ったんじゃない」





    7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/08(火) 22:38:46.57 ID:nz/DmJaUO/span>

    魔王「まったく、これだから頭でっかちな人間は困るのだ」

    姫「頭の悪そうな魔王様、質問させたんだから答えなさいよ」

    魔王「 頭の悪い、だと? むぅ…………………………」

    姫「今度は急に黙ってどうしたの?」

    魔王「オレ、あんまり記憶力ないからこの羊皮紙に書いてくれ。
       明日には答えを教えてやろう、前言撤回の準備をしておけ」





    8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/08(火) 22:41:21.02 ID:nz/DmJaUO/span>

    姫「あなたって実は……」

    魔王「勘違いするなよ人間、初日から過酷な環境に置けばキサマのような箱入り娘は自殺する可能性があるからな」

    姫「今のところ幽閉されてることを除けば快適そのものなのだけど……書いたわよ、これでいいかしら?」

    魔王「たしかに受け取った。この魔王の解答をせいぜい楽しみにしているがいい、あはははははは」

    姫「……と言うか気まずいなら一緒にいなければそれですんだと思うんだけど、まあいっか。シャワー浴びて寝よう」





    9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/08(火) 22:48:32.27 ID:nz/DmJaUO/span>

    次の日


    魔王「ククククッ、待たせたなあ人間んんんっ!」

    姫「無駄にうるさい登場ね」

    魔王「今は気分がいいからなあ。特別にこの魔王への暴言も寛容関大な心で受け止めてやろう」

    姫「はいはい、それで? 私の質問の解答を教えてくれるのよね?」

    魔王「そ、それは……」





    10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/08(火) 22:51:09.15 ID:nz/DmJaUO/span>

    姫「なによ? 昨日自信たっぷりだったじゃない」

    魔王「いや、側近に話したら答えてはダメだと言われてしまってなあ……あ、オレはロリコンではないぞ?」

    姫「それは昨日聞いたわよ。
      それはそうとあなたは側近にダメ出しされただけめ私との約束を破るのね」

    魔王「人間ごときとの約束などこの魔王が守るとでも?」

    姫「私が言いたいのはそういうことじゃないわ。部下にダメ出しされることもそうだし。
      だいたい部下に答えるなって言われただけで答えないってダサいわよ?」

    魔王「……だよなあ、たしかに部下に言われたぐらいでなあ……」





    11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/08(火) 22:54:04.86 ID:nz/DmJaUO/span>

    姫「どうして側近の言葉に従うの? あなた魔王なんだから一番えらいんでしょ?」

    魔王「それは決まってるだろ、あいつがオレより賢いからだよ」

    姫「あなたバカなのね」

    魔王「なっ……またこの魔王のことをバカと言ったな! その生意気な口だけでも聞けぬように……っぬわあおおおおおぉっ、ひゃうぅっ!?」

    姫「生意気な口を叩かせないためになにをするつもりだったのかは知らないけど、指輪をつけてる私には触れることは不可能よ」

    魔王「ふ、不覚……」





    13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/08(火) 23:00:34.83 ID:nz/DmJaUO/span>

    姫「ねえ、すごくヒマよ。ヒマすぎてこのままじゃ私、化石になってしまいそう」

    魔王「哀れだな。脆弱ゆえにこの魔王に囚われヒマを持て余すとはな」

    姫「なにを言っているの? あなたがバカで私の質問に答えられないからヒマをつぶせないんでしょ?」

    魔王「なんだとキサマあぁ……ぎょ、ぎょっえええぇえぇえぇ!?」

    姫「だからあなたが私に触れるのは無理なの、いい加減学習しなさいよ」

    魔王「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬっ! もう怒ったぞ、キサマとは口をきかん!」

    姫「どうぞご自由に」





    14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/08(火) 23:04:25.83 ID:nz/DmJaUO/span>

    五分後


    姫「…………」

    魔王「……おい」

    姫「あら、なんで私の部屋にまだ魔王様がいるの? さっさと出ていったら?」

    魔王「この城の主はこの魔王だ! 出ていくならキサマが出ていけっ!」 
      
    姫「出てっていいの? じゃあ喜んで」

    魔王「あ、えっと、いや、つまりだねえ、そのだねえ、今のはいわゆる……とりあえずすまん」

    姫「バカねえ」





    15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/08(火) 23:06:23.29 ID:nz/DmJaUO/span>

    魔王「だいたい本読んでベッドに寝転がって……くつろぎすぎだろキサマ!」

    姫「やることがないのだから仕方ないじゃない」

    魔王「むうぅ……あ、そうだ! キサマに一つだけいいことを教えてやろう」

    姫「あなたのいいことが私にとってもいいことになるのかしらね」

    魔王「安心しろ、こちらにとってはあまりいい報せではない。
       勇者がパーティを組んでいよいよキサマを取り戻すために街を出たらしい」

    姫「わずか一日でパーティをそろえてもう旅に出るなんて、さすが勇者様ね」

    魔王「どうだ、なかなか良い報せだっただろう?」

    姫「たしかに良い報せだけど、魔王であるあなたがなんでそんなに得意げなの?」





    16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/08(火) 23:09:21.91 ID:nz/DmJaUO/span>

    魔王「ところでキサマはさっきからなにを読んでるのだ?」

    姫「まだ全部は読んでないけどおそらくこれ、今までの勇者様と魔王の争いの記録ね」

    魔王「……オレみないな魔王や勇者は遥か昔から何代にも渡って争いを続けているらしいからな」

    姫「いつの時代の勇者様も魔王も争い、死んで、また生き返って……延々と同じことを繰り返すのね。世の摂理、とでも言うのかしらね」

    魔王「この魔王と勇者の争いは必然だからな」

    姫「でも……」

    魔王「なんだ?」

    姫「……やっぱりいいわ。それより少し黙っていてくれないかしら?
      もしくはこの部屋から出ていってくれると助かるのだけど。私ってば本を読むときは一人がいいの」





    17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/08(火) 23:10:25.03 ID:nz/DmJaUO/span>

    魔王「ふんっ、キサマにとってはこの魔王が部屋から出て行くのが一番の望みのようだな」

    姫「おバカなあなたでも私の気持ちが汲み取れるようになったのね」

    魔王「だがこの魔王、キサマがなにか悪さをしないように見張っていなければならない……ゆえにここからは出ていかん!」

    姫「じゃあ息をする以外のことは一切しないでね。魔王様なら余裕よね?」

    魔王「お安い御用だ!」

    姫「…………」

    魔王「…………」

    魔王(切り替えが早いなあ……)





    18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/08(火) 23:11:32.71 ID:nz/DmJaUO/span>

    五分後


    魔王「うおおおおおおいっ!」

    姫「きゃああぁっ!? なんで急にスカートめくりするのよ!?」

    魔王「キサマこそなぜ二人っきりなのに沈黙を保ち続けられるのだ!? キサマには気まずいという感情はないのか!?」

    姫「あなたって妙に神経質っていうか繊細ね、私の家庭教師にそっくりだわ」

    魔王「キサマは無駄に図太いわ!」

    姫「あなたこそ私のスカートめくるなんて度胸あるわね、褒めてあげるわ」

    魔王「キサマこそなかなか可愛らしい下着だったぞ」

    姫「ありがとう」





    19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/08(火) 23:15:49.70 ID:nz/DmJaUO/span>

    姫「少しあなたたち魔物の見方が変わったわ。見方って言うか、ものの考え方っていうか」

    魔王「なんだ、唐突に」

    姫「あなたの言うとおり私は箱入り娘。だから外の世界なんてほとんど知らないわ。
      魔物も実物を見たことはほんのわずか。あとは本の中だけ」

    魔王「……」

    姫「私にとってのあなたたちは獰猛でなんの感情もない人を食らうだけの化け物だった。でも、それは案外ちがったのかも」

    魔王「勘違いも甚だしいな、人間。この魔王のように感情を持ち言語を操ることができる魔族はほとんどおらんわ」

    姫「そうなの? でもそうじゃなければ私が読んだ本たちは嘘になるものね。
      ふむふむ、また一つ賢くなったわ」





    20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/08(火) 23:21:26.49 ID:nz/DmJaUO/span>

    コンコン


    側近「失礼します、魔王様。実は勇者一行のことでお話が宰相からあるようで……」

    魔王「わかった……よかったなキサマ」
       
    姫「なにがよ?」

    魔王「これからこの魔王は仕事でこの部屋を離れる。一人で読書の時間を堪能できるぞ」

    姫「それは喜ばしいことだわ、この本はなかなか興味深いし面白いわ。でも……」

    魔王「なんだ?」

    姫「あなたとの会話もなかなか楽しいし面白いわ」

    魔王「…………やはりキサマ、図太いな。また来る、この魔王が来るまで首を長くして待っていろ」

    姫「お断りよ」





    21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/08(火) 23:22:30.11 ID:nz/DmJaUO/span>

    姫「魔王がいなくなったら急に静かになったわね。まあ彼の言ったとおり読書に集中できるのだけど……あ、側近の方、一ついいかしら?」

    側近「なんでしょうか?」

    姫「今日の私に出してくれた食事は誰が作ってくれたの?」

    側近「私ですが……」

    姫「いえ、とても素晴らしい料理だったから作った方にお礼を言おうと思って。
      あなただったのね、素敵な料理をありがとう」

    側近「いいえ、たまたま人手不足でしたので作らさせていただいただけです」

    姫「握手させてもらえないかしら? こんな素敵な料理を作る方の手に触れるなんておこがましいことかもしれないけれど」





    22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/08(火) 23:26:16.22 ID:nz/DmJaUO/span>

    側近「いえ、ありがとうございます。お褒めに預かり光栄です。グローブをつけたままで失礼ですが……」

    姫「…………」

    側近「どうしました、急に凝視なされて? 私の顔に何かついていますか?」

    姫「いいえ、べつに。だいたいあなたの顔はローブで隠れてて見えないじゃない」

    側近「……用がないようでしたら私はこれで」

    姫「ええ、夕食も楽しみにしているわ」





    23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/08(火) 23:27:21.09 ID:nz/DmJaUO/span>

    夕食前


    魔王「入るぞ」

    姫「ご遠慮くださいって言っても当然普通に入ってくるわよね」

    魔王「食事前か、あまりいいタイミングではないみたいだな」

    姫「私にとってはあなたが来た時点であまりよくないから関係ないわ……ああ、でも今回に限っては私はあなたを待っていたのかも」

    魔王「オレを待っていた?」

    姫「ええ、ちょうど私はあなたに質問したいことがあったの。質問というよりは確認っと言った方がいいかしらね」

    魔王「なんの話だ?」





    24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/08(火) 23:35:37.65 ID:nz/DmJaUO/span>

    姫「あなたに言われたとおりに私、考えてみたの。自分の疑問に対する答えを、自分なりにね」

    魔王「自分の疑問の答え?」

    姫「ずっと気になってたのよ。どうしてあなたにはこの魔除けの指輪が聞くのに、あなたの側近には効かないのか。
      だってあなたは側近さんより遥かに強い魔物でしょ?」

    魔王「そうだ、側近より間違いなくオレは強い」

    姫「そしてあなたにさえ聞くこの魔除けの指輪があなた以外の他の魔物に効かないわけがない。
      なのにあなたの側近は私に直接触れて私をさらった。ここからわかる真実はただひとつ。

       あなたの側近は人間ってことよ」

    魔王「……」





    25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/08(火) 23:36:55.68 ID:nz/DmJaUO/span>

    姫「他にも証拠やそれに近いものはあるわよ。
      この部屋にある本は全部私たちの国の言葉だったり。
      私の口に合う絶品料理を作ったり。
      あの羊皮紙に私が書いた私の国の文字を読めたり……魔王様、あなたには間違いなく私の文字は読めてないわよね?」

    魔王「よ、読めているぞ……」

    姫「嘘はつかなくていいわ、どう? 私の推理は?」

    魔王「むぅ…………」

    側近「まあ誤魔化す必要はもうないのでは、魔王様。
       どうせ遅かれ早かれ知ること、だったら早い方がいいと私は思います」

    魔王「なかなかいいタイミングだな」

    側近「夕食時だったもので」





    26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/08(火) 23:43:15.50 ID:nz/DmJaUO/span>

    姫「さて、それで誤魔化す必要っていうのはいったいなに? やっぱりなにかあるのよね?」

    側近「……」

    魔王「ここからはオレが一人で話そう。お前は他の職務につけ、説明はオレがしておく」

    側近「かしこまりました」

    魔王「そうだな、最初に言っておく。キサマの推理は正解だ。オレの側近は人間だ」

    姫「やっぱり正解だったようね。でもなぜこの魔王城に人間が? ましてあなたの側近って……」

    魔王「前にも言ったはずだ。あの側近はオレより遥かに賢い。いや、おそらくどの魔物よりも、だ」

    姫「なるほど、だからこそあなたの側近としてあの人を置いているのね」





    27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/08(火) 23:52:49.17 ID:nz/DmJaUO/span>

    魔王「キサマの昨日の疑問についでに答えておこうか。
       オレは頭が悪い、だからうまく説明できるかわからんがな」

    姫「あなたのことはなんにも知らないわ。でもバカだってことは知ってるから大丈夫よ、説明しなさい」


    魔王「じゃあ最初に言っておく。

       キサマらの国と我ら魔物は裏でつながっている」


    姫「……ど、どういうこと?」

    魔王「お前は勇者と魔王の歴史についての書籍を読んでいたな」

    姫「ええ、ヒマだったからたしかに読んでいたけど」

    魔王「それを見てなにかに気づかなかったか?」


    姫「ちょっと待って。たしか……勇者様と魔王の戦いの記録を見てみる」





    28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/09(水) 00:02:16.45 ID:nz/DmJaUO/span>



    ……XXX年、魔王と勇者激しく争う。


    ……XXX年、新たな魔王と勇者、激闘する。両者の争いにより争いにより小さな集落が滅ぶ。


    ……XXX年、魔王と勇者この世に生を受け、村を舞台に闘う。死者数百人。


    ……XXX年、魔王と勇者また復活、街で死闘を繰り広げその地を破滅に追い込む。死者数千人。


    ……XXX年、何度目の復活か不明、勇者と魔王因縁の争いにより山を二つ消滅させる。




    姫「……いくつか勇者様と魔王の争いの記録を比較してみたけどこれって……」

    魔王「なにかわかったか?」





    30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/09(水) 00:15:07.11 ID:nz/DmJaUO/span>

    姫「二人の闘いによる被害がどんどん酷くなってる……?」

    魔王「そうだ、勇者と魔王の争いは年代が新しいものほど規模が大きくなっている」

    姫「じゃあこの先、また新しい勇者様と魔王が現れ争いそれを繰り返して行ったら、これより酷いことがおきるってこと?」

    魔王「おそらく、間違いなくな。今のオレでさえも本気を出さずともキサマらの国を滅ぼすぐらいなら容易い。
       いずれは世界を滅ぼすレベルの勇者魔王が現れてもおかしくない」

    姫「勇者様と魔王の争いは繰り返すたび凄惨なものになっていく……このことに気づいたのは誰なの?」

    魔王「キサマら人間のはずだ。オレも詳しくはわからんがな」





    31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/09(水) 00:23:37.27 ID:nz/DmJaUO/span>

    魔王「そして勇者にしろオレのような魔王にしろ絶対に片方だけしか存在することはない。
       魔王が存在すれば勇者が存在し、勇者が存在すれば魔王も確実に存在する」

    姫「で、でも……たとえば勇者様が魔王を滅ぼしたとしたら、どうなるの?」

    魔王「記録によると片方が死んだ場合、もう片方もたいていなんらかの理由で十年経たないうちに死んでいる」

    姫「そ、そんな……」

    魔王「そして二人が死ねばまた数年もしないうちに両者はほとんど同じタイミングでなんらかの形で生を受けている。
       勇者と魔王の争いはこのようにして確実に起こるようになっているみたいだ」

    姫「そして争いは規模を広げる……」

    魔王「だから我々は裏で密かにつながっているのだ、世界を滅ぼさないために」

    姫「でもいずれはこのまま勇者様と魔王の新陳代謝が繰り返されて行けば世界は……」





    32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/09(水) 00:34:17.38 ID:nz/DmJaUO/span>

    魔王「そうだ、オレたちはあくまで終わりへの引き伸ばしをしているにすぎない」

    姫「でも、たとえば……あなたが今このタイミングで勇者様を襲えば確実に勝てるんじゃないの?
      そうすれば街や土地に被害を出さずにすむんじゃ……」

    魔王「それはもっともダメだ、やってはいけない」

    姫「どうして?」

    魔王「オレたちはべつに時の流れとともに強くなっているわけじゃないからだ」

    姫「意味がよくわからないわ」

    魔王「オレたちは最初から最強ってことだ。ただ力の使い方がうまくわからないってだけでな。
       勇者とオレたち魔王では力の扱い方を身体が覚えるスピードがかなりちがう、もちろんオレたち魔王の方が早い」

    姫「……」

    魔王「だが、ここでたとえばオレが今から勇者を襲ったとすればどうなるか。すでに能力はもっている、ただ潜在的なものってなだけで。
       ただ、力の使い方がわからない勇者はオレが襲えば本能で自身の力を無理やり引き出すだろう」

    姫「なんとなくわかってきたわ。つまり、能力の使い方がわからない勇者様は周りに甚大な被害をもたらす可能性があるってことね」





    33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/09(水) 00:41:57.92 ID:nz/DmJaUO/span>

    魔王「そうだ、だからこそオレたちは勇者がきちんとした成長を遂げ自分の能力をきちんと扱えるようにお膳立てしてやるわけだ」

    姫「よく勇者様と魔王の物語で魔物が弱い順に出て来たり、勇者一行が都合よく洞窟内でアイテムを手にいれたりするのも……」

    魔王「こちらとそちら側人間の協力のもと勇者がきちんと成長するためのルートをお膳立てしてやってるのだ」

    姫「あの手の物語ってなんて都合がいいのかしら、って思ってたけど実話だったのね……」

    魔王「まあオレはキサマら人間のように書物を読むなどしないからよくわからんがな」

    姫「じゃあ私をさらったのにこんな扱いをしてるのも……」

    魔王「そうだ、キサマら王族の娘はほとんどの場合勇者の旅のきっかけとしてなんらかの害を被る場合が多い。
       たしか側近が言ってたが、「姫様物語」という年代ごとの姫に関する記述があると言っていた。六割以上はキサマのようにさらわれているらしい」

    姫「それもお膳立てされてるってわけね、私のように」

    魔王「ああ、キサマが疑問に思ってた凄腕の兵士たちをかいくぐってキサマをさらうっていうのも城の中からさらってんだから楽勝ってわけだ」





    35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/09(水) 00:54:15.40 ID:nz/DmJaUO/span>

    姫「じゃああなたの側近の顔を私は知ってる可能性があるわけね」

    魔王「許してやれ、あいつも好きでやってるわけではない」

    姫「優しいのね」

    魔王「オレが生まれたときからヤツには世話になっている。そしてあいつが自分の立場に苦しんでいることも」

    姫「……って、待って。どうして?」

    魔王「なにがだ?」

    姫「どうしてあなたたちは争うの? あなたたちが戦わなければ両方とも生きていられるし被害を生むこともないわ」

    魔王「キサマら人間にとってオレが脅威である限り争わないなんてことはできないだろ?」

    姫「あっ……」

    魔王「お前たちの国のセイジカとか言う連中の中にはオレを殺すことをエサにリッコウホしたりするのだろ?」





    36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/09(水) 01:02:47.68 ID:nz/DmJaUO/span>

    姫「そうね、国民は常に魔物に怯えあなたがこの世から消えることを望んでる……」

    魔王「そして勇者はそれを望まれ、皆の希望を託されて旅へ出る。だからこそ勇者一行にはこの事実は伏せられている」

    姫「たしかに勇者様は今の話を信じるとは思えないわ。正義感の塊みたいな人だから。
      でも、どうしてあなたたちはこの話を信じる気になったの? この話は人間から聞いたのでしょ?」

    魔王「いや、未だに半信半疑なところはある。しかし、そもそもオレたち魔族の九割以上は言語を扱えない。
       オレたち魔王でさえ言語を扱えるものが出て来たのはここ千年から数百年の間みたいだしな」

    姫「うそ、意外ね……」

    魔王「感情でさえ発達していないものは多い、だから国なんて集まりはないし、ホウリツなんてものもない。
       さらにオレたちにとっては勇者以外の人間は脅威にはならない。
       さらに人間が論理的にものを考える力を身につけたのに対して、オレたち魔族の大半は本能が優先される」

    姫「そういう色々な要素が重なってあなたたちはその説を信じることができたのね」

    魔王「オレたち魔族にとっては生き延びることこそが目的であり求めていることだからな。そしてそれはオレも同じだ」

    姫「でも……」

    魔王「なんだ?」





    38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/09(水) 01:15:08.70 ID:nz/DmJaUO/span>

    姫「こんなこと私が言うのもおかしいけれど、あなたはそれでいいの?
      まるで人間に利用されているように思えるのだけど」

    魔王「そうかもな、それに魔王の行き着く先はほとんどの場合が勇者に殺されるという道だ。
       勇者と魔王では力を扱えるようになるスピードは魔王のほうが格段に上だがポテンシャルは勇者のほうが遥かに上だからな」

    姫「物語でほとんどの場合で勇者が勝つのはそのためね……」

    魔王「……なぜそんな変な顔をする?」

    姫「変な顔じゃないわよ、たぶん。
      ただこんな顔しちゃうのはなんだかやるせない気分だからよ」

    魔王「なぜだ、なぜやるせない気分にキサマがなるのだ?」

    姫「たぶんあなたの行き着く先がもう決まっているからよ。あなたは魔王だけど、でもだからってそんな……」

    魔王「オレの行き着く先は常に決まっているかもしれない。だが、オレが守るものの行く末は変えられるはずだ」

    姫「……」





    40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/09(水) 01:24:18.82 ID:nz/DmJaUO/span>

    魔王「勇者はオレを倒すことで人間たちを守るのだろう?
       ならばオレはオレの死をもって同胞たちを、そして自分たちの世界を守る、ただそれだけだ」

    姫「…………昔、こんな言い伝えを聞いたことがあるの」

    魔王「え?」

    姫「この世界は勇者と魔王の二人だけのために生まれたっていうおとぎ話。
      勇者と魔王が争うための場所として世界が生まれた。そして世界は勇者と魔王の闘いを彩る装置として空や海を生み出した。
      
      あなたたちの闘いを盛り上げるための舞台装置として山や川、街が生まれ、あなたたちのストーリーを演出するために様々なものが組み合わさっていった。
       あなたたちを中心にこの世界は作り上げられていく……そんなお話よ」

    魔王「初めて聞いたがすごい話だな」

    姫「私はこれを聞いたときふざけるなと思ったわ」

    魔王「なぜ?」





    41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/09(水) 01:32:04.79 ID:nz/DmJaUO/span>

    姫「だってそれじゃああなたや勇者様以外はただの舞台装置で人ですらないのよ?
      私はまだまだ未熟で箱入りでなにも知らない子供だけどそれでも舞台装置扱いされる覚えはないわ」

    魔王「……」

    姫「他の人だってそうよ、みんな一生懸命自分の人生を生きて輝いてる……と、まあこんな感じでそのおとぎ話に憤慨してたわ。
      でもちょっと考えが変わったわ。ほんのちょっと、だけど」

    魔王「ほお、どんなふうに?」

    姫「そんなおとぎ話を作りたくなるぐらいにあなたのような魔王や勇者様にはすごい魅力があったんだろうな、って」

    魔王「なるほどなあ、そういう考え方もあるのか」

    姫「だから! 私は私で自分の生き方を貫いてあなたたちみたいな立派な人になるつもり!」

    魔王「そうか……ならばオレはオレのやり方でオレの守るべきものを守る」

    姫「ええ、そうして」

    魔王「だから、勇者が来るまでここで幽閉されていてくれるか?」

    姫「悪いけどお断りよ」

    魔王「へ?」





    42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/09(水) 01:37:15.65 ID:nz/DmJaUO/span>

    姫「私はなにもわからないし知らなさすぎるの。だから囚われのお姫様なんてしている場合じゃない」

    魔王「……じゃあどうするんだ?」

    姫「だから、勇者様が私を迎えに来て闘いに来るまでの間にあなたの世界をできるかぎり見せて欲しい。
      私もいずれは人の上に立つ人間よ、そして私が国民を守らなければいけないときが来る。
      そして私はできるならあなたたちの世界も救いたい」

    魔王「本気で言っているのか?」

    姫「馬鹿な箱入り娘の戯言にしか聞こえないでしょうね、でもそれでもいいわ。
      真実を知った上でなにもしないでいるなんてそんなの死んでも無理だわ。
      私たちの世界とあなたたちの世界を救う道、それを探したいの」

    魔王「……まったく、とんだお姫様だなあ。普通、魔王にそんなこと言うか」

    姫「とんでもない真実を知ったんだから言動がとんでもないのは仕方ないでしょ?」





    43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/09(水) 01:40:37.02 ID:nz/DmJaUO/span>

    姫「それにあなた、雰囲気からして魔王ぽくないのよ。だから最初からさらされたのになんか怖くなかったし」

    魔王「なんだと!?」

    姫「口調も最初は頑張って「この魔王が〜」って言ってたけど今じゃすっかり崩れているし」

    魔王「これは……いや、まあたしかにオレには魔王としての風格が足りないんだろうな。
       でもそれはお前もだからな、お前にはひめとしてのなあ……」

    姫「知ってるわよ、だからそれもこれから学んでいくのよ」





    44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/09(水) 01:42:31.80 ID:nz/DmJaUO/span>

    魔王「……なんで指輪を外すんだよ」

    姫「はい」

    魔王「え?」

    姫「私たちは間違いなく敵どうしよ。でも勇者様が私を迎えに来るまではパートナーでもある。だから、はい」

    魔王「…………まさかな、このオレが人間と握手する日が来るとはな」

    ギュッ

    姫「よろしく、魔王様」

    魔王「こちらこそな、姫」



    お  わ  り





    45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/09(水) 01:44:11.33 ID:nz/DmJaUO/span>

    RPGやっててふと疑問に思ったことから生まれた話です
    ここまで見てくれた人、アドバイスをくれた方々ありがとうございました





    46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/09(水) 01:46:25.53 ID:WkiQ2LlnO

    魔王と姫のイチャラブに期待





    49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/09(水) 02:09:47.65 ID:nz/DmJaUO/span>

    すみません
    今回の話は短いですがこれで終わりです
    実はこの話の続き(って言っても千年ぐらいあとの話なんですけど)は
    もうすでにss速報VIPで書いてるんで……

    もしかしたらこの姫と魔王の話の続きはまた書くかもしれませんがこのスレではやらないので落としてください






    1:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 17:39:33 ID:2bJQiMf6

    〜毒編〜


    ゾンビ「ウバァー!」

    ゾンビの毒の息!

    勇者(毒)「ぬお!?」

    僧侶(毒)「うっ……毒状態ですか」

    戦士(毒)「へん、たかが毒くらい

    188の毒ダメージ!

    戦士(毒)「ぐっふぅ!?」

    魔法使い(毒)「え!?」

    戦士(毒)「な、なんだ!? 毒ダメージでHP満タンから8割減ったぞ!?」



    3:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 17:46:11 ID:2bJQiMf6

    僧侶(毒)「り、リフレッシュ!」パァ

    勇者「ふう……危なかったな」

    魔法使い(毒)「ちょっと! なんで単体なのよ! 早くこっちに

    184の毒ダメージ!

    魔法使い(死)「ぐへぇ!?」バタリ

    勇者「げ! 魔法使いが毒ダメージで一撃死した!」

    戦士「えーっと、毒消し草……あった、よし」

    ゾンビ「ウボォー」

    ゾンビの毒の息!

    勇者(毒)「ぬあー!」

    戦士(毒)「やめろよ!」





    5:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 17:53:47 ID:2bJQiMf6

    187の毒ダメージ!

    僧侶(死)「あひぃ」バタリ

    勇者(毒)「あー! 回復役が死んだ!」

    戦士(毒)「もう毒消し草ねえよ!」

    ゾンビ「ババババ」ベチッ

    ゾンビの攻撃! 45のダメージ!

    戦士(死)「げふっ」ドサッ

    勇者(毒)「うわー! 皆死んだ!」

    勇者(毒)「やべえ、最後にセーブしたのいつだっけ!」

    勇者(毒)「ええい、今は逃げなければ!」ダッ

    しかし、逃げられなかった!

    勇者(毒)「うそーん」





    7:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 17:57:07 ID:2bJQiMf6

    191の毒ダメージ!

    勇死「オゥフ」バタリ


    全滅した……

    Game Over





    9:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 18:03:32 ID:jCqISVbw

    皆が皆して毒をナメテルからバチが当たったんだ!
    普通の人間が毒を受けたら死ぬんだぞ!





    8:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 18:00:30 ID:2bJQiMf6

    〜沈黙編〜


    アーマービースト「グルルル」

    勇者「よし、ボス戦だ!」

    戦士「硬そうな相手だな……」

    魔法使い「だったら私の魔法の出ば

    アシストビーストA「ガルル!」キィン

    アシストビーストAのサイレントウェーブ!

    魔法使い(沈黙)「……」

    勇者「げ! 沈黙だ!」

    戦士「厄介な取り巻きがいたもんだな」





    10:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 18:07:43 ID:2bJQiMf6

    僧侶「今回復を

    アシストビーストB「グルル!」キィン

    アシストビーストBのサイレントウェーブ!

    僧侶(沈黙)「……」

    勇者「あー! 回復役が魔法使えなくなった!」

    戦士「えっとやまびこの薬……あった、ほら」

    僧侶「ふう、助かりました!」

    魔法使い(沈黙)「……」

    僧侶「お待たせしました、回ふ

    サイレントウェーブ!

    僧侶(沈黙)「……」

    勇者「またか!」

    戦士「もう薬ねえぞ!」





    11:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 18:16:44 ID:2bJQiMf6

    勇者「くっ……厳しいが俺の魔法で

    サイレントウェーブ!

    勇者(沈黙)「……」

    戦士「魔法使える人いなくなったー!」

    戦士「くそ……とにかく攻撃だ!」ガンッ

    戦士の攻撃! 9のダメージ!

    アーマービースト「……」ポリポリ

    戦士「あ、これはダメだわ」

    サイレントウェーブ!

    戦士(沈黙)「……」





    12:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 18:21:47 ID:2bJQiMf6

    勇者(沈黙)「……」ドカ

    勇者の攻撃! 6のダメージ!

    戦士(沈黙)「……」バキ

    戦士の攻撃! 11のダメージ!

    僧侶(沈黙)「……」ゴン

    僧侶の攻撃! 2のダメージ!

    魔法使い(沈黙)「……」ペチ

    魔法使いの攻撃! 1のダメージ!

    アーマービースト「……」グググ

    力を溜めている!

    勇者(沈黙)「……」

    ボス戦なので逃げることが出来ない!





    14:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 18:29:55 ID:2bJQiMf6

    アーマービースト「グルゥァオ!」ブン

    アーマービーストのなぎ払い!

    勇者に315のダメージ!
    戦士に254のダメージ!
    僧侶に368のダメージ!
    魔法使いに402のダメージ!

    3人(死)「オゥフ」バタリ

    戦士(沈黙)「……」

    アシストビーストA「ほれ」ドカ

    57のダメージ!

    戦死「オゥフ」ドサッ


    全滅した……

    Game Over





    15:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 18:37:56 ID:2bJQiMf6

    〜混乱編〜


    洞窟コウモリ「キキィ!」キィン

    洞窟コウモリの超音波!

    戦士(混乱)「ほひ?」

    勇者「うわ! 混乱だ!」

    戦士(混乱)「あ〜……ほはっはは」ブン

    戦士の攻撃! 勇者に145のダメージ!

    勇者「ぐふぅ!?」

    僧侶「今回復をしま

    超音波!

    僧侶(混乱)「はれあれ〜〜?」

    勇者「あーもう、回復しようとするときばっかり!」





    16:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 18:46:17 ID:2bJQiMf6

    僧侶「り、り、リフレっしゃ〜はは」パァ

    しかし洞窟コウモリには効果が無かった

    勇者「そっちじゃない!」

    戦士(混乱)「ん……ふふふっふひひへはへっ」

    全快の薬を使った!

    戦士のHP、MPが全回復した!

    勇者「わー! それ店売りしてない貴重な薬なんだぞ!」

    魔法使い「混乱を治す薬は……無いのか」

    魔法使い「だったら早くあいつらをやっつけな

    超音波!

    魔法使い(混乱)「ふにぃ??」

    勇者「あーもーめんどくさい!」





    17:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 18:54:07 ID:2bJQiMf6

    僧侶「そこですねぇ〜〜」ガンッ

    勇者に31のダメージ!

    勇者「いって!」

    魔法使い(混乱)「ね、ね、狙いをぉ〜つけてぇえ〜〜」キィン

    勇者「あ! バカお前

    全体爆炎魔法を唱えた!

    勇者に348のダメージ!
    戦士に390のダメージ!
    僧侶に302のダメージ!

    3人(死)「オゥフ」バタリンコ





    18:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 19:03:08 ID:2bJQiMf6

    混乱が治った!

    魔法使い「はっ!?」

    魔法使い「あれ!? なんか皆死んでる!」

    魔法使い「こ、これはやばい……」

    魔法使い「出し惜しみしてる場合じゃないわ、逃走は不確定だから全力で倒さなきゃ!」

    しかしMPが足りない!

    魔法使い「なんでぇー!」

    洞窟コウモリ「キィキィ」

    一斉攻撃!

    69のダメージ!
    74のダメージ!
    64のダメージ!
    75のダメージ!

    魔法使死「オゥフ」バター


    全滅した……

    Game Over





    19:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 19:12:57 ID:2bJQiMf6

    〜麻痺編〜


    軍隊蜂「ブブブ」ドスッ

    軍隊蜂の麻痺針!

    勇者(麻痺)「うっぐ!?」

    体が痺れて動けない!

    戦士「あのハチ、麻痺にするのか!」

    僧侶「回復しま

    麻痺針!

    僧侶(麻痺)「くぅっ」

    体が痺れて動けない!

    戦士「もういいよそのやりとり!」

    麻痺針!

    麻痺針!

    戦士(麻痺)「ぬううっぐぅ」

    魔法使い(麻痺)「うぐぅ」





    20:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 19:19:09 ID:2bJQiMf6

    体が痺れて動けない!

    勇者(麻痺)「か、確率で行動出来ないはずなのに何故一度も動けないんだ……!」

    体が痺れて動けない!

    戦士(麻痺)「確率って怖い、な」

    軍隊蜂「ブーン」

    集団突き!

    87のダメージ!
    65のダメージ!
    35のダメージ!
    68のダメージ!

    勇者(麻痺)「ちょ、ま」

    体が痺れて動けない!

    勇者(麻痺)「あーーーーもーーーーー!!!」





    21:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 19:26:42 ID:2bJQiMf6

    僧侶(麻痺)「リフレッシュ!」パァ

    麻痺が治った!

    僧侶「やっと動けますね、さあ皆さん、回復を」

    3人(死)「」チーン

    僧侶「はれー、皆死んでる!」

    軍隊蜂「ブンブンブン」

    僧侶「アカン」

    麻痺針!

    僧侶(麻痺)「ぬげぇ」

    集団突き!

    僧死「オゥフ」バタンキュー


    全滅した……

    Game Over





    31:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 20:19:03 ID:xNuOqgdk

    蜂がアシナガやスズメバチ系なら生きたまま肉団子だな…

    とか考えたらむっちゃ怖かった





    22:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 19:31:54 ID:2bJQiMf6

    〜睡眠編〜


    人食い花「ウネウネ」

    勇者「うわ、嫌な奴が来た」

    戦士「全体睡眠してくる奴だったか?」

    勇者「俺と戦士で一体、魔法使いの魔法で一体やればいけるはずだ」

    魔法使い「任せて! 火炎魔法!」キィン

    しかし攻撃は外れた!

    魔法使い「あっ」

    勇者「おぉぉーーーーいぃ!」

    人食い花「ウネッ」

    人食い花の眠りの花粉!

    勇者(睡眠)「z z Z」

    戦士(睡眠)「z z Z」

    僧侶(睡眠)「z z Z」

    魔法使い(睡眠)「z z Z」





    23:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 19:39:42 ID:2bJQiMf6

    巨大暴れ牛「ブモオオオオーーッ!!」

    新たなモンスターが乱入してきた!

    勇者(睡眠)「z z Z」

    戦士(睡眠)「z z Z」

    僧侶(睡眠)「z z Z」

    魔法使い(睡眠)「z z Z」

    巨大暴れ牛「ブフゥンッ!!」ゴッ

    巨大暴れ牛の突進!

    勇者に514のダメージ!
    戦士に467のダメージ!
    僧侶に593のダメージ!
    魔法使いに670のダメージ!

    4人(死)「オゥフ」


    全滅した……

    Game Over





    25:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 19:47:55 ID:2bJQiMf6

    〜盲目編〜


    溶岩獣「ズモモ!」ブシュー

    溶岩獣の黒煙幕!

    戦士(盲目)「ぐわっ!」

    勇者「何ぃ、盲目だと!」

    魔法使い「私の氷魔法で早めに片付けた方が

    黒煙幕!

    魔法使い(盲目)「うひゃあ!」

    魔法使いは氷結魔法を唱えた!

    しかし、攻撃は外れた!

    魔法使い(盲目)「よ、よし!」

    勇者「よしじゃない! 外してる!」





    26:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 19:55:48 ID:2bJQiMf6

    僧侶「お任せください、私の回復魔法で

    黒煙幕!

    僧侶(盲目)「あうぅ」

    僧侶はリフレッシュを唱えた!

    しかし、外れた!

    勇者「補助魔法外すって何だよ!」

    僧侶(盲目)「ど、どこですかー?」

    黒煙幕!

    勇者(盲目)「ぬああ!」





    27:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 20:02:02 ID:2bJQiMf6

    溶岩獣「グモフ!」ボン

    溶岩獣の溶岩砲!

    戦士に241のダメージ!

    戦士(盲目)「ぐっは!? 目が見えないから避けられねえ!」

    溶岩砲!

    魔法使いに309のダメージ!

    魔法使い(死)「へぶっ」バタリ

    勇者(盲目)「え? 魔法使い死んだの?」

    僧侶(盲目)「魔法使いさーん、生きてたら返事下さーい!」

    溶岩砲!

    僧侶に298のダメージ!

    僧侶(死)「はいっ」バタン

    勇者(盲目)「自分で返事してどうする!」





    28:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 20:09:22 ID:2bJQiMf6

    溶岩砲!

    戦士に252のダメージ!

    戦士(死)「ふげぇ」バタリ

    勇者(盲目)「あれ? 俺以外皆死んだ?」

    勇者(盲目)「これヤバくね? 逃げなきゃ!」ズルッ

    勇者(盲目)「ふぎっ!?」

    躓いて転んだ!

    溶岩砲!

    溶岩砲!

    死者「オゥフ」


    全滅した……

    Game Over





    29:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 20:17:03 ID:2bJQiMf6

    〜石化編〜

    メデューサ「ぬっふ」

    先手を取られた!

    勇者「げっ!」

    メデューサA「ふふふふ」キラン

    メデューサAの石化の視線!

    戦士(石化)「」

    魔法使い(石化)「」

    勇者「ちょっと、待ってよ!」

    僧侶「先手取られてるので回復も出来ませんー」





    30:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 20:17:05 ID:BoUQtzcg

    こいつら妙に楽しそうでワロタ





    32:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 20:22:44 ID:2bJQiMf6

    メデューサBの石化の視線!

    僧侶(石化)「」

    勇者「雑魚全員が全体石化してくるとかダメだろ」

    メデューサCの石化の視線!

    勇者(石化)「」


    全滅した……

    Game Over





    33:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 20:31:49 ID:2bJQiMf6

    〜即死編〜


    側近「ついにここまでやって来たか」

    側近「だが貴様たちを魔王様の下へは行かせぬ!」

    勇者「所詮は前座、さっさと倒して先へ

    側近「ズァ!」グッ

    側近の魂の掌握!

    勇者(死)「ぐふっ!?」

    即死した!

    戦士「えっ!?」

    魔法使い「嘘っ!?」

    側近「どうした、この程度で怖気付いたか」





    34:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 20:41:18 ID:2bJQiMf6

    僧侶「回復します!」パァ

    蘇生魔法を唱えた!

    勇者は復活した!

    勇者「ふう……厄介な技を使って来るな」

    戦士「だが行動回数は1ターンに一回、復活の薬もあるしいくらでも立て直しが

    側近「ふん!」ギン

    側近の死の眼光!

    戦士(死)「ふげっ」

    魔法使い(死)「あぬっ」

    即死した!

    勇者「全体即死だって!?」





    35:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 20:46:51 ID:2bJQiMf6

    魂の掌握!

    勇者(死)「えへぇ」バタリ

    僧侶「うっ……」

    側近「ふん、貴様らの実力はそんなものか」

    僧侶「くっ……ですが私は偶然にも即死無効の装備をしているのです」

    僧侶「あなたの技は私には効か

    側近「はあっ!」ゴッ

    側近のダークスラスト!

    僧侶に592のダメージ!

    死侶「オゥフ」バッタン

    側近「即死しかしないとでも思ったか」


    全滅した……

    Game Over





    36:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 20:53:40 ID:2bJQiMf6

    〜ラストバトル〜


    勇者「ついに会えたな、魔王!」

    魔王「よく来たな、勇者共」

    勇者「ふふふ……状態異常対策は万全にしてきたぜ!」

    戦士「全員が即死無効装備を装着、勇者は全状態異常無効装備をつけてる!」

    僧侶「味方の状態異常を回復する魔法は全体に効果が及ぶようになりました!」

    魔法使い「全ての状態異常を回復する道具をカンストさせて持ってきたよ!」

    勇者「もはや負ける道理は無い! 行くぞ!」





    37:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 20:59:21 ID:2bJQiMf6

    勇者「くらえ! 毒の投げナイフ!」シュッ

    戦士「麻痺の散布剤だ!」ファサ

    僧侶「睡眠の杖です!」ゴン

    魔法使い「混乱魔法!」キィン

    勇者「俺達が苦労したのなら、相手を状態異常にしたらかなり有利になるはずだ!」


    魔王「……ふふふ」

    戦士「何ぃ!」

    魔法使い「効いてない!?」

    魔王「一つ教えてやろう」

    魔王「私は全状態異常無効なのだ!」

    勇者「なんだってー!?」





    38:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 21:05:50 ID:2bJQiMf6

    魔王「ぬん!」ブォン

    魔王の暗黒の刃!

    戦士に691のダメージ!

    戦士(死)「ふぎぃ!?」

    勇者「げ! 戦士が一撃死だって!?」

    魔王「状態異常対策にこだわるあまりに、防御を軽視していたようだな」

    魔法使い「くぅっ……」

    僧侶「回復を

    魔王「さらに我は二回行動なのだぁ!」ブン

    魔王の漆黒の槍!

    僧侶に784のダメージ!

    僧侶(死)「ふぬぅぅぅん!」





    39:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 21:14:00 ID:2bJQiMf6

    魔法使い「このぉ!」キィン

    灼熱魔法を唱えた!

    魔王に107のダメージ!

    魔王「なんだそれは」

    魔法使い「あんまし効いてない……」

    魔王「ふん!」ゴッ

    魔王の破壊の槌!

    魔法使いに853のダメージ!

    魔法使い(死)「ぽっほ!」





    40:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 21:20:40 ID:2bJQiMf6

    勇者「くそっ、なんだこの強さは……」

    魔王「……装備以前の問題だな」

    魔王「レベルを上げて出直してこい!!」カッ

    魔王はオーバーロードを使った!

    勇者に999のダメージ!

    死死「オゥフ」ジュッ

    魔王「ふん、雑魚が」


    全滅した……

    ガメオベラ





    41:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 21:21:13 ID:2bJQiMf6

    おしまい。
    世界樹の迷宮をプレイするまで毒舐めてました

    見てくれた人、ありがとう





    42:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 21:26:52 ID:26ftWyIw

    そりゃアトラス製だしな…
    RPGだからこそ役割(ロール)は重要ってことだ





    43:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/25(木) 21:42:56 ID:BoUQtzcg



    普通にやりごたえがあって面白そうな設定





    44:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/26(金) 16:22:14 ID:aFFLOM3Y

    なに、レベルキャップを上げて最速で物理で殴れば良い





    45:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/26(金) 20:42:27 ID:m0Qdgf8c

    世界樹の状態異常は厄介





    1: ◆jPzZXA.GZU:2013/07/22(月) 21:23:02 ID:j.iY26UU

    側近「ええ、各方面からこのような報告があがっています。」

    大魔王「・・・我が世界の魔王は、そのようなことはしておらぬな?」

    側近「それが・・・。」

    大魔王「なんだ、言ってみろ。」

    側近「結婚すると言っています。」

    チャブ台ガッシャーン



     
    2: ◆jPzZXA.GZU:2013/07/22(月) 21:25:32 ID:j.iY26UU

    大魔王「い、い、今、何を言った、貴様は!」

    側近「で、ですから、魔王様が勇者と結婚すると宣言を・・・。」

    大魔王「な、な、何を言う!あ、あいつはま800歳、け、け、結婚など、ま、ま・・・。」

    側近「動揺しすぎです、大魔王様。」

    大魔王「ま、魔王の結婚など許さーん!!!!」





    3: ◆jPzZXA.GZU:2013/07/22(月) 21:29:52 ID:j.iY26UU

    大魔王「な、なぜこうなった!」

    側近「そ、それがですね・・・、勇者がLv1の状態のくせに、何も修行せずにノコノコと魔王城に。」

    大魔王「は?」

    側近「で、魔王様にイチコロにされた奴が、更に10回も挑んだ挙句・・・。」

    大魔王「えっと、・・・馬鹿じゃね?」

    側近「で、12回目で告白を成功させました。」





    4: ◆jPzZXA.GZU:2013/07/22(月) 21:33:58 ID:j.iY26UU

    大魔王「戦ったんじゃないのかよ!ただの告白かよ!!」

    側近「6回目ぐらいまでは、魔王様も適当にあしらっていたのですが・・・。」

    大魔王「は?」

    側近「7回目ぐらいに、Lvを2ぐらいに上げたのか、勇者の告白がストレートじゃなくなり・・・。」

    大魔王「は?」

    側近「9回目ぐらいには、優しさのある告白を。魔王様は、少しだけ傾いてしまいまして。」

    大魔王「へ?」

    側近「10回目は酷かったんですけどね。もう、こればかりは表現が出来ません。」

    大魔王「なにやってんだ・・・。」





    5:以下、名無しが深夜にお送りします:<2013/07/22(月) 21:35:03 ID:kKkBCWdA

    側近さんそのへんkwsk





    6: ◆jPzZXA.GZU:2013/07/22(月) 21:39:26 ID:j.iY26UU

    側近「というわけで、なんか急に魔王様も勇者を意識するようになりまして。」

    大魔王「別の意味での意識はずっと持って貰いたかったんだが。」

    側近「晴れて12回目のプロポーズで、魔王様が受け入れてしまい・・・。」

    大魔王「・・・わしは許さんぞ!」

    側近「ちなみに10回目のプロポーズの仕方、教えましょうか?」

    大魔王「聞きたくないが・・・簡潔に申せ。」

    側近「えっとですね・・・『ぼくは死にましぇ―ん!』って言いながら、メガンテを唱えてある意味自爆でした。ちなみに、全く魔王様には傷一つ、心一つ、動きませんでしたが。」

    大魔王「馬鹿か!」





    7: ◆jPzZXA.GZU:2013/07/22(月) 21:43:32 ID:j.iY26UU

    側近「でも、毎月1回の告白に、ついに心が動かされたようです。」

    大魔王「くっ、わしは許さんからな!」

    側近「それがですね。」

    大魔王「なに、まだあるのか?」

    側近「出来ちゃったらしいのですよ。」

    大魔王「な、何が出来たと言うんだ。」

    側近「・・・子供が。」

    大魔王「て、て、てめぇぇぇぇぇ!」

    側近「く、首を絞めないでく、ください。さ、3ヶ月だそうです。ゲホゲホ。」





    8: ◆jPzZXA.GZU:2013/07/22(月) 21:48:50 ID:j.iY26UU

    大魔王「3ヶ月!?まだあいつは800歳だぞ!」

    側近「と、年頃のお嬢様ですから・・・。」

    大魔王「だ、だが、あいつは、まだ半人前だ!半人前の癖に、子供とは生意気だ!!!」

    チャブ台ガッシャーン

    側近「ちょ、ちょっと落ち着いて下さい。そんなに何度もひっくり返されては、ご飯ならまだしも、沢庵が飛び散ってしまいます。」





    10: ◆jPzZXA.GZU:2013/07/22(月) 21:53:01 ID:j.iY26UU

    大魔王「あ、あいつは、わし一人で育てた娘だ!」

    側近「めちゃくちゃ、可愛がってましたからね。」

    大魔王「お風呂にだって、つい最近まで一緒に入っていたし!」

    側近「もう580年前のことじゃないですか。・・・ちなみに、魔王様は120歳の頃から、嫌がりだしてましたが・・・。」

    大魔王「ふ、ぐ、う、うぅぅぅ・・・魔王・・・勇者・・・殺してやる・・・。」

    側近「泣いて喜んでるんだが、怒っているんだか、どっちかにしてください。」





    11: ◆jPzZXA.GZU:2013/07/22(月) 21:56:14 ID:j.iY26UU

    大魔王「魔王はなんて言っている。」

    側近「それが・・・『パパは関係ないの!』と。」

    大魔王「な、なんだと、わしを蔑ろにする気か!」

    チャブ台ガッシャーン

    側近「ですからひっくり返さないで下さい・・・でも、本当はそんなことないと・・・あれ、大魔王様?」

    大魔王「魔王に、魔王に・・・。」

    側近「お気を確かに!!!!」





    12: ◆jPzZXA.GZU:2013/07/22(月) 22:01:03 ID:j.iY26UU

    大魔王「そ、そうだ!わしが認めないから、この結婚は許さないぞ!」

    側近「それなんですが・・・。」

    大魔王「ど、どうした。」

    側近「大魔王様が、魔王だった頃に法を持ち込まれたじゃないですか。ただ、制定が面倒だったこともあって、一部の法律を人間界からそのまま持ち込んだのもいくつかありまして。」

    大魔王「確かにそうだったが・・・それがどうした?」

    側近「それが・・・民法というのをそのまま導入していたのですが、実はこちらに結婚に関する事が定められてまして。」

    大魔王「な、何!」

    側近「それによりますと、20歳以上であれば、結婚は親の承諾がいらないようなのです。」

    大魔王「」





    13: ◆jPzZXA.GZU:2013/07/22(月) 22:03:08 ID:j.iY26UU

    側近「ですから・・・って大魔王様!」

    大魔王「・・・そ、そ、そんな法律など破ってやる!!!!!!!!」

    側近「お気を確かに!!!法律を定めたのは、大魔王様の以前からの宿願だったのですぞ!落ち着いて下され!!」





    14: ◆jPzZXA.GZU:2013/07/22(月) 22:07:02 ID:j.iY26UU

    大魔王「はぁはぁはぁ。魔王は、これからどうすると。」

    側近「いや、『パパが許さなくても結婚するから!』とは言っていますが・・・やはり、祝ってもらいたいようですよ。」

    大魔王「ふんっ。」

    側近「大魔王様。」

    大魔王「なんだ。」

    側近「お祝いに行きませんか?」

    大魔王「・・・。」

    側近「実の娘ですよ?」

    大魔王「分かっている。」

    側近「とりあえず、会ってみましょうか?」





    15: ◆jPzZXA.GZU:2013/07/22(月) 22:10:25 ID:j.iY26UU

    大魔王「むむむ。」

    側近「何がむむむですか。私も付いていきますから。(・・・じゃないと、絶対喧嘩して、死人出るからなぁ。)」

    大魔王「・・・わ、分かった。」

    側近「じゃあすぐに!」

    大魔王「仕度はまだだろう?」

    側近「それが、あとはチャブ台の周りを綺麗にするだけでして。」

    大魔王「・・・計ったな。」

    側近「えぇ、これが、魔王様にも大魔王様にもいいことですから。」

    大魔王「ふんっ。」





    16: ◆jPzZXA.GZU:2013/07/22(月) 22:14:24 ID:j.iY26UU

    側近「さぁ、出発ですよ。」

    大魔王「顔見るだけだ。・・・まだ結婚は許してないからな。」

    側近「はいはい。」

    大魔王「メガンテ唱えて死んで教会に世話になる奴など、絶対に嫁に出さないからな!」

    側近「それが・・・。」

    大魔王「ん?」

    側近「彼はメガンテを唱えて死に掛けていたそうですが、這いつくばりながら、宿舎に帰れました。さらに一眠りで大復活でした。」

    大魔王「本当に死ななかったのかよ!!!」

    END





    17: ◆jPzZXA.GZU:2013/07/22(月) 22:16:36 ID:j.iY26UU

    即行で書きました。というか、今書いているSSが、なかなか進まなくて、やけ気味にww

    「僕は死にましぇーん」ネタは、友人の告白で見たことあります。そいつと告白相手の結婚式が来月にあることを思い出して、無理矢理入れてみました。末永く爆発しろ。





    18:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 22:22:23 ID:kErVhDzY

    爆発しろ





    20:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/22(月) 22:34:56 ID:dXjjTA9I

    僕は死にましぇんの元ネタは101回目のプロポーズだろう
    爆発しろ







    1:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 21:26:53 ID:eDArRhQg

    魔王城

    「その通り、明日にも勇者が攻めてくるそうです。ですから呑気に歌など…」

    魔王「異色の集団」

    「確かに異色って報告があったな、なあ側近?」

    側近「ああ、斥候が息絶えたからそれ以上は聞けなかったが…」

    「我らを狙うグロいハゲ」

    側近「親衛隊長!貴様まで歌うな…!」

    魔王「魔界の平和を守るため」

    側近「陛下…!」

    魔王・親衛隊長「「GO!GO!Let's go!」」

    親衛隊長「輝く肉体(ボディ)」

    側近「いい加減にしろ!!」




     
    2:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 21:30:50 ID:eDArRhQg

    魔王「そう大声を出すな…続きを忘れてしまっただろう」

    側近「もう歌は結構です緊張感に欠けますので!」

    親衛隊長「固いこと言うなよ側近、あんま小難しく考えてばっかだとハゲるぜ?」

    側近「陛下を守護する貴様は、本来私以上に重く考えるべきだろうが!」

    親衛隊長「とは言っても、実際心配いらねえんじゃねえか?実績的に」

    魔王「そうだ、過去にこの居城へと辿り着いた勇者が6組、その半数が門前払い」

    親衛隊長「残る半分も、陛下が手出しするまでもなく俺らで潰した。今回もそんなもんだろどうせ」

    側近「しかし…!」

    魔王「それほどまでに心配ならば、なおのことだ…今日はゆっくりと休み英気を養え」

    親衛隊長「おうよ!明日の決戦(笑)のためにな!」

    側近「陛下…お気遣い感謝します、それでは失礼します」





    3:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 21:33:37 ID:eDArRhQg

    翌日

    「報告!東北東に生命体を確認!勇者一行を思われます!」

    側近「分かった、ご苦労。至急、門番に知らせた後、退路を確保、戦線離脱準備をせよ」

    「は!失礼します!」

    親衛隊長「きやがったな、性懲りもなく」

    魔王「うろたえることはない…平時と変わらぬ心持で待とうではないか、久方ぶりの暇つぶしを」

    側近「ふ…では座して待つとしましょう、侵入者の訪れを」

    親衛隊長「おう!」





    4:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 21:36:49 ID:eDArRhQg

    魔王「表が騒がしいな、そろそろか…」

    「っしゃあ!俺が一番乗りだぜ!」

    親衛隊長「何だ?お前が勇者か?」

    「俺は戦士!最強王、戦士様だ!!」

    「戦士さ〜ん、待って下さいよ〜」

    戦士「ちっ!もう追いついてきやがったか!だが魔王討伐の手柄は譲れないぜ!食らえ!!」

    側近「させるか!空砲!」

    戦士「うお!って何でこんな位置に窓が!?おわあーーー……」

    魔王「…何だったんだあの男は…」

    「あれ、このパーティーの切り込み隊長です、俗に言う鉄砲玉」

    親衛隊長「…そういうお前は?」

    「あ、はい、このパーティーの名目上のリーダー、勇者です、どうも」

    魔王「これが!?」

    勇者「あ、ひでえ!」





    5:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 21:41:07 ID:eDArRhQg

    親衛隊長「敵にまで謙る勇者なんざ初めて見たぜ」

    魔王「異色とはこういうことか…」

    側近「しかし、排除すべき敵には変わりありません」

    魔王「そうだ、行くぞ」

    「私たちを忘れてもらっては困ります!」

    側近「貴様ら、勇者の同行者たちか…」

    「俺らなんざ視界にも入らねえか、どうせ俺なんて…」

    「その通り!東の破戒僧!僧侶です!!」

    親衛隊長「破戒僧?んで、お前は?」

    「魔法使い…三十路の童貞だ…笑え、笑えよ…」

    親衛隊長「な〜る、揃いも揃ってこれじゃ異色って言われる訳だわ」

    勇者「俺も漏れなく色物枠!?」





    6:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 21:43:17 ID:eDArRhQg

    魔王「ふ、ちょうど良い、側近は魔法使いを、親衛隊長は僧侶を相手せよ」

    魔法使い「お前、今俺を笑ったか…?あ?」

    側近「陛下の邪魔はさせん。貴様の相手はこの私だ」

    親衛隊長「俺はお前担当らしいぜ、女相手じゃ役不足だが我慢してやるよ」

    僧侶「うふふ、ゴーレムさんか、彫刻刀の振るい甲斐があります〜」

    勇者「んー、そいで俺とあなたで大将戦ですか」

    魔王「そういうことだ、さあ、かかって来るが良い」





    7:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 21:44:45 ID:eDArRhQg

    勇者「…ええっと…」

    魔王「来ないのか?…ならば、こちらから行くぞ!」

    勇者「横巴」

    魔王「おぐ!?」

    側近「陛下!?」

    魔法使い「俺と一緒に地獄に落ちよう」

    側近「邪魔をするな…!ぐう!」

    勇者「からの送り襟締め」

    魔王「んぬー!ん!んお!…お…」

    勇者「やべ、一旦離さないと落ちるなこれ」





    8:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 21:46:25 ID:eDArRhQg

    魔王「かはっ!ひゅー、ひゅ、ごふげふ!」

    魔王(な、何だあの投げ技は!?くそ!今度は全力で引き千切ってくれるわ!)

    勇者「締め技慣れてなかったんですか?すんません加減忘れ…て!っと、危ない危ない」

    魔王「くらえ!」

    勇者「払い巻き込み」

    魔王「がふ!」

    親衛隊長「何かやべえぞ!陛下が押されてんぞ!」

    僧侶「余所見をしてる間にまた彫り物が増えましたよ」

    親衛隊長「また削られただと!?ん?B…L…?」

    勇者「からの腕絡み」

    魔王「ぐおおお!腕が!折れる折れる折れる折れる!!」

    勇者「やべ!そんな暴れたらすぐ折れちゃうじゃないですか!」





    9:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 21:47:50 ID:eDArRhQg

    魔王(またも向こうの意思で解放されたか!屈辱的な!)

    勇者「あの、関節極められてる時は下手な暴れ方しない方がいいですよ?」

    魔王(だが上体を崩せば投げられる!今度は足を払った後同じ目に遭わせてくれよう!)

    魔王「死ね勇者あああ!!何!?かわされ…!」

    勇者「燕返し」

    魔王「のわ!」

    側近「陛下!ええい!どけ童貞が!」

    親衛隊長「陛下!くっそ、こいつらが邪魔で助けに行けねえ!!」

    魔法使い「お前はいいよな…俺なんか…涙もとっくに枯れ果てた」

    僧侶「うふふ、ここでは側近×魔王が展開されてるんですか!?それとも親衛隊長×魔王ですか!?」

    勇者「からの脇固め」

    魔王「ぐあああ!!」

    側近・親衛隊長「「陛下!!」」

    僧侶「意外と側近×親衛隊長!?」





    10:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/07/31(水) 21:48:55 ID:eDArRhQg

    親衛隊長「てっめえ!陛下を離しやがれ!!」

    勇者「離したいのは山々なんですが、こちらとしては魔王さんと個人的に話したいんですよ」

    魔王「み、認める!話を聞いてやる!だから腕を離せええ!!」

    勇者「はい」

    魔王「ぐう…」

    側近・親衛隊長「「陛下!!」」

    僧侶「勇者さんって今まであんまり戦ってませんでしたけど、強いんですね!」

    勇者「取ってて良かった武道選択。やってて良かった部活の冷やかし」

    魔法使い「俺が地獄で見てきた奴らにも、こんな武道は見なかったがな…」





    13:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/01(木) 05:02:10 ID:eDArRhQg

    魔王「異世界へ渡る術を教えろだと?」

    勇者「はい、異世界、地球の日本、できれば埼玉県川越市に帰してもらいたくて」

    側近「どういうことだ、さっぱり事態が飲み込めん…」

    勇者「俺、元々この世界の人間じゃないんですよ、勝手に召喚されて勇者を強要されただけなんですよ」

    親衛隊長「ますます分かんねえぜ…おい、誰か詳しく説明してくれ」

    魔法使い「片っ端から勇者を潰され、俺たち人間は地獄に落ち…」

    僧侶「今まで12人現れたこの世界の勇者が全滅したんで、今度は違う世界から勇者を選ぶことになって、この人が召喚されました」

    側近「なるほど…して、召喚した術者は、帰還の術を知らなかったということか」

    親衛隊長「簡潔だが、漸く概要が分かったぜ!召喚術も魔術の内、魔術のことなら陛下が一番知ってるだろうってことか」

    魔法使い「…闇の住人が光を求めるなんざ、やはり間違ってたんだ…」

    勇者「いじけないで下さいよ」





    14:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/01(木) 05:06:20 ID:eDArRhQg

    魔王「結論から言おう。余には不可能だ」

    勇者「何で!?俺帰れないんですか!?」

    魔王「帰れないとまでは言っておらん、話しは最後まで聞け」

    側近「そもそも召喚術と帰還のための術では発想が異なるのだ」

    僧侶「と言うと?」

    魔王「繋げる世界も呼ぶ相手も適当でも発動するのが召喚術、対して帰還の場合、対象者を己と限定し、行き先も限定せねばならん」

    勇者「今起こったことをありのままに話すぜ…帰る方法を聞いたら魔術の原理を解説された…何を言ってるのか…」

    側近「真面目に聞く気がないなら早々に立ち去れ」





    15:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/01(木) 05:07:47 ID:eDArRhQg

    勇者「すんません、でもさっきの説明じゃちんぷんかんぷんで…」

    側近「…他者に意思を伝えるとき、かわら版を使うか、戸別訪問をするかの違いのようなものだ」

    魔法使い「かわら版は誰に読まれるか分からんが、こちらが知らない不特定の相手に書いた内容を伝えることができる」

    魔王「対して、戸別訪問は相手の家を知っている必要があり、また、訪問相手にのみ、こちらの意思を伝える形式になる」

    勇者「つまり、帰還するには帰還する場所を知ってる奴が術を使うしかない…ってことですか?」

    魔王「そうだ。お前の世界を知るのはお前だけ、なればお前が習得する他、お前が帰る術はない」

    勇者「終わった…俺魔法からっきしなのに、てか、地球人が魔法使える訳ないだろ…」

    魔王「そう悲観せずとも余が直々に教えてやる。必ず習得できるだろう」

    勇者「マジですか!?ありがとうございます!!」

    僧侶「妙に協力的になりましたね〜」

    魔王「もうこいつと戦うなど御免被る…自らこの世界を去ろうと言うならそれに越したことはない」

    親衛隊長「既にトラウマかよ…」





    16:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/01(木) 05:09:21 ID:eDArRhQg

    側近「しかしお前達こそいいのか?勇者一行が魔王の、陛下の世話になるなど」

    魔王「貴様!寝た子を起こすようなことを…!!」

    勇者「帰れるんなら別に何でもいいです、ぶっちゃけこの世界どうなっても俺知らないし!」

    僧侶「私を破門した教会に尽くす義理はありませんし、薄い本が書ければどこでも構いません」

    魔法使い「お前ら、俺の弟になれ」

    親衛隊長「何の問題もなさそうだな!安心したぜ!」

    「ぱんぱかぱーん!」

    勇者・魔王「「ん?」」

    「ぱんぱんぱんぱんぱかぱーーん!!」

    側近・僧侶「「窓から?」」

    「よっと!まだ魔王は倒されてねえみてえだな!」

    魔法使い・親衛隊長「「戦士か…」」

    戦士「お前ら、よくも窓から突き落としてくれたな!100倍にして返してやるぜ!!」





    17:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/01(木) 05:12:34 ID:eDArRhQg

    親衛隊長「させるか…!」

    戦士「遅いぜ!」

    側近「空砲…!」

    戦士「同じ手を食うか…!」

    勇者「巴投げ」

    戦士「おあ!てめえ何を…!」

    勇者「からの片羽締め」

    戦士「てめ…!この…うぐ…」

    魔法使い「初めて戦士に勝てたな…」

    僧侶「ドジ踏まなきゃ戦士さんが一番強いですからね、この中では」

    親衛隊長「マジかよ…」





    18:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/08/01(木) 05:14:11 ID:eDArRhQg

    勇者「邪魔者も落としましたし、早速帰還のための術を教えて下さい!」

    側近「陛下、ここは…」

    魔王「分かっておる!すぐにでも教えてやろう!」

    勇者「やったあ!!」

    魔王「迅速に習得し、戦士を連れてお前の世界へ行くが良い!!」

    勇者「はいもちろ…!ファ!?」

    おわり





    1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 15:14:27.90 ID:LQM/FKu60

    国王「勇者が魔王に殺された……」

    大臣「勇者様の血を込めたゴーレムを作りましょう!」

    国王「それがなんになると言う……女神様の加護を受けた勇者でさえ、魔王には敵わなかったのだぞ」

    側近「……そうか、なるほど。陛下、一考の価値はあると思います」

    大臣「魔道人形ことゴーレムであれば魔力さえ続けば疲れ知らず」

    大臣「そこに勇者様の血肉が混ざれば、不完全とは言え女神様のご加護を授かるゴーレムとなりえましょう」

    側近「まだ実験段階とは言え、対魔物用にゴーレムの研究はされています」

    側近「今しばらく時間はかかるとは思いますが……このまま手をこまねいているよりも遥かに建設的かと」

    国王「……ふむ」

    国王「そうだな、このままでは人間が滅びるのを待つだけだな」

    国王「勇者の遺体の一部だけを保管し、残りは彼女の故郷に帰らせてやるのだ」


     
    3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 15:18:08.50 ID:LQM/FKu60

    学者「陛下、ご報告いたします」

    学者「まずは現状について。試作型の動作確認が終わりました。何時でも実行できます」

    学者「性能について。魔力を動力、水を冷却水、この二つがあれば基本的には稼動し続けます」

    学者「体は土で出来ており、良質な土さえあれば自己修復が可能です」

    学者「また頭部、胸部、下腹部にそれぞれ一つずつ核となるコアが埋められており」

    学者「これさえ残っていれば、再起不能にはなりません」

    国王「一つでも破壊されたら?」

    学者「一つさえ残っていれば再生できます。無論限度や限界もありますが」

    側近「なんと……素晴らしい」





    5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 15:22:03.78 ID:LQM/FKu60

    国王「現状想定される問題点は?」

    学者「基本的な倫理などは埋め込まれていますが、やはり人間同様にはいきません」

    学者「悪党たる者が現れた際にどう行動するか、凶悪な魔物と負傷者を前にどちらを優先するか」

    学者「等々、選択を迫られる状況下においてはどうなるかが判断できません」

    側近「やはりそういった所は難しいのでしょうか」

    学者「ええ、こればかりは……旅における経験にて成長を期待するしかないですね」

    国王「学習するのか?」

    学者「完全に仕上げられない以上、そこに余地を持たす他ないですので」

    学者「とは言え、どう成長するかは全く分らないのですがね」





    6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 15:24:09.70 ID:LQM/FKu60

    魔術士「術式、準備完了です。いつでもどうぞ」

    学者「それでは始めますね」

    国王「うむ……」

    側近「……」ゴクリ

    魔術士「彼の者の血肉混ざりし……」ブツブツ

    学者「魔力安定」ポォ

    側近「ご、ゴーレムから光が」

    国王「……お、おお」





    10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 15:27:47.06 ID:LQM/FKu60

    『……コアABC正常起動、始動開始』

    『出力上昇、駆動系に伝達開始……出力30%、通常モードに移行』

    「……」パチ

    側近「!」

    「……」ムクリ

    学者「陛下……あの名前でよろしいのですね」

    国王「……うむ」

    学者「君の名前は勇者だ。理解できるかね?」

    勇者「私の名前は……勇者。了解」

    側近「凄い……感情こそ感じられないがこんな流暢に喋るなんて」





    11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 15:31:20.16 ID:LQM/FKu60

    学者「陛下、どうぞ」

    国王「う、うむ。今現在、魔王軍の猛攻の前に我々人類は劣勢に立たされている」

    国王「多くの者達が各地で奮闘をしているお陰で、大きな進行には至っていない」

    国王「だがそれも長くはもたないだろう。早急に魔王を撃破せねばなるまい」

    勇者「……」

    国王「そなたは人間ではない。魔道人形……ゴーレムであるがその体には」

    国王「人間の勇者の血肉が混ざっている。その加護はきっとそなたの助けとなるだろう」

    国王「必要であれば各地の者達の力添えを。そして魔王を倒し、帰還する事。それがそなたの任務だ」

    勇者「了解しました」





    12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 15:33:10.83 ID:LQM/FKu60

    国王「なにか質問はあるだろうか?」

    側近「陛下……流石にゴーレムから質問をさせるのは」

    勇者「……」

    勇者「人間の勇者の状況と、大衆に対する私の立ち振舞い方についての情報を求めます」

    国王「勇者は……魔王に敗れ死んでしまった。魔王の当てつけなのだろう……見るも無残な姿でここに送られてきた」

    国王「悲報は既に各地に行き渡ってしまっているだろう。そなたは飽くまで勇者の代役であり」

    国王「魔王を討つ者である、と認識してもらえばよい」

    勇者「……」





    13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 15:36:21.30 ID:LQM/FKu60

    勇者「私が人間の希望であった勇者の名を語る事は、おこがましいと思われますがよろしいのでしょうか?」

    側近「……こ、これも設定されている倫理観なのですか?」

    学者「ええ、特にこの子には人間としての道徳を大量に組み込んでいますので」

    国王「今の希望はそなただ。それでも負い目を感じるのであれば、その名に恥じぬ働きでもって自らを示せ」

    勇者「了解しました。出撃は今この時からでよろしいでしょうか?」

    国王「うむ……頼んだぞ」





    15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 15:39:53.92 ID:LQM/FKu60

    『居住地を通る魔王城へのルート検索……完了』

    勇者「……」ザッザッザッ

    『次の町まで真方位2-5-0、距離13マイル』

    勇者「……」ザッザッザッ

    『方位0-1-5、熱源確認、数5』

    勇者「……」ピタ

    「……」ガササ

    インプA「んあー? げっ! 人間!?」

    インプB「んな! ん? こいつ人間臭くないぞ?」

    インプC「ほあー……良く出来てるゴーレムじゃねーか。脅かしやがって。お使いかぁ?」





    16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 15:42:14.95 ID:LQM/FKu60

    『照合開始……魔物インプと判明、排除対象。出力上昇、戦闘モードに移行』

    勇者「……殲滅開始」ザッ

    インプD「こ、こいつ戦闘型のゴーr」ズバッ

    インプE「ふ、袋にしちm」ズルッ

    勇者「残り3」バッ

    インプA「ひっ!」

    インプB「に、逃げろ!」

    インプC「早」ブァ





    17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 15:45:16.32 ID:LQM/FKu60

    勇者「……」ヒュン パッ

    勇者「……」シャー ッチン

    『……殲滅完了。出力低下、通常モードに移行』

    勇者「……」ジッ

    インプ達「」

    勇者「……」フィ

    勇者「……」ザッザッザッ





    19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 15:48:47.11 ID:LQM/FKu60

    「おや旅人さ……お、おお?! 勇者様?!」

    「何を馬鹿な事を……勇者様は二週間前に……な!」

    勇者「私は魔王討伐を命じられたゴーレムの勇者だ」

    「あ、ああ……そうか、そうだよな」

    「にしたって……なんでゴーレムを勇者様と同じ姿に」

    勇者「……」

    『残量計測……魔力92%、水分94%、損傷無し、補給の必要無し』

    『ルート再検索中……』

    勇者「すみませんが私は先を急いでいるので」

    「ああ、引き止めてすまなかったね……」





    22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 15:51:59.32 ID:LQM/FKu60

    ゴブリン達「」

    勇者「……」ザッザッザッ

    『機動力5%低下。汚物の付着増加、洗浄を勧めます』

    勇者「……」キョロキョロ

    ゴブリン「仲間の仇ぃ!」バッ

    勇者「!」キュィン

    『出力緊急上昇』

    勇者「……」ズバン

    ゴブリン「がっ、かは……!」ドジャ

    『出力低下。現在出力30%、安定』

    勇者「……」ザッザッザッ





    23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 15:54:34.73 ID:LQM/FKu60

    勇者「……川?」サラサラサラ

    勇者「……」ザッザッザッ

    『そのままでの入水は装備の劣化を招きます。装備は汚れた箇所のみの洗浄を勧めます』

    勇者「……」ピタ

    勇者「……」

    勇者「……」ガチャガチャ

    勇者「……」パシャパシャ





    25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 15:57:11.63 ID:LQM/FKu60


    「おい……どうするんだ」ザワザワ
    「だけどもう誰も……」ザワザワ

    勇者「何か問題でもあったのだろうか?」

    「え? あれ? ええ?!」

    勇者「私はゴーレムの勇者だ。魔王を討伐の命を受けて旅をしている」

    「ご、ゴーレム?」
    「凄いな……本物の人みたいだ」

    勇者「もし何かあるようなら微力ながらも援護を行うが」

    「……この子に頼むか」
    「ええ?! し、しかし」
    「他に頼れるあてもないだろう……ここから南の山中に洞窟があるのです」
    「そこに魔物が住み着き、冒険者の方々に討伐を依頼したのですが誰一人未だに……」





    26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 16:03:05.35 ID:LQM/FKu60

    勇者「……」ソロー

    勇者「……」ピク

    『微音感知。聴覚感度最大』キュィン

    「はぁ……はぁ……」

    勇者「……」ソロリソロリ

    戦士「はぁ……ぐっ……」

    勇者「……大丈夫か?」

    戦士「うわああああ!!」ザザッ

    勇者「私はゴーレムの勇者だ。救援に来た。状況報告を求む」

    戦士「あ……ああ……救、援?」ドックドック





    27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 16:07:00.74 ID:LQM/FKu60

    戦士「PTは壊滅だ。敵の先制を食らって俺もこの様だ」

    戦士「仲間達は追撃に向かったが、少し前から戦う音が途絶えたんだ……」

    『目視スキャン……出血量軽度、損傷……胴体部軽微、脚部軽微……命に別状無し』

    勇者「私は奥に向かい敵を排除する。一人で大丈夫か?」

    戦士「どの道、俺は動けない……もし生きていたら帰りに連れて行ってくれ」

    勇者「了解」

    勇者「……」クル

    『臨戦態勢に移行……出力50%に上昇』

    勇者「……」タタッ





    29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 16:09:20.41 ID:LQM/FKu60

    魔法「ひっぐ……ぐす……誰かぁ」

    大狼「ハッグ、ハグ、ウゥゥゥ」ギチギチ

    狩人「」ガクガク

    大狼「ウゥゥ」ブチィ

    狩人「」ドザッ

    『大狼と判明。強敵判定、出力70%に上昇』キュィィン

    勇者「……」バッ

    大狼「ウル!?」





    30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 16:12:32.02 ID:LQM/FKu60

    勇者「……」ズバッ

    大狼「ギャイン! ガウガウ! グアァァ!!」バッ

    勇者「……」バッザザァ

    大狼「……グルルル」ズザァ

    『行動パターン解析中……回避に専念して下さい』

    勇者「……」

    大狼「……グルル、ガウ!」ジリ バッ

    勇者「……」バッ

    勇者「……?」





    32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 16:15:12.77 ID:LQM/FKu60

    勇者「オートモード解除」

    『解析中止……出力さらに上昇』

    勇者(避ける瞬間に隙が見えた気がする)キュィン

    『駆動系出力上昇、視覚感度上昇』

    大狼「ガアアアァ!」ザッ ダンッ

    勇者「……」バッ

    勇者「……見えた」ブォン





    33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 16:19:01.28 ID:LQM/FKu60

    大狼「カヒュー……カヒュー」

    勇者「……」スゥ ズバン

    狼首「」ゴッ ゴロン ゴロゴロ..

    魔法「……」ビクッ

    勇者「……」

    狩人「」

    『大狼絶命を確認。男性、生命反応確認できず』

    勇者「私はゴーレムの勇者だ。救援に来た。立てるか?」

    魔法「……は、はい」





    34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 16:21:15.49 ID:LQM/FKu60

    勇者「……」カツ カツ

    戦士「……魔法使い!」

    魔法「戦士! 良かった……生きていたのね」

    戦士「二人は……いや、お前が生きていただけでも奇跡だな」

    魔法「ええ……本当に。食べられる順番が最後だっただけよ」

    勇者「……二人?」

    魔法「もう一人、武道家がいたのよ……もっと奥の方で餌食になったわ」

    勇者「そうか」





    35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 16:24:20.30 ID:LQM/FKu60

    勇者「……」ザッザッ

    戦士「情けねえな……ゴーレムとは言え女の子に背負われているなんて」

    勇者「容姿においては人間の勇者を模しているだけで、身体能力は成人男性を上回る」

    魔法「……勇者様」グス

    戦士「止めろ、魔法使い。俺達が一人に頼りすぎた結果なだけだ」

    戦士「俺達が勇者様と共闘していればこんな未来でなかった可能性も……」

    戦士「だから、嘆くんじゃなくて俺達の愚かさを恨むんだ」

    勇者「……」ザッザッ





    36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 16:27:06.01 ID:LQM/FKu60

    「……そんなお二人も」
    「いや、あれだけの時間がかかって生存者がいるほうが……」
    「何という事だ……我々の所為で……」


    勇者「……」ザッ

    戦士「もう、行くのか?」

    勇者「私の任務は各地での戦闘の救援並びに魔王撃破、そして本国への帰還にある」

    勇者「この町において、これ以上の救援の必要性が感じられない」

    戦士「そうか……世話になったな。俺らは当分、この町からは出られないだろう」

    魔法「あの……死なないで、ね?」

    勇者「最大限善処しよう」ザッ





    37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 16:30:28.39 ID:LQM/FKu60

    勇者「……」ザッザッ

    行商A「……おや?」ガラガラ

    行商A「ゆ、勇者様?! まさか、そんな!」

    行商B「なにぃ?! あ、ああ……そうか勇者様の姿をしたゴーレムがいるって話だったな」

    行商C「ゴーレムってこたぁ普通の商品じゃあ買ってもらえんだろうな」

    行商C「上質ってもんでもないが魔石とかあるがどうだい?」

    行商A「おいおい、ゴーレムに商売だなんて」

    『残量計測……魔力72%、水分86%、損傷極軽微、可能であれば魔力の補給を推奨』

    勇者「魔石を見せてもらいたい」

    行商C「おう、これなんだがよ、一個これくらいの価格だか」ジャララ

    『測定開始……売価にそう魔力含有魔石を識別、赤』

    勇者「これとこれとこれを頂こう」

    行商C「まいど」





    38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 16:33:36.27 ID:LQM/FKu60

    冒険者A「ふぅ……こんな所に宿があって助かるぜ」

    冒険者B「全くだな。このまま豪雨の中を行くかと思ったぜ」

    冒険者C「しかし、こんな所に宿って危なくないのか」

    店主「用心棒を雇っているからね」

    用心棒「この辺りの魔物だったらなんとでもなるからな」

    勇者「……ん、く」グビグビ

    勇者「……っふぅ」

    『水分100%、完全補給完了』

    『天候を加味しルートを再検索中……複数個所、水辺の立ち入りが不可能を想定……』

    冒険者C「おお、例の……」

    冒険者B「本物そっくりだな」





    39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 16:36:31.09 ID:LQM/FKu60

    店主「流石の勇者様もこの雨じゃ足止めかい」

    勇者「ああ……一つ尋ねてもいいだろうか?」

    用心棒「ゴーレムの方から尋ねるなんて事あるんだな」

    勇者「何故、皆は私を勇者様という? 私は確かに勇者の名を頂いたゴーレムだ」

    勇者「しかし人間の勇者とは全くの別だ。皆、私に敬称をつける必要はないのではないだろうか?」

    冒険者A「そういえばそうだな」

    冒険者B「……俺達が弱いからかなぁ」

    勇者「?」

    用心棒「勇者様が敗れ、こうして勇者様の姿をしたゴーレムである君が魔王討伐の旅をしている」

    用心棒「結局は縋りたいのだ。たった一人に……情けない話だな」

    勇者「……」





    40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 16:39:34.40 ID:LQM/FKu60

    冒険者A「勇者様さえよければ途中まで一緒にどうでしょう?」

    勇者「?」

    冒険者B「俺らは西の都市の剣術大会に出ようと思っているんだ」

    用心棒「こんな時に大会だぁ?」

    冒険者C「こんな時だからこそだ。何でも傭兵の選考も兼ねているらしいな」

    店主「民間の人達も魔物の討伐に出ていると聞くし、場所によって魔王軍の数も桁違いなのかねぇ」

    『検索完了……ルートを提示します』

    勇者「……大会は別にしても、私もその都市を通る予定であるので同行しよう」





    42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 16:43:10.81 ID:LQM/FKu60

    翌日
    冒険者A「このくらいの雨なら行けそうだな」

    冒険者B「勇者様は大丈夫ですか?」

    勇者「この程度なら問題ない。行くぞ」

    冒険者C「抑揚はないけど……人間にしか見えないな」ヒソ

    冒険者B「全くだな」ヒソ

    『探査出力上昇、周辺探査を行います……』

    冒険者A「だいぶ道が荒れているな」

    冒険者C「これじゃ恐らく、水辺の道は使えないだろうな」





    43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 16:46:28.02 ID:LQM/FKu60

    勇者「この先の湖と川を大きく迂回するつもりだが、三人はそれでも構わないだろうか?」

    冒険者A「予期しないトラブルに巻き込まれても嫌ですしねぇ」

    冒険者B「急がば周れってやつだな」

    『方位0-2-5、距離8、熱源確認、数5』

    冒険者C「……」ピク

    冒険者A「どうした?」

    勇者「何かがいる」スッ





    44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 16:48:46.42 ID:LQM/FKu60

    オークA「人間だぁ! 襲えぇ!」ザザァ

    『戦闘モードに移行、出力上昇』キュィィン

    勇者「……」バッ ズシャァ

    オークB「ひぎゃああ!」ブシャアアア

    冒険者C「つあらあぁぁ!」フォンブォン

    オークC「ぐぬぅ!」ガギィン

    冒険者A「てやああぁぁ!」バッ

    オークA「長物など詰めればこっちのボゥっ!!」ザザッ ダシュ

    冒険者B「次ぃ!」ザッ





    46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 16:52:28.34 ID:LQM/FKu60

    オークE「グヒュー……グヒュー……」

    冒険者A「あとはそいつだけか……」

    冒険者B「つってももう放置していれば死ぬだろうけどな」

    『オークE、重度の損傷……致命傷と判定』

    勇者「……」スゥ ザッ

    冒険者A「……なにも止めを刺さなくても」

    『オークEの絶命を確認。敵戦力殲滅完了』

    勇者「私の命令は魔王を倒す事……それは魔物の殲滅にあたる事と同義である」

    勇者「生きている以上屠るだけだ」ザッ





    47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 16:54:17.79 ID:LQM/FKu60

    西の都市
    冒険者A「じゃあ俺らはここで」

    冒険者B「勇者様、お元気で」

    冒険者C「最も、各国が魔王城への進撃を考えている今、どこかでまた相見えるかもしれないがな」

    勇者「三人も達者で」ザッザッ

    冒険者A「なんていうか……怖いっていうのとは違うんだが」

    冒険者B「ああ、分るよ」

    冒険者C「俺はそうは思わんな……心が無いからこそ全てが合理と使命の上に成り立っているだけなんだろうな」





    48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 16:57:29.64 ID:LQM/FKu60

    西の都市 領主宅
    領主「ここから北に行った所に魔物達の陣営が築かれているらしい」

    領主「そこに元よりこの都市にいた傭兵部隊が殲滅に向かったが、誰一人として帰ってこないのだ」

    領主「……魔物達の殲滅を頼みたい」

    勇者「傭兵部隊の出発は何時頃だ? それとその場所までにかかる日数は?」

    領主「陣営までは四日……彼らが発ったのはもう二週間前だ」

    領主「望みは……ないだろう」

    勇者「今まで何をしていた? 対策を講じずにいたのか?」

    領主「兵を集め、守りに徹していた。地の利がこちらにあれば、彼らを迎撃した魔物と言えど陥落はできまい」





    49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 17:00:25.41 ID:LQM/FKu60

    勇者「……」ザッザッ

    『間もなく作戦区域、警戒を厳に』

    勇者「……煙、あそこか」


    「ゲッヘッヘ! 大量の餌人間のお陰で食料に困らんなぁ!」
    「ちげぇねぇ!」
    「おい、そろそろ肉切れるぜ! 後二人、どっちから絞める?!」

    勇者(生存者がいるのか……)キュィィィン

    『出力80%に上昇』

    勇者「……」ダッ





    51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 17:08:19.87 ID:LQM/FKu60

    「な、なんだこいグフゥッ!」ズシャァ
    「に、人間じゃねぇ! こいつは!」
    「か、囲めぇ! 退路をひぃ、く、来」ザンッ
    「せめてあいつらだけでも!」バッ

    勇者(生存者はそっちか)タタタ ヒュゥン

    「ひぎゃあ!」ザシャァ

    傭兵E「んん!」
    傭兵G「んー……んー……」

    勇者「ここを死守する」ザッ





    53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 17:12:34.54 ID:LQM/FKu60

    勇者「都市の領主の命で救援に来た。大丈夫か?」

    傭兵E「ゆ、勇者様……す、すまねぇ助かる! 早くこいつの手当てを」

    傭兵G「ひゅー……ひゅー……」

    勇者「……」

    『……極めて衰弱状態と判定。早急に専門の者の手当てが必要』
    『現状のスキルでは可能な手当て無し……余命二日と判定』

    勇者「彼はもうもたない」

    傭兵E「な、何言ってんだ! まだこいつは生きてんだぞ!」

    勇者「ここでできる手当てはない。都市までもたないだろう」





    54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 17:15:07.83 ID:LQM/FKu60

    傭兵E「それでも俺は諦めねぇ! 諦められるかぁ!」

    勇者「……」

    勇者「その分帰還が遅れ、お前自身の生存率を下げるぞ」

    傭兵E「それでもだ!」

    勇者「そうか、ならば私も手伝おう」

    傭兵E「え? い、いいのか? だってあんたは……」

    勇者「人々に力添えするのも命令として受けている」

    勇者「行くぞ」ザッ





    55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 17:18:18.22 ID:LQM/FKu60

    領主「なんと……」

    傭兵G「」

    傭兵E「ちくしょう……ちくしょう……」

    領主「いや、それでも生存者がいただけまだ良しとせねばならないな」

    勇者「回収できた遺品はこちらに。まだ何人もの遺品は残っていた」

    領主「ご協力、感謝します」

    勇者「ではこれで……」

    傭兵E「……待てよ」

    勇者「……」ザッザッ

    傭兵E「待てっつってんだろ」ザッ





    56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 17:21:27.59 ID:LQM/FKu60

    勇者「私としてはお前に話す事もない以上、待つ必要もないのだが」

    傭兵E「……こいつを持っていってくれ」ザッ

    勇者「? それは彼の剣ではないのか?」

    傭兵E「あんたの剣、もうボロボロだったろう」

    勇者「仲間の大切な遺品ではないのか?」

    傭兵E「だからこそだ。だからこそ……あんたに使って欲しい。こいつもきっとそう思っている」

    傭兵E「倒してくれ……魔王を。無念に終わったこいつらの仇を晴らしてくれ……」

    勇者「心得た。有り難く使わせていただく」





    57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 17:24:53.13 ID:LQM/FKu60


    魔物の群れ「」

    勇者「……」

    『残量計測……魔力68%、水分84%、損傷率9%、可能になり次第補給を推奨』

    勇者「……」ザッザッ

    勇者「?」ピタ

    『熱源を感知……人間と判定、数1、方位3-4-5、距離20』

    勇者「……」





    58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 17:27:01.87 ID:LQM/FKu60

    剣士「助かります。まさか道を見失うとは思ってもいませんでした」

    勇者「構わない。向かう先は同じだ」

    勇者「……」ピク

    『方位3-5-0、熱源を確認』

    勇者「ここで待っていろ」バッ

    剣士「ゆ、勇者様?」

    勇者「……」ザザザ

    『数2、距離18』

    「ギギギ?!」

    勇者「……」ズシャァッ





    59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 17:30:36.75 ID:LQM/FKu60

    リリリ
    剣士「あの……勇者様は何かお食べにならないのですか?」

    勇者「私は魔力と水さえあれば稼動し続けられる。食物を必要としない体だ」

    剣士「それは……寂しくありませんか?」

    勇者「私は生きているとは言い難い。所詮は魔道人形、ゴーレムに過ぎない」

    勇者「食欲と言うものはないし理解もできない」

    勇者「肉体の維持に必要な休息は取るが睡眠そのものとて必要としない」

    勇者「そもそも私には睡眠と言う機能が無い。一時的な機能停止はあるが、それはまた別物であろう」

    剣士「……」

    勇者「私は人間ではないし生きてはいない。お前がそのような顔をする必要も無い」





    60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 17:33:45.31 ID:LQM/FKu60

    剣士「か、囲まれた!」

    野犬A「ガルル!」

    野犬B「ガァウ! ガウ!」

    勇者「背中は任せる」

    剣士「は、はい!」ゴクリ

    野犬C「ガアアア!」バッ

    勇者「……」ヒュパン

    野犬C「ギャイン! キャインキャイン!」

    剣士「凄……」

    勇者「私に気を配ってどうする、くるぞ」





    61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 17:36:10.66 ID:LQM/FKu60

    勇者「……」

    『敵戦力殲滅を確認。出力通常モードに移行』

    剣士「はぁ……はぁ……なんて数だ……ゆ、勇者様!」

    勇者「なんだ?」

    『損傷率15%、稼動に問題ありませんが修復を推奨』

    剣士「今回復薬をお出しします!」ゴソゴソ

    勇者「要らない。この体は土で出来ている。体の生成に使える土以外、損傷を修復できるものはない」

    剣士「え? ええと……」

    勇者「行くぞ」ザッ





    63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 17:39:13.03 ID:LQM/FKu60

    リリリ
    勇者「明日には森を抜けられるだろう」

    剣士「あの……お怪我の方は」

    勇者「まだ行動に障害が出るほどではない」

    『周囲の土の成分解析完了。適合と判断』

    勇者「……」ザクザク

    剣士「……?」

    勇者「……」パク ジャリジャリ

    剣士「ゆ、勇者様?!」





    64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 17:42:38.50 ID:LQM/FKu60

    勇者「体の生成に適合した土を摂取し、体内で魔力と混ぜ合わせる事で修復を行うのだ」ザクザク

    勇者「これが私の体の回復方法だ。気にしないでくれ」パク

    剣士「……お辛くないのですか?」

    勇者「……」ジャリジャリ ゴクン

    勇者「昨晩話した通り私は人間ではない。倫理や道理こそあれど人間としての感覚はない」

    剣士「そう、ですか」

    剣士「じゃあ……勇者様が戦ってらっしゃるのは……」

    勇者「私はその為に作られ、そう命令されたからだ。それ以外に何も無い」





    66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 17:46:19.94 ID:LQM/FKu60

    勇者「……」ザッザッ

    剣士「ああ……久しぶりに平地を見るなぁ」

    勇者「次の町は明日の昼頃、その先の都市には後五日といったところか」

    勇者「お前は都市の方から北に向かうのだったな?」

    剣士「ええ……」

    勇者「ならば後五日ほどの旅だな」

    剣士「……」





    67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 17:49:43.36 ID:LQM/FKu60

    宿
    剣士「……」ドキドキ

    勇者「どうした?」フキフキ

    剣士「あの……以前、倫理や道徳はあると仰ってましたが……その」

    勇者「私はゴーレムだ。お前は人形を相手に欲情をするのか?」

    剣士「……」

    勇者「折角、安全なところで休めるのだ。私は横になるぞ」

    『休息モードに移行……3,2,1……』

    勇者「……すぅ……すぅ」

    剣士「勇者様……」





    69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 17:51:44.68 ID:LQM/FKu60

    剣士「え? 街道に魔物?」

    店主「何でも大きな魔物がいて交易が止まっちまっているそうだ」

    勇者「丁度向かう所だな」

    剣士「戦うのですか?」

    勇者「それが私に下されている命令だ」

    勇者「仮にその魔物に勝てないようなら、そもそも私は与えられた命令を遂行出来ない事を意味している」

    勇者「であるならば、回避する必要性が無い」

    剣士「……」





    70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 17:54:28.55 ID:LQM/FKu60

    大猪「フゴーッ! フゴー!」ドドド

    勇者「ぐ……」ガガガガ

    剣士「てりゃあああ!」ザン

    大猪「フーッ! フーッ!」

    剣士「毛が厚すぎて刃が通っていない……!」

    大猪「フゴー!」ザザ

    勇者「お前の相手は私だ!」ヒュンスザン

    勇者「く……」フラ

    『損傷率21%、支障発生、体勢バランス以上、出力64%にダウン』





    73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 17:57:20.08 ID:LQM/FKu60

    大猪「フゴーッ!!」ダダダ

    剣士「くっ!」ビク

    勇者「!」

    剣士(……覚悟を決めろ!)

    剣士「うおおおおおお!!」

    『コアマニュアル稼動、出力90%に上昇』キィィィン

    勇者「たあああ!!」バッ

    大猪「?!」

    剣士「勇者さ」





    74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 18:00:36.86 ID:LQM/FKu60

    大猪「」

    剣士「勇者様! 勇者様!」

    『損傷率34%、右脚部損傷甚大、左椀部損傷重度、早急に修復して下さい』

    『コア損傷修復完了。出力安定、稼動に問題なし』

    勇者「機能停止に至らないが損傷が激しい。すまないが負ぶって行ってくれないか」

    剣士「は、はい!」

    勇者「すまない」

    剣士「いえ……お気になさらないでください」





    75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 18:03:36.08 ID:LQM/FKu60

    勇者「……」ユッサユッサ

    剣士「……」ザッザッ

    『周囲の地層解析完了。粘土質を多く含んでいます。応急処置としてこれで修復を推奨』

    勇者「すまないが下ろしてくれ」

    剣士「え? は、はい」

    勇者「……」ザックザック

    剣士「ここら辺の土も?」

    勇者「粘土を多く含んでいるから、応急処置に使えるだけだ」コネ コネ

    剣士「?」





    76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 18:06:11.35 ID:LQM/FKu60

    勇者「粘土質だらけのこの土を、本体として使うには難しい」ペタペタ

    勇者「だからこれを直接損傷箇所に補填し、魔力を通して一時的に体として動かす」ペタペタ

    『魔力伝達開始……修復部位硬化開始』

    勇者「都市に着き次第、石材や土を購入して修復を行う」シュゥゥゥ

    剣士(体が土色のままだ……普通のゴーレムみたいだ)

    『硬化完了。行動可能』

    勇者「あまり戦闘はできないがしばらくは自力で動ける。早いところ都市に向かうぞ」





    78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 18:10:04.55 ID:LQM/FKu60

    都市
    勇者「……」モリモリ ゴクン

    『容量90%。補給を一時中断して下さい』

    勇者「一先ず、しばらく安静にして様子を見るしかないな」ボフッ

    剣士「……」

    『身体の再構築を開始。休息モードに移行しますか?』

    勇者「……? どうかしたか?」

    『休息モードへの移行、スタンバイ中……』

    剣士「あの……ここで別れる事を前提にした旅でしたが」

    剣士「この先も付いて行っては駄目でしょうか?」





    79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 18:12:52.25 ID:LQM/FKu60

    勇者「お前にはお前の目的が合ってここまで来たのではないのか?」

    剣士「大層な目的ではありませんよ……今はその、勇者様と共にいたいんです」

    勇者「……」

    『現状の剣士の能力値から魔王討伐に至る生還する確率を試算中……0%と判定』

    勇者「お前ではこの先の戦いで命を落とす事になるぞ」

    剣士「それでも構いません!」

    勇者「理解が出来ない。何故だ?」

    勇者「人間には極稀に自殺願望を持つ者がいると聞くが、お前がそれにあたるのか?」

    剣士「違います。俺は……俺は、勇者様の事が……好きなんです!」





    80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 18:16:12.76 ID:LQM/FKu60

    勇者「……」

    剣士「勿論、貴女にはそんな感情も無いし、理解されない事は分っています」

    剣士「人間で無い事も分かっています。それでも俺は貴女の事を愛しているのです!」

    勇者「……ありがとう」

    剣士「勇者様……」

    勇者「と、言うべきなのだろうか。正直、お前に対してどう反応してやればいいか分からない」

    勇者「ただ、お前の気持ちが好意的であるのは分かる。そしてそれが本来は人間に向けられる事も」

    勇者「だから感謝しよう」





    81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 18:18:15.19 ID:LQM/FKu60

    勇者「この先の同行はお前に死ぬ覚悟があるならば付いて来るといい」

    剣士「……!」

    勇者「だがもう一度言うが、お前が必ず死ぬ事になる。その事を努々忘れずもう一度考えろ」

    勇者「私は少し休む」

    剣士「はい! 勇者様!」

    『休息モードに移行を開始……』

    勇者(愛している、か。愛しているとは、何なのだろうか?)

    『3,2,1……』





    83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 18:21:30.15 ID:LQM/FKu60

    『魔力96%、水分99%、損傷率0%。補給の必要なし』

    勇者「ここからは魔王城があるとされる西の山に向かう」

    勇者「用心してかかれ」

    剣士「はい!」


    剣士「しかし……険しい所ですね」

    勇者「今ならまだ戻れるぞ」

    剣士「いえ! 最後までお供させて頂きます!」





    85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 18:26:20.16 ID:LQM/FKu60

    パチパチ
    勇者「お前ならそれなりに魔物の討伐もできただろう」

    勇者「都市で傭兵として、周囲の町を守るという生き方もあっただろう」

    剣士「俺は勇者様の力になりたいんですよ」

    勇者「町に残り町の人々を守る。それもまた、私にとっては大きな力添えだ」

    勇者「人間にとっては、共にある事が力添えの全てなのだろうか?」

    剣士「いえ……相手を信じて託すのも立派な事です。でも勇者様はずっと一人だったのでしょう?」

    剣士「なら、俺は残る側でなく、付いていく側になって力になりたいんです」

    勇者「そうか」





    87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 18:31:37.70 ID:LQM/FKu60

    勇者「右に3」ザザ

    剣士「てやああああ!!」ズザン

    『左斜め後方よりオーク、二体接近』

    オークB「グオオオオ!」ブォン

    勇者「……」ヒラリ

    勇者「……」ヒュン

    オークB「ガアアアア!」ズシャア

    オークA「くそおおお!」ブン

    勇者「……」ギィィン

    勇者「……」ギィン ザン





    88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 18:33:18.65 ID:LQM/FKu60

    剣士「はあ……はあ……」

    勇者「大丈夫か?」

    剣士「きついですけどもまだ……いけます!」

    勇者「そうか」フィ

    剣士「何を見て……あ」

    勇者「随分と標高が高くなってきた。私は大丈夫だが、お前は息が苦しくなるだろう」

    勇者「一層警戒し、油断をするな」

    剣士「……はい」ゴクリ





    90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 18:36:25.59 ID:LQM/FKu60

    ハイオーク「コヒュー……コヒュー……」

    勇者「……」シュバン

    『ハイオーク絶命を確認。魔力87%、水分91%、損傷率6%』

    勇者「剣士……」

    剣士「ぜぇ……ぜぇ……」

    『剣士、内臓損傷、右脚部中度。即座に専門の者の手当てが必要』

    勇者「私の体ならいくらでも修復できるというのに、何故庇ったのだ」

    剣士「はは……好きな、女性……ですから」

    勇者「私は人間ではないのだぞ」

    剣士「惚れた……弱み、というやつですかね」





    91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 18:41:20.53 ID:LQM/FKu60

    剣士「勇者様……これを」スッ

    勇者「これは?」

    剣士「爆薬、です。爆破魔法を、物理的に……ゴホッ! ゴホッ!」

    剣士「せめて、敵を道連れにと、思いましたが……それも、できやしませんで……」

    勇者「……有り難く頂戴していく」

    剣士「……はい」





    92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 18:42:44.92 ID:LQM/FKu60

    勇者「お前の剣も持っていって良いだろうか?」

    剣士「……! はい、連れて行って、下さい……」

    勇者「……すまない」

    剣士「いいん、です。俺が、望んだ……ゴホッ! ゴホッ! ぐ、がっ……」

    『血液が呼吸器官に浸入したものと判定』

    勇者「今、楽にしてやる」

    剣士「ゴハッ! ガハッ! ……ひゅー……ひゅー」

    勇者「……すまない」スゥ

    剣士「ひゅー……ひゅー……」ニコ





    95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 18:45:44.07 ID:LQM/FKu60

    勇者「……」ズシャァ

    『敵戦力殲滅を確認。魔力81%、水分85%、損傷率16%』
    『周囲の土壌解析完了。適合と判断』

    勇者「……」ジャリジャリ ゴクン

    勇者「……」ジャリジャリ ゴクン

    勇者「……」スック

    勇者「……」ザッザッ





    96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 18:48:22.04 ID:LQM/FKu60

    勇者「ぐ……は……」ドザ

    『アークデーモン絶命を確認』
    『コアA損傷……修復モードに移行』

    勇者「はぁ……ふぅ……」

    『魔力72%、水分81%、損傷率14%』
    『身体の負荷増大……休息モードに移行……』

    勇者「……はぁ」

    『3,2,1……』





    98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 18:52:01.67 ID:LQM/FKu60

    魔王城
    勇者「……」ザッザッ

    門番「……」ズドォン

    勇者「……」スラァン

    門番「ゴアアアア!」ドォォン

    『解析完了、地獄の門番と判明。強敵判定』

    勇者「……」ザザ

    『出力80%に上昇』

    勇者「……」ダッ

    門番「ゴアアアア!」ドゴッ

    勇者「ぐぅ!」

    『損傷率14%、駆動系、身体内部、損傷』





    99:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 18:54:26.58 ID:LQM/FKu60

    門番「」

    勇者「……」シュウゥ

    『魔力59%、水分68%、損傷率19%』
    『身体の修復を行います』


    『魔力51%、水分59%、損傷率6%、起動します』

    勇者「……」ムク

    勇者「……」ザッザッ





    101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 18:57:18.36 ID:LQM/FKu60

    勇者「……」ザッザッ

    『巨大な魔力を感知……現在、魔力42%、水分57%、損傷率8%』

    勇者「……」ザッザッ

    『撤退を推奨』

    勇者「……」ギィ

    魔王「よもや……ゴーレム如きに我が軍が退けられるとはな」

    魔王「いや、ゴーレムだからこそか」





    102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 19:00:45.77 ID:LQM/FKu60

    勇者「……」スラァン

    魔王「ゴーレムとは厄介なものだな。魔族や人間と違い意思が無い」

    魔王「それ故に合理性と命令のみを忠実にこなす意志だけを持つ……懐柔の余地がない」

    勇者「御託は終わりだ。散っていった数多の命の為にも、ここでお前を討つ」

    魔王「数多の命、それはこちらも同様だ。そしてお前さえ倒せば人間は墜ちる」スック

    魔王「人形如きがこの我に敵うと思うなよ」キィィィン

    魔王「滅びよ、人間の希望よ!」ドゥ





    103:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 19:03:57.60 ID:LQM/FKu60

    『出力90%に上昇』キィィィン

    勇者「最大出力」バッ ズザァァ

    『マニュアルモードに移行、最大出力』

    魔王「避けるか! 流石だ!」ボッボボッ

    勇者「……」ザザッ ドドン

    勇者「……ぐ」ッドン

    『損傷率4%上昇』

    魔王「加護による魔法耐性か……しかし、避けられん火炎ならどうだ」ゴァァァァ

    勇者「魔力開放」ダダダ

    『魔力開放、前方に障壁を展開』

    勇者「……」ジュァァァ

    『障壁、急速に飽和。崩壊まで5秒』

    勇者「強い……だが」バッ





    104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 19:06:33.23 ID:LQM/FKu60

    勇者「……」ボゥゥズザァァ

    魔王「炎を抜けてきた?! ぐぅ、ならば!」バチ バチィ

    勇者「ぐあああ!」ジジ バヂヂヂ

    『魔力35%、危険です』

    勇者「……」ドザッ

    魔王「……ふむ、所詮はゴーr」

    勇者「……」バッ ヒュン

    魔王「ぐお!?」ザシュ





    106:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 19:10:02.75 ID:LQM/FKu60

    『敵戦力、攻撃範囲内に捕捉』

    勇者「……」キィンギィン

    魔王「ぐ、く!」ギィィン

    魔王(パワー勝負で向こうに分があるか……ならば)キィィン

    魔王「燃えろ!!」ゴァァァ

    勇者「……」ジュァァァ

    『魔力30%を切りました。出力を』

    勇者「下げるな。押し切る」ググ

    魔王「……くっ!」ググ





    107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 19:13:31.31 ID:LQM/FKu60

    勇者「……」ギィン

    魔王「しまっ」カァァン

    『身体の負荷急増、危険です』

    勇者「この好機を」ダッ

    魔王「ぬう!」

    勇者「……」ブァ

    魔王「ぐあああああ!」ザシュゥ





    108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 19:16:50.41 ID:LQM/FKu60

    『魔力26%、水分39%、損傷率23%』

    勇者「はぁ……はぁ……」

    『魔王、左肩より胸部にかけて深い傷、致命傷と判断。生命反応有り』

    勇者「……ふう」スゥ

    『出力40%に低下、止めを刺してください』

    魔王「……」ギラッ

    魔王「はあ!」ビュッ

    勇者「!」

    勇者(せめて剣を盾に)スッ

    勇者「こふっ」ドシュッ





    113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 19:33:53.27 ID:LQM/FKu60

    『コアB破損、危険です、退避して下さい」

    勇者「ぐ……」ドザ ガラン

    魔王「ふん……どうやら貴様は貴様に組まれたデータを元に判断しているのだな」

    魔王「我がこの傷程度で動けなくなる致命傷足り得ると思ったか」

    『出力上昇、現状65%が最大値』

    勇者「……」ググ

    魔王「どうやらお前の動力部、いや重要機関が損傷したようだな。更には剣も折れた今、攻撃の術とて無かろう」キィィン

    勇者「……」バッ

    魔王「甘い!」カッ ドドン





    115:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 19:36:44.81 ID:LQM/FKu60

    勇者「くぅ……」ドザ

    『右眼部損傷、コアA損傷、出力50%に低下』

    魔王「人間よりかは頑丈であったが……ここまでだな」

    『コアAより魔力流出、魔力20%を切ります』

    勇者「! 障壁展開!」

    魔王「この期に及んで時間稼ぎか? だがも」キィィン

    『流出魔力を障壁化開始……』

    勇者「……剣士」スラァン バッ

    魔王「な!?」ドズッ





    116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 19:40:06.71 ID:LQM/FKu60

    魔王「うぐうう!」ボタタ

    魔王(ま、不味い、溜めた魔力が……もう一度集めなおさねば)シュウウ

    『障壁形成完了』

    勇者「剣士……お前のお陰で最高の道連れができる」シュ

    魔王「な、なんだそれは?」ジジ

    勇者「任務、失敗」ジジジ ジ

    魔王「ま、まさか、貴」カッ





    117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 19:42:45.28 ID:LQM/FKu60

    ゴゴ ゴゴゴゴゴ
    土塊「」ガラガラ

    魔王「ぐ……おのれ、自決など」ゴゴガガ

    魔王「ここから、脱出せね」ゴアアアア ドッ

    土塊「」ゴゴゴゴ

    土塊「」ドゴッ ドガガガ  ゴシャァ





    121:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 19:50:57.53 ID:LQM/FKu60

    ……

    …………

    ………………



    『コアC再起動。最優先修復モードに移行』

    『周囲に高濃度の魔力を感知。大気中の魔力吸収を開始』

    『コアA損傷重度、修復開始。コアB完全破損……修復不可』





    127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 20:00:47.34 ID:LQM/FKu60

    『駆動系応急修復完了……コアA、C機能異常。出力上昇』

    『駆動系に伝達開始……出力20%、省エネモードに移行』

    勇者「……」パチ

    勇者「あれで、生きていられるのか」ムク

    『魔力34%、水分45%、損傷率24%』

    勇者「……何故」

    『魔王死亡時に大量の魔力を感知、これを吸収。また戦闘より二ヶ月経過』

    『この感の雨天時に水分を補給』

    『コア異常、これ以上外部魔力物質による補給が行えません』

    『それに伴いこれ以上の身体修復不可。左椀部損失、各駆動系に損害有り』





    129:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 20:03:34.80 ID:LQM/FKu60

    『魔力31%、水分41%、損傷率25%』

    勇者「……」

    墓「」

    勇者「……お前のお陰で打ち勝てた」

    勇者「ありがとう。出来ればお前に直接会って伝えたかった」

    勇者「この私の思考は、恋に至らずとも心と呼べるものなのだろうか」

    勇者「死者に届くはずの無い思いを伝えるという行動は」

    勇者「単に私が壊れかけているからなのだろうか? 剣士、お前はどう思う?」





    130:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 20:06:34.21 ID:LQM/FKu60

    『魔力26%、水分29%、損傷率27%、駆動系の負荷が増大』

    勇者(どう足掻いても帰還まで魔力も体ももたない)

    勇者(そもそも体を形成するのに必要な魔力量は)

    『10%を切ると身体の崩壊が始まります』

    勇者「……」

    『現状より最短ルート上で到達可能な位置を計、けい、けけけいさ……』

    勇者「……」

    『……』

    勇者「そうか、お前ももう限界か」





    132:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 20:09:26.27 ID:LQM/FKu60

    『検索完了……最短ルートを提示します』

    勇者「?」

    勇者「王都ではない。何処だ、これは?」

    勇者「村、いや町か?」

    勇者「……」

    勇者「どの道、この体で行き着ける場所であるのならば」ザ

    勇者「……」ザ ザ





    134:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 20:12:21.24 ID:LQM/FKu60

    『魔力13%、水分14%、損傷率32%、右脚部駆動系に甚大な損傷』

    勇者「……」ザ ザ

    勇者「……」ザ ザ

    『右脚部駆動系に致命的な損傷、損傷率39%』

    勇者「……」ビシ

    勇者「……」ドザァ

    勇者「……」ズル ズル





    136:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 20:16:16.74 ID:LQM/FKu60

    『魔力11%、水分9%、損傷率46%、現在、目的地周辺』

    勇者「……?」

    勇者「ただの町だな」

    『詳細ナビゲート、方位0-4-0、距離30』

    勇者「何があるというのだ?」ズル ズル


    墓「」

    勇者「……」

    『目的地に到着』

    勇者「『我らの英雄、勇者ここに眠る』」





    137:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 20:18:46.63 ID:LQM/FKu60

    『魔力9%、水分6%、損傷率50%、身体の崩壊が始まりました』

    勇者「ここは人間の勇者の……ここが故郷なのか。しかし何故」ズ ボロ

    『右腕部脱落』

    勇者「そうか……この体にもお前の一部がいたのだな」ボロボロ

    『左眼部、右頬脱落』

    勇者「今こそ返そう。そして私も土に」ボロビシビシ

    『身体維持、不能、機、能停』



    魔王は討たれ世界に平和が訪れた。が、その英雄が凱旋する事は無かったという。
    ただ、何時の頃か。とある町の英雄の墓が、二つになっていたという。


    国王「勇者が魔王に殺された……」大臣「勇者様の血を込めたゴーレムを作りましょう!」   終





    138:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 20:20:49.57 ID:oJH2H3MK0

    おつかれ





    139:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 20:23:13.27 ID:ez5tdR120

    おっつー





    140:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 20:26:46.29 ID:1XZE3YZzO

    おつ、テンポ良かった
    最期の目的地剣士の骸のとこかと思ったが外れた





    141:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/25(木) 20:29:23.50 ID:fWqi3vcoP

    よかった、乙





    1:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/14(金) 22:25:21 ID:xqlETJsU

     狭間の世界。

    悪魔「おーっす」

    天使「きたんだ」

    悪魔「そりゃ来るゃ。こんな癒やしスポット魔界にはないし」

    悪魔「あ、隣良い?」

    天使「どうぞ」

    悪魔「んじゃ、失礼しまーす」ストン

    天使「……………」

    悪魔「……………」ゴロン

    悪魔「夜空に浮かぶお月さん。湖面に映って双子さんー」

    悪魔「広がる草原真ん中湖、湖畔で転がる天使と悪魔ー」

    天使「私は転がってないけど」

    悪魔「転がる悪魔ー、視線は天使、乳天使ー、おっぱいおっぱいおっぱいぱい」

    天使「おいセクハラ悪魔」





     
    2:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/14(金) 22:27:19 ID:xqlETJsU

    悪魔「なんて馬鹿言っても、キミは眉一つ動かさないわけで」

    悪魔「天使って表情無いのかよ、寂しいな」ケラケラ

    天使「怒ってほしいわけ?」

    悪魔「どちらかといえば笑ってほしい」

    天使「セクハラしといて何を言うか」

    悪魔「悪い、出来心だったんだ」

    悪魔「でも、俺は悪魔で男だから、あんまり無防備にしてると襲っちまうぞ」ケラケラ

    天使「ふんっ、へたれ悪魔に出来るものか」

    悪魔「お、言ったな。んじゃ試してやろうか」ニヤリ

    天使「さて、ここで無防備に寝ていた私の周りをぐるぐる歩き回ったあげく正座してヒトの寝顔を眺め最後には優しく上着をかけて去った悪魔はいったい誰だったのだろうか」

    悪魔「起きてたのかよ!」ガバッ

    天使「うん」

    悪魔「あああああぁああああ!!見られてた!俺の恥ずかしい一連の動き見られてたぁあぁああ!!」ゴロゴロゴロゴロ





    3:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/14(金) 22:30:06 ID:xqlETJsU

    天使「男として据え膳が何だって?」

    悪魔「すみませんすみませんへたれでいいです俺へたれでいいです」

    天使「別に襲っても良かったのに、」

    悪魔「え!?」

    天使「なんて言ったら?」

    悪魔「………天使さんは真顔で冗談言うから困る」

    天使「そうだよ、今のは冗談」
    天使「間違えても襲っちゃ駄目だ。君、死んじゃうよ」

    悪魔「あ、やっぱり?」

    天使「きっと辛い。繋がった所から君は天使の力に犯されるわけだ」ニヤリ

    悪魔「初の真顔以外の表情がここで出るか」

    天使「笑ってほしいのなら笑ってあげるよ」ニコッ

    悪魔「………………、」ポカーン

    天使「」ニコニコ

    悪魔「……………、」ポカーン





    4:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/14(金) 22:33:43 ID:xqlETJsU

    >>1初っ端から痛恨の誤字。そりゃ来るゃ×そりゃ来るよ





    5:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/14(金) 22:35:20 ID:xqlETJsU

    天使「黙ってないで何か言って。私がばかみたいじゃないか」

    悪魔「……あ、ごめん。見とれて言葉が出なかった」

    天使「…………、」フイッ

    悪魔「…………、」

    悪魔「照れてる?」

    天使「むかついたから照れ顔は見せない」

    悪魔「それは残念だ」





    6:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/14(金) 22:36:19 ID:xqlETJsU

     狭間の世界。

    悪魔「よっ、」

    天使「きたんだ」

    悪魔「そりゃ来るよ。天界にもないだろ?こんな癒やしスポット」

    悪魔「あ、隣良い?」

    天使「どうぞ」

    悪魔「じゃ、失礼します、っと」

    天使「…………」

    悪魔「…………」ゴロン

    天使「確かに無いかも。こんな癒やしスポット」

    悪魔「なんせ天界に俺はいないからな!」

    天使「一面に広がるこの夜空も、小さな世界を明るく照らす月の光も、水と草の匂いを運ぶ風も、」

    天使「地を覆うこの草だって柔らかくて、寝転がるには最適だし、」ゴロン

    天使「湖も、底が見える程澄んでいて、程良く冷たい」

    天使「何もかもが心地良い世界だ」





    7:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/14(金) 22:37:41 ID:xqlETJsU

    悪魔「………………、」ゴロゴロゴロゴロ

    天使「自分で言った冗談で恥ずかしがるなら最初から言うな」クスッ

    悪魔「俺の精一杯の冗談を物の見事にスルーしてさ、」

    天使「君はもういっそ笑えるぐらいそういった台詞が似合わないね」

    悪魔「口が上手いっていうか、冗談でもあんなのぽんぽん口に出来る奴って凄い」

    天使「憧れる?」

    悪魔「憧れる」

    天使「君はそのままで良いんじゃないかな」

    悪魔「そのままの俺が好きってこと?」

    天使「」ニヤニヤ

    悪魔「その笑いやめろってぇええ!!駄目だ俺やっぱ駄目だ!!」

    天使「駄目だね」

    悪魔「そのままの俺でいます!」

    天使「そうしてよ」クスクス





    8:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/14(金) 22:38:54 ID:xqlETJsU

     狭間の世界。

    悪魔「やぁ、」

    天使「きたんだ」

    悪魔「そりゃ来るよ。ここ好きだから」

    天使「私も好きだ」

    悪魔「…………」カァ

    天使「何故赤くなる」

    悪魔「熱があることにしておいてくれ」

    天使「なら計ってやろう」グイッ

     コツン

    悪魔「!!!!!!」
    悪魔(おでこをこつんだと!?)

    天使「ふむふむ、さらに赤くなり体温があがったと」ケラケラ

    悪魔「からかうのはやめろよ、ドキドキするだろ!」バッ ゴロゴロゴロゴロ

    天使「よし、ならばそのドキドキを計ってやろう」





    9:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/14(金) 22:40:17 ID:xqlETJsU

    悪魔「やめて!俺の理性がもたない!」

    天使「ならやめとくか」
    天使「君が死んでしまうから」ヘラリ

    悪魔(……触れるだけは平気なんだよな、)ゴロン

    悪魔「…………」ゴロゴロ

    天使「転がって近寄るのか君は」

    悪魔「…………」スッ

    天使「なんだ、手を出して。起こせというのか?」ギュ グイッ

    悪魔「っと、ありがとう」

    天使「どういたしまして」

    悪魔「…………、」ジー

    天使「どうした?自分の手をまじまじと見て」

    悪魔「……いや、さ」

    悪魔「キミに触れたいとは常に思ってるんだけどな、って」





    10:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/14(金) 22:41:00 ID:xqlETJsU

    天使「…………、」

    天使「それ、素?」

    悪魔「え、あ、何が?」

    天使「素の発言の方が脅威だ、」ボソッ

    悪魔「なんだよ、そっぽ向いてぼそぼそ言うなんて酷いぞ」

    天使「君といると調子が狂うって言った」
    悪魔「……何を今更、」

    悪魔「それはお互い様だろ?」ヘラリ





    11:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/14(金) 23:25:36 ID:xqlETJsU

     狭間の世界。

     サクサク
    悪魔(……魔界と天界の狭間に何やら空間があると思ったら、)

    悪魔(こんな世界があるとはな、)

    悪魔(……小さな世界だ。端から端が見える。広がる草原を、闇が囲んでいる)

    悪魔(光源は……空に浮かぶあの月か。アレもこの世界の一部、俺が知る月ではない)

     フワリ
    悪魔(ん?)
    悪魔(水の匂い。近くに水辺でもあるのか?)サクサク

    悪魔「あ、」

     チャプン

    悪魔(湖だ。底が見える程に澄んでいる、……おや?影湖面が月を映して、)フッ
    悪魔(どうやらこの世界の月は双子らしい、)

     チャプン

    天使「…………」ジー

    悪魔(視線を感じる、気配なんて無かったはず−−)

    天使「…………」ジー マッパ





    12:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/14(金) 23:26:53 ID:xqlETJsU

    悪魔「ぶっ!ちょえ、ああ!?ななななな、何で真っ裸なんだアンタ!!!」

    天使「水浴びしてたからに決まってる」チャプン

    悪魔「そうかごめん!!」グルッ ストン

    悪魔「後ろ向いてるから早く何か着てくれないか!」

    天使「断る」

    悪魔「何でだ!!」

    天使「水浴びしてると言った」

    悪魔「俺いるんですけど!!」

    天使「気にならないからいい」

    悪魔「気にしろよ!」

    天使「私は気にならない。そっちこそ気になるならずっとそのままでいれば良いじゃないか」チャプチャプ

    悪魔「ああああ!音って色々想像をかきたてられるよな!!!」

    天使「……………」ハァ
    天使「うるさい悪魔だな君は」





    13:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/14(金) 23:27:38 ID:xqlETJsU

     狭間の世界。

    悪魔「来たよ」

    天使「来たんだ」

    悪魔「お隣に失礼」ストン

    悪魔「…………」ゴロン

    天使「…………」

    悪魔「今日も綺麗なお月様だ」

    天使「そうだね」

    天使「…………、」
    天使「君との出会いを思い出していた」

    悪魔「」ブッ
    悪魔「その話はやめよう!思い出しちゃうだろ!俺モロに見ちゃったから!!」カァァァ

    天使「生娘じゃあるまいし、たかが思い出話で赤くなるな」ケラケラ

    悪魔「いやいや、真っ裸ですよ真っ裸。初対面が真っ裸とか天使さん」





    14:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/14(金) 23:28:53 ID:xqlETJsU

    天使「主にどこ見てた?」

    悪魔「お尻と太もも」

    天使「……用意していた台詞は、お気に召す胸でしたか?だったんだけど」

    天使「おっぱいおっぱい言ってたくせに……」

    悪魔「えっと……おっぱいも好きです」

    天使「…………」
    悪魔「…………」

    天使「……この話は止めようか」

    悪魔「賛成」





    16:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/15(土) 21:53:34 ID:xqlETJsU

     狭間の世界。

    悪魔「早いね、天使さん」

    天使「早いよ。なんせここに住んでるから」

    悪魔「マジで!?」

    天使「嘘に決まってる」ケラケラ

    悪魔「……天使さんは嘘つくの上手いよなー」

    天使「誉め言葉として受け取っておこう」ケラケラ

    悪魔「……ほんとに、変な天使、」

    天使「君こそ、変な悪魔じゃないか」
    天使「敵対してる天使に全く手を出さないなんて」

    悪魔「……いや、だって俺争い事嫌いだし」

    天使「悪魔なのに?」

    悪魔「皆が皆血気盛んだと思わないでくれよ」

    天使「そうか、ふふっ、そうだよな。悪魔にだって色々いるに決まってる」

    天使「君は争い事が嫌いで、穏やかで、実に悪魔らしくない」クスクス





    17:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/15(土) 21:55:57 ID:xqlETJsU

    悪魔「もし、さ」

    天使「?」

    悪魔「あの時俺が、敵対する通りの事をしていたら、君はどうした?」

    天使「応戦していた」

    悪魔「……その……真っ裸で?」

    天使「真っ裸で」

    悪魔「……俺悪魔にしては比較的穏やかで良かった……!!」

    天使「駄目か?真っ裸」

    悪魔「駄目だそれ絶対駄目だ!どっちが勝ってもなんかその後の展開的にマズい!!」

    天使「……よし、じゃあ一緒に、もしも、ということでその後の展開を想像してみようか」

    悪魔「想、像……?」
    天使「想像」コクン

    悪魔「…………………、」ソウゾウチュウ
    天使「…………………、」ソウゾウチュウ





    18:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/15(土) 21:58:57 ID:xqlETJsU

    悪魔「あああああああ」ゴロゴロゴロゴロ

    悪魔「やめよう、やめようこんな事!!」

    天使「……君は……その、意外と激しいんだね、」ポツリ

    悪魔「ああああああああああ!!!」ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ

    天使「おや、これはまた随分と遠くまで転がって」

    天使「無論、今のは戦いの話。勘違いしてはいけない」ケラケラ

    悪魔「…………」ゴロゴロ

    天使「それに、私と繋がると君は死んでしまうんだ。よもや忘れたわけじゃないだろう」

    悪魔「…………」ゴロゴロ

    悪魔「自分の煩悩が憎い」

    天使「その煩悩の刺激するのが楽しくて仕方ないんだがどうすればいい?」

    悪魔「畜生、絶対手ぇ出せないからって……」

    天使「精神を強くもて。さすれば動じることもない」

    悪魔「キミが言うか」





    19:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/15(土) 22:24:20 ID:xqlETJsU

     狭間の世界。

    悪魔「ふぁぁあ、」

    天使「大きな欠伸。眠いなら眠ってしまえばいいじゃないか」クスクス

    悪魔「……それもいいな、」ウツラウツラ

    天使「膝枕してあげようか?」

    悪魔「ん、頼む」

    天使「え!?」ビクッ

    悪魔「!!!」
    悪魔「いいい今の無し!!今の無しで!!!」

    天使「い、いやいやいや、受けてたとうじゃないか!なんせ自分で言い出した事だし!」ドキドキ

    悪魔「ボーっとしてる奴にそんな事言うから!言うから!!どうせからかったんだろまた!!」ドキドキドキドキドキドキ

    天使「ううううるさい!!さあ来い!!準備は出来ている!!」ドキドキ

    悪魔「ままままじかホントに膝枕してくれるんですか!!」ドキドキドキドキドキドキ

    天使「しつこいぞ!来いと言っている!」ドキドキ

    悪魔「わかりました!ではお膝をお借りさせて頂きます!!」ドキドキドキドキ





    20:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/15(土) 22:40:06 ID:xqlETJsU

    天使「…………」ドキドキ

    悪魔「…………」
    悪魔(膝枕、天使さんの生足に、頭をのせることになるなんて、)ドキドキドキドキドキドキ

     ソッ

    悪魔「……あ、あの……重くないですか」ドキドキドキドキドキドキ

    天使「……大丈夫。……そちらこそ、その、寝にくくは、ないですか」ドキドキ

    悪魔「柔らかくてすべすべで、最高だと思います、」ドキドキドキドキドキドキ

    天使「そんなことを訊いたんじゃないぞ……!!」カァァァ

    悪魔「!!天使さんまさか今赤くなってます!?」

    天使「うるさい見るな!!寝ろ!」グッ ドキドキ

    悪魔「ちょ、無理やり瞼閉じさせるのは!」バタバタ

    天使「何だ!君は目を開けたまま眠ると言うのか!!」ドキドキ

    悪魔「いやちゃんと目閉じて眠りますけど!!−−前々から言おうと思ってましたが天使さんの手もずっと触れていたくなるような感触で」
    天使「〜〜〜!!!もう喋るな!!次口を開いたら膝枕はやめるからな!!」ドキドキドキドキ





    21:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/15(土) 23:31:53 ID:xqlETJsU

    悪魔「!!」ピタッ

    悪魔「……………」

    天使「それで良し」

    悪魔「……………」

    天使「……………」

    悪魔「……………」

    天使「……………」ソッ

    悪魔(…………天使さんが、俺の頭を撫でている、)
    悪魔(だが襲い来る睡魔。くっ……髪をすくように撫でるもんだから、)
    悪魔(……心地良い、ん、だよな……)スゥ

    悪魔「…………」zzz

    天使「眠ったか、」ナデ ナデ

    悪魔「…………」zzz

    天使「…………眠ってるよな、」ナデ ナデ





    22:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/15(土) 23:32:56 ID:xqlETJsU

    悪魔「…………」zzz

    天使「ふふっ、我ながら、柄にでもないことをしている……」

    天使「……キミといると心が安らぐんだ」

    天使「ずっとこうしていたい、けれど」

    天使「…………、」

    天使「少しだけ、君と出会ってしまったことを、後悔しているよ……」





    23:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/15(土) 23:34:00 ID:xqlETJsU

     狭間の世界。

    悪魔「アンタ、ここにはよく来るのか?」

    天使「私だけの世界だった」

    悪魔「……なんか悪いな、見つけちまって」

    天使「いいさ。何時消えるともしれない小さな世界だ、」

    天使「もう一人ぐらい、覚えてくれる存在がいてもいいだろう」

    悪魔「そうか、」

    天使「…………」フィッ テクテク

    悪魔「!!待ってくれ!どこ行くんだ?」

    天使「天界」

    悪魔「……ああ、そうだよな。天使だから、もう帰るのか」

    天使「私はこの世界を十分満喫した。次は悪魔、お前が満喫したらいい」

    悪魔「……いや、俺も、今日は戻るよ」

    天使「?何故、」





    24:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/15(土) 23:35:47 ID:xqlETJsU

    天使「この世界は居心地が良いのに、」

    悪魔「それはわかってるけどさ、その……」

    悪魔「また来るよな、」

    天使「……私がか」

    悪魔「ああ」

    天使「……来るだろうな。満喫したのは今回の話。ここは私の唯一のお気に入りだ」

    悪魔「わかった」
    悪魔「今度、また、アンタがいる時にここに来るよ」

    天使「………………、」

    悪魔「……嫌なら来ない」

    天使「この世界は誰の物でもない。それこそ、神や魔王の、そのどちらでも」

    悪魔「…………そうか、なら、」

    天使「好きにしろ」テクテク

    悪魔「了解」クスッ





    25:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/16(日) 00:24:14 ID:xqlETJsU

     狭間の世界。

    悪魔「俺達の関係って何だろうな」

    天使「敵対関係。現在戦争中」

    悪魔「それは種族そのものの関係だろ?」

    悪魔「俺達は敵対なんかしてないし、ただ月見ながらゴロゴロして喋ってるだけだ」

    天使「…………そうだな、」

    天使「月見仲間、なんてのはどうだ」

    悪魔「月見仲間か。良いな、それ」

    天使「月見仲間といっても、この世界での話だ」

    天使「外に出れば、敵対関係になるのだろう。戦う相手だ、殺し合いをする相手だ」

    悪魔「そうなんだよなぁ、」

    悪魔「外の世界で……アンタとだけは、会いたくないよ」





    26:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/16(日) 00:24:58 ID:xqlETJsU

     狭間の世界。

    悪魔(そういえば、)
    悪魔(湖には一度も入ったこと無いな、)

    天使「…………」ジー

    悪魔(とりあえず指先だけ)チャプチャプ

    悪魔(お、冷たい)チャプチャプ

    天使「指先だけなど生ぬるい!」ドンッ

    悪魔「−−は?」

     バチャン

    悪魔「ぶはっ!湖に突き落とすなんて何考えて、」
    天使「そして私も行こう」バッ

    悪魔「−−へ?」

     バチャーン

    悪魔「」ブクブクブクブク

    天使「」ケラケラ

    悪魔「ぶはっ!!何してんの天使さん!!本当に何してくれてるの天使さん!!」





    27:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/16(日) 00:26:19 ID:xqlETJsU

    天使「そういえば湖に入ってる所見たこと無いなと思って」

    悪魔「無いけど突き落とすのは駄目だろ俺服着たままだよ!」

    天使「私も着たままだ。これでおあいこだ」キリッ

    悪魔「おあいこじゃねぇよ納得出来る要素が、ぁあああああ!!!!?」バチャバチャバチャバチャバチャバチャ

    天使「水の中というのになんという高速後ずさり。凄いな君は」

    悪魔「ふ服透けてますよ天使さん!!」

    天使「服?」チラッ

    天使「…………、」カァァァ

    天使「〜〜っ!!わかっててやったに決まっているだろう!!何を今更!!」

    悪魔「今の反応はわかってなかったろ!正直水に濡れたら服が透けるって事忘れてただろ!!」

    天使「ええい!それ以上言うな!!」バシャン

    悪魔「うおっ!?突き落としただけじゃ飽きたらず水までかけるか!!」

    天使「かかってこい悪魔!!どうせぐしょ濡れだ!」

    悪魔「おーけー!やってやるよ天使さんよお!!」バシャン





    28:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/16(日) 08:49:59 ID:xqlETJsU

    天使「くっ!」バチャバチャバチャン

    悪魔「なんのっ!!」バチャバチャバチャン

    天使「!!」バチャンバチャバチャバチャバチャバチャバチャバチャ

    悪魔「ちょ、ぶ、やりすぎやりすぎ」

    天使「なにこれ楽しい」バチャバチャバチャバチャバチャバチャバチャバチャバチャバチャバチャバチャバチャバチャバチャ

    悪魔「やりすぎだってのー!!!」フォン

     バシャン!

    天使「むむっ!魔法か!水の壁で防御とは!」

    天使「面白い!」フォン

     シュパッ バシャン

    悪魔「うああ!?壁が切れた!!?」
    悪魔「洒落にならない魔法使うなよ!当たったら死−−あれ?」

    悪魔「どこ行っ、」
    天使「」ニュ

    悪魔「おおおっ!?近い天使さん近」バシャン





    29:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/16(日) 08:51:08 ID:xqlETJsU

    悪魔「」ブクブクブクブクブクブク

    天使「ブクブクブクブク」ニヤニヤ

    悪魔「ぷはっ!」

    天使「ふふふ、私の勝ちだな!」ドヤ

    悪魔「もう天使さんの勝ちで良いよ」チラッ フィッ
    悪魔(服が張り付いて、身体のラインが丸わかりだ……)

    天使「…………、」ハッ!
    天使「……真っ裸を見られたんだ、これぐらい、恥ずかしくないから」ボソボソ

    悪魔「…………」ガッ

    天使「!!ななな何だ私の肩を掴んで!」

    悪魔「…………」ジー

    天使「……恥ずかしくなんかないぞ、」フィッ

    悪魔「天使さん、」

    天使「!!な、何だ、」

    悪魔「…………、遊びは終わり」グルン

    天使「む」





    30:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/16(日) 08:53:08 ID:xqlETJsU

    悪魔「さあ岸に戻りましょうねー」グイグイ

    天使「…………、押さなくても自力で戻れる」

    悪魔「また引きずり込まれたら俺もう我慢出来ないんだよ、ここはおとなしく従いなさい」グイグイ

    天使「…………」
    天使「…………、やりすぎた。すまなかった」

    悪魔「おー、」
    悪魔「天使さんは自分の可愛さをもう少し自覚しような」

    天使「……………、楽しいかなと思った」

    悪魔「楽しかったよ」ケラケラ

    悪魔「外の世界を一瞬忘れられるぐらいには、楽しかった」





    31:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/16(日) 09:07:11 ID:xqlETJsU

     狭間の世界。

    天使「……」

    天使「……………、」

    天使「…………………、」

    天使「最近、会わないな」

    天使「ここに来る度会えたのに、」

    天使「…………………」

    天使「死んでしまったのだろうか、」

    天使「いや、」

    天使「時間が合わないだけだ、」

    天使「………、こんなにも小さな世界だというのに」

    天使「君がいないと、広く感じるよ」

    天使「何故かな」





    32:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/16(日) 09:24:27 ID:xqlETJsU

     狭間の世界。

    悪魔「久しぶり」

    天使「久しぶり」

    悪魔「お隣失礼します」

    天使「ん」

    悪魔「…………」ゴロン

    悪魔「死んだかと思ってた?」

    天使「少しだけ」

    悪魔「そっか」
    悪魔「でも俺、結構しぶといからさ」ケラケラ

    天使「そう思って、」
    天使「もしかしたら、この世界に飽きただけなのかもと、」

    悪魔「それは無いよ。この世界に飽きることは絶対有り得ない」

    悪魔「だって、キミがいるから」

    天使「!」
    天使「〜〜〜、」グイグイ





    33:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/16(日) 09:25:21 ID:xqlETJsU

    悪魔「え、何?俺押しのけて何?近付くなってこと!?」

    天使「転がれ」グイグイ

    悪魔「ああ、うん。いいけど」ゴロゴロ

    天使「戻れ」

    悪魔「あ、うん」ゴロゴロ
    悪魔「えっと、何がしたかったんだ?」

    天使「その質問は禁ずる」ムゥ

    悪魔(何で怒ってるんだろう)

    天使「これが慣れか、それとも変わってしまっただけなのか、」ボソボソ

    悪魔「?」





    34:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/16(日) 10:50:29 ID:xqlETJsU

     狭間の世界。

    悪魔「久しぶり」

    天使「久しぶり」

    悪魔「…………」ストン

    天使「…………」

    悪魔「…………、」ゴロン

    悪魔「戦争、終わらないな」

    天使「そうだね」

    悪魔「何でみんな戦っちゃうかな」
    悪魔「俺争い事嫌いなのに、」

    天使「でも、君は生きている」
    天使「沢山殺したんだな」

    悪魔「うん。死にたくないから」
    悪魔「キミの同族を沢山屠ってきた」

    悪魔「俺を嫌になったならちゃんと言ってくれなきゃわからないぞ」ケラケラ

    天使「君に会えなくなる方が嫌だ」
    天使「それに、私も同じだ」





    35:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/16(日) 10:51:25 ID:xqlETJsU

    悪魔「うん、そうだろうな」

    悪魔「この馬鹿げた殺し合い、どうすれば終わるんだろう」

    天使「神か魔王、そのどちらかが死ねば終わるだろうな」

    悪魔「……そうだよな。魔王のせいだもんな」
    天使「神のせいでもある。私は神が大嫌いだ」

    悪魔「種族の長に嫌いなんて言ってやるなよ」ケラケラ

    悪魔「ま、俺も魔王は嫌いだけどさ」

    悪魔「最初から種族間の仲は最悪だったけど、まさかこうもこじれるとは」

    天使「神も魔王も馬鹿みたいに強すぎたんだ。だから勝てると思ったんだろう」
    悪魔「滅ぼせるって思っちゃったんだろうな」ケラケラ

    天使「外は、嫌いだ。嫌な世界だ、」

    天使「…………」
    悪魔「…………」

    悪魔「なぁ、」

    天使「?」





    36:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/16(日) 10:52:28 ID:xqlETJsU

    悪魔「どっちが勝つと思う?」

    悪魔「魔王と神が、戦ったらさ」

    天使「……魔王かな」

    悪魔「俺は神だと思うけど」
    悪魔「冷酷無比、慈悲の欠片も無い。出会った悪魔は生きて帰さない。滅茶苦茶に強い女神様だって聞いてる」

    天使「魔王だって同じだ。出会った天使は誰一人ヒトの形を保っていない。表情一つ変えず天使を殺すと」

    悪魔「伝わることはどの陣営でも同じってか」ケラケラ

    悪魔「でもさ、普通ここは自分んとこの長を推さない?」

    天使「私は神が嫌いだと、言ったじゃないか。君こそ、」

    悪魔「嫌いだな、魔王は」ケラケラ

    天使「……神は負けるよ。この戦争はきっと、天界側が負ける」

    悪魔「…………何で?」

    天使「………神は、」

    天使「天使と悪魔が争う外の世界が、大嫌いだからな」





    37:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/16(日) 17:13:05 ID:xqlETJsU

     狭間の世界。

    悪魔「てってれてってーてってれてってーてー」

    天使「なにそれ」

    悪魔「俺達って月見仲間なんだろ?だからこれ、」スッ

    天使「白くて丸い……一つ一つが一口サイズ。これは、何だ?」

    悪魔「わからん。下界で見つけたんだ。月見のお供なんだってさ、」

    天使「食べ物か」

    悪魔「そのようだ」

    天使「…………」

    悪魔「安心しろよ、毒は入れてない」ヒョイ パクッ

    天使「…………」

    悪魔「別に無理して食わなくても良いからさ。俺達戦争してるわけだし」モグモグ

    天使「」ヒョイパクッ
    天使「」モグモグモグモグ

    天使「…………」ゴクン





    38:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/16(日) 17:15:09 ID:xqlETJsU

    天使「」ヒョイヒョイパクッパクッ

    天使「」モグモグモグモグモグモグモグモグ

    悪魔「お気に召したようで、」ケラケラ ヒョイパクッ

    天使「」ヒョイヒョイヒョイパクッ
    天使「」モグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグ

    悪魔「口一杯に詰め込むなよ。顔凄いことになってるぞ」モグモグ

    天使「」モグモグゴクン

    天使「控えめな甘さだな。もちょもちょしていて美味い」

    悪魔「それは良かった」ヒョイパクッ

    天使「下界の物だと言ったな、」

    天使「よく行くのか?」

    悪魔「時々、な」モグモグ

    天使「ふぅん、」





    39:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/16(日) 17:17:00 ID:xqlETJsU

    悪魔「悪くないぞ、下界も」
    悪魔「ここには負けるけどな」

    天使「そうか、」

    悪魔「機会があれば行ってみるといい」

    天使「そうする」

    天使「……強いんだな、お前は。下界とこちらを無事に行き来出来るなんて」

    悪魔「まぁ、弱くはないつもりだよ」

    悪魔「アンタだって、そうだろ?」





    40:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/16(日) 17:17:51 ID:xqlETJsU

     狭間の世界。

    悪魔「なぁ、天使さん」ゴロン

    天使「何?」

    悪魔「もし、さ。もしの話なんだけど」

    悪魔「俺が一緒に逃げようって言ったら、逃げてくれるか?」

    天使「…………ぷっ」

    悪魔「わ、笑うなよ!」

    天使「っ、くく、あはは、あははははっ!!」

    悪魔「ここでこれまで一番の笑いをとってしまうか俺は」

    天使「ごめっ、ぷくく、ごめん……」ヒーヒー

    悪魔「畜生!呼吸困難起こす程か!」

    天使「はぁ、はっ、……ふぅ、」
    天使「すまん笑いすぎた」

    悪魔「いいんだ、ふふっ、俺の存在なんてさ」ズーン

    天使「落ち込むなよ。悪かったって」





    41:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/16(日) 17:23:05 ID:xqlETJsU

    悪魔「…………」

    天使「……じゃあ真面目に答えよう。君が本気で逃げようって言ってくれるなら、きっと私は頷いてしまう」

    天使「でも、」ヘラリ

    天使「私が逃げると神が追ってくる。到底逃げることは出来ないだろうね」

    天使「だから、そんな魅力的な話、私にするんじゃないぞ」

    悪魔「……魔王がいなくなれば、キミは自由になれるのかな」

    天使「……どうだろう。それはわからないな」

    天使「ああ、そうだ。一つ訊きたい。君は……神を殺せるか?」

    悪魔「……ははっ、何だよそれ」

    悪魔「無理だって、絶対無理。俺はそこまで強くない」

    天使「……そうか、そうだよな、」

    天使「君は優しいからな」





    43:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/16(日) 21:10:54 ID:xqlETJsU

     狭間の世界。

    悪魔「ここって、生き物がいないんだな」

    悪魔「こんなに澄んでいるのに、湖には何一つ動くものがいない」

    天使「ここは植物すら生きていない、この小さな世界の一部として、存在しているだけだ」ゴロン

    悪魔「アンタは、じゃないや。天使さんは長いのか?この世界を見つけて」

    天使「天使、さん?」ゴロリン

    悪魔「月見仲間にアンタ呼ばわりはどうかと思って。とりあえず敬意を払ってみた」

    天使「ふむ、なら私もお前から君にランクを上げようじゃないか。月見仲間だしな」ゴロゴロゴロゴロ チャプン ビクッ

    悪魔「そっか、ありがとな」

    天使「質問にも答えよう。長くはない、が……全力でくつろぐぐらいにはこの世界と付き合っている」チャプン チャプン

    悪魔「へぇ、」
    悪魔「だからそんなに自由なんだな」

    悪魔「周りを確認しないで転がるから、もう少しで湖に落ちてたぞ」
    悪魔「すでに足落ちちゃってるしな」

    天使「勘違いするな。故意的に落ちた」

    悪魔「……天使さんがそう言うなら、そういう事にしておくよ」ケラケラ





    44:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/16(日) 21:12:26 ID:xqlETJsU

     狭間の世界。

    天使「!」

    悪魔「……久しぶり」

    天使「久しぶり」
    天使「……初めてだね。君が先に来ているなんて」

    悪魔「最後だから、出来るだけ長くこの場所にいたかったんだ」

    天使「……っ、」
    天使「……隣、良いか?」

    悪魔「どうぞ」

    天使「…………」ストン

    悪魔「………………」
    天使「………………」

    天使「最後だからって、どういう」
    悪魔「天使さん」

    天使「…………何?」
    悪魔「頼みがあるんだ」





    45:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/16(日) 21:36:46 ID:xqlETJsU

    天使「言ってみろ」

    悪魔「三つぐらいあるけど、」ヘラリ

    天使「言うのはただだ。言ってみろ」

    悪魔「手、握らせてほしい」

    天使「いいだろう」スッ

    悪魔「ありがとう」ギュ

    悪魔「……天使さんの指、細いな」

    天使(お互いの指が、絡む)
    天使(こうして手を繋いだことは……今まで、一度も、無かったな)

    天使「…………次は?」

    悪魔「抱きしめさせてほしい」

    天使「っ…………」

    悪魔「駄目、か?」ヘラリ

    天使「…………構わない」ドキドキ

    悪魔「ありがとう」グイッ





    46:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/16(日) 21:38:28 ID:xqlETJsU

    天使「ひゃっ」トスッ

    悪魔「……………」ギュゥゥ

    天使「……………」
    天使「少し、痛い……」ドキドキ

    悪魔「ごめん。でも、もう少し、このままで」

    天使(……鼓動を感じる、)
    天使(なんだ、結局は君も、私以上にドキドキしているじゃないか)クスッ

    悪魔「天使さんは、温かいな」
    悪魔「それに、良い匂いがする……」

    天使「!」
    天使「そういうことは……言わなくていい……」

    悪魔「いやだって本当のことだし」
    天使「うるさいばか!耳元で喋るなばか!」

    悪魔「ごめんごめん」ニコニコ

    天使「……あと一つは?」

    悪魔「………、」

    天使「三つ目は、何だ?」

    悪魔「………、怒るなよ?」スルッ





    47:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/16(日) 22:19:11 ID:xqlETJsU

    天使「怒るか怒らないかは、その頼み事による」

    天使(……抱きしめていた腕が、緩んだ)天使(……君は何故、こんなにも穏やかに笑っている、)

    悪魔「………天使さん、」スッ
    天使「むぐっ」

    天使(なっ……!!)

    悪魔「…………、」ギュ
    天使「っ……んんっ……」バタバタ

    天使(これは、駄目だ、駄目だ駄目だ駄目だ!!)
    天使(抱きしめられて思うように動けない……!離さなければ、早く私から、)

    天使「ふっ……ん、だ……めっ、ぅんっ……」グイグイッ
    悪魔「…………っぐ、」ドクン

    天使(繋がるのは駄目だ、キスなんて、こんな長く……!!)

    天使「だめっ……んんっ、だめだっ……」グイグイッ
    悪魔「ぅ、ぐっ、」ドクンドクンドクン

    天使「……っは、駄目だ……!!」ドンッ
    悪魔「…………、」ゴポッ

    悪魔「………けほっ、」フラッ
    天使「!!」

    悪魔「」パタリ





    48:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/16(日) 22:41:05 ID:xqlETJsU

    天使「馬鹿だ、馬鹿だお前は……!!」ウルッ

    悪魔「…………、あ、」ゴポッ

    悪魔「君、から……お前、に……ランクが……下がった、な……」ヘラリ

    天使「お前なんか、もう貴様で十分だ!」

    悪魔「……うわぁ、……やっぱ……怒るよな、」スッ

    天使「なんだ貴様、手なんか伸ばして!私はここにいる!!」ギュ

    悪魔「……あー、天使さんは、そこにいる、のか……」ギュ
    悪魔「……げほっ、っぐ……声、上擦ってるな……泣いてたり、する……?」

    天使「……視えない、のか、」

    悪魔「……時間がたてば、回復、する……はず、だ」
    悪魔「……言ったろ……?俺、しぶとい、ん、だよ……」

    天使「…………、」ギュ

    悪魔「…………でも、まずい、な……これは、ちょっと……きいた、かも……」カクン

    天使(握る手から、力が−−)





    50:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/16(日) 23:40:14 ID:xqlETJsU

     狭間の世界。

    悪魔「…………、」

    悪魔「…………俺、どれぐらい意識飛んでた?」

    天使「……5分程」

    悪魔「そっか。ってうぉ!?」ゴロン

    天使「目覚めた貴様に貸してやる膝など無い!」キッ

    悪魔「天使さんの怒った顔、初めて見た」ムクッ
    悪魔「目、赤いな。……天使さんのせいじゃない。俺が勝手にしたことだから、気にしないでくれ」

    天使「気になどするものか!お前が……勝手に、やったことだろう……!!」

    悪魔「でも、ずっとしたかった事だ」

    天使「君は馬鹿だ!」

    悪魔「馬鹿でも良い。自分のしたことに後悔はない」
    悪魔「……君を泣かせてしまったことには後悔してるけど」

    天使「ふざけるな!次はない!!次やったら死ぬ寸前まで力を流し込んでやるからな!!覚えておけ!」

    悪魔「……了解。覚えておくよ」ヘラリ





    51:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/16(日) 23:41:25 ID:xqlETJsU

    天使「………………、身体は、」
    悪魔「ん?」

    天使「……身体は、もう、大丈夫なのか?」

    悪魔「大丈夫」スクッ
    悪魔「ほら、この通り。立って歩けるよ」

    天使「死なせてしまったと、思った」

    悪魔「死なないよ。天使さん自身に、今俺を殺す気がなかったんだし」

    悪魔「辛いのは覚悟してた。あんなに辛いとは思わなかったけど」

    天使「……君は、大馬鹿だ……君なんか……嫌いだ……」

    悪魔「俺は、天使さんのこと、」

    悪魔「…………」グッ
    悪魔(今更、言えるわけがない、)

    悪魔「−−三日後」

    天使「…………?」

    悪魔「魔界側が、全軍で天界に攻め込む。神がいる城を目指して、魔王と共に」

    悪魔「次の一戦で決める気なんだ。次で、天使と悪魔の存亡が決まる」





    52:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/16(日) 23:43:02 ID:xqlETJsU

    悪魔「天界側には止められない。魔界側は、城だけを目指す。神だけを目指す」

    悪魔「魔王と……神を、戦わせるために」

    悪魔「悪魔ってのは馬鹿でさ、魔王が勝つって信じてやまないんだ」

    悪魔「激しい戦いになるよ。きっと、沢山死ぬ。天使も、悪魔も、」

    天使「…………そんなこと、私に話していいのか」

    悪魔「駄目だろうな」

    天使「なら、どうして……!」

    悪魔「本気で考えてたんだ」
    悪魔「キミと一緒に逃げる方法」

    悪魔「どんなに考えても、駄目だった。逃げ切れなかった。これも、俺が弱いからだろうな」

    悪魔「天使さん、」

    天使「……君は、やっぱり、気付いて、」

    悪魔「ごめん、ありがとう」

    悪魔「さよなら」





    54:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/17(月) 22:45:26 ID:xqlETJsU

     三日後。
     天界最深部。

    魔王「…………、」ツゥ

    悪魔「魔王様。壁なんかなぞって、何か気になる事でも?」

    魔王「……………」

    悪魔「…………、」ジー
    悪魔(微かに魔法陣の一部が見える)

    悪魔「魔法陣、ですね。それも広範囲。破壊系……発動すれば、かなりの範囲が吹き飛ぶ」

    魔王「……当たりだ。目が良いんだな」

    悪魔「……お褒めにあずかり光栄です」

    魔王「本音はどうだかな」

    悪魔「………………、」
    悪魔(……バレてるのか、他の悪魔と違って、アンタのこと憎んでるって)

    魔王「俺の側付きだからってこんな所までついて来て」
    魔王「あわよくば殺してやろうと思ってるだろ」





    55:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/17(月) 22:46:13 ID:xqlETJsU

    悪魔「…………」

    魔王「まぁいいや。邪魔さえしなければ」

    悪魔(強さには自信があった。けれど−−コイツだけは、一瞬でも殺せるなんて思ったことはない)

    魔王「………………、」ザワザワ
    魔王「……神は、あっちか。空気が揺れてる、ははっ、呼んでるみたいだな」

    悪魔(でも、まだだ。諦めない)
    悪魔(相手は神だ、必ずチャンスはある)

    悪魔(コイツが死ななければ、この殺し合いは終わらないから)





    56:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/17(月) 22:47:17 ID:xqlETJsU

     天界最深部。


    天使「………………、」

    魔王「神はこの扉の向こうか」

    悪魔「!!」
    天使「……」チラッ フイッ

    悪魔(天使さん、)

    魔王「……俺が用があるのは神だけだからな。逃げるなら見逃してやるよ、」

    天使「馬鹿言え。貴様など女神様に会わせてたまるか」フォン パシッ

    悪魔(よりにもよって何でここにいるんだか、)

    魔王「剣、か……、まだ俺に挑む馬鹿がいたとはな」フォン パシッ

    魔王「来いよ、死に急ぎ野郎」

    天使「」ヒュン

    悪魔(速い、)





    57:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/17(月) 22:48:21 ID:xqlETJsU

     ガキィィィィン

    天使「………」ギリギリギリ
    魔王「………」ギリギリギリ

    悪魔(あの魔王に剣を受け止めさせた……!)
    悪魔(でも、)

    魔王「……、」スッ
    天使「!!」

     ガガガガガガガガガッ
    天使「くぅ、」ガガガガガガッ

    悪魔(駄目だ、手数が違いすぎる!)
    悪魔(………このままじゃ、)

    悪魔「…………」キッ

    魔王「勝てないってわかってるくせに、お前の目、諦めないんだな、」フォン

    天使「ちっ、」フォン
    天使(魔法−−障壁間に合うか!?)

     ズガガガガガガッ

    魔王「似たような目してる奴を知ってる」





    58:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/17(月) 22:50:58 ID:xqlETJsU

     ヴゥン
    悪魔「……………」
    悪魔(殺傷能力だけを極限までに高めた、大量の黒い棘、)
    悪魔(一つ一つが腹立つぐらい大きい。……障壁、間に合わなかったら天使さん大怪我じゃすまなかったな、)

    魔王「−−ちょうど目の前にいるな、」

    魔王「天使は皆殺しって命令、受けてるはずなんだが」

    悪魔「その命令自体気にくわないんですよね」

    魔王「背くわけか。−−なら、わかってるな、」ザワザワ

    悪魔「っ、」
    悪魔(これが魔王の殺意か、放出される魔力だけでも痛いな、)

    天使「お前……馬鹿か!何で庇った……!」
    悪魔「!?馬鹿とはなんだ!キミがやられそうになったからに決まってるでしょうが!」
    天使「庇えと頼んだ覚えはない!」

    悪魔「なら勝手に死にそうになるな!」
    悪魔「悪魔にだってね、恩を感じる心はあんのよ!!これで借りは無しだから!!」

    天使「とんだ大馬鹿だな!!こっちは助けたつもりなど、」
    悪魔「うっさいわね頭に石でも入ってんの?堅いにも程があるわ!!」
    天使「なんだと!?そっちこそ頭すっからかんなんじゃないか!?」

    魔王「ぷっ」
    魔王「くくっ、はははははは!!」





    59:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/17(月) 22:52:57 ID:xqlETJsU

    天使「!!」
    悪魔「!!」

    魔王「やけに仲良いんだな、天使と悪魔のくせに」

    悪魔「なによ、悪い?」
    悪魔「天使だって皆が皆悪魔敵視してるとでも思ってんの?魔王のくせに何もわかってないのね!」

    魔王「……………、」

    悪魔「私達悪魔だって皆が皆天使に敵意を持ってるわけじゃないのに!!アンタなんかがいたから天使嫌いの馬鹿が調子にのってこんな殺し合いが始まったのよ!!」

    魔王「…………、」

    悪魔「アンタなんか、」
    悪魔「さっさと死ねば良かったのよ!!」

    魔王「    、」フォン

    天使「!」ドンッ
    悪魔「きゃ、」

     ドスッ
    天使「っぐ!」ゴポッ

    悪魔「天使さ……っ」
    悪魔(地面から、棘……!!よくも、)





    60:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/17(月) 22:53:38 ID:xqlETJsU

    悪魔「やったなぁぁああ!!!」フォン
    魔王「…………」ガシッ

    悪魔(首を、)

    悪魔「はぅ……ぐ……」バタバタ
    魔王「…………」ギリギリギリ

    天使「くっ、そ……!!」フォン

    魔王「……お前は寝てろよ」フォン

    天使「っあああああああああ!!!!!」バリバリバリバリ

    悪魔(天使さん……!!)
    悪魔(くそっ、くそっ……!!何も出来ないまま死んでたまるか……!!)フォン





    61:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/17(月) 22:54:13 ID:xqlETJsU

    魔王「…………本当に、諦めないんだな」フォン

    悪魔(魔法が、打ち消さ−−)


    魔王「ごめんな、」フォン


    悪魔「!!!!!!!!」バリバリバリバリ

    悪魔「」ダラン


    魔王「……………、」ソッ


    悪魔「」
    天使「」


    魔王「死ねばいい、か」


    魔王「言われなくても、わかってるよ」





    62:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/17(月) 23:13:30 ID:xqlETJsU

     天界最深部。


    魔王「さっき、面白い奴らに会ったんだ」

    魔王「天使と悪魔なのに、仲が良さそうだった」

    魔王「隙あらば俺を殺そうとしてた側付きの女の子と、」

    魔王「ここで俺の前に立つってことは、天使はキミの側付きのヒトかな」

    魔王「俺が目の前にいて、尚且つピンチなのに言い争いしてるんだよ」

    魔王「必死に魔王やってたのに、我慢出来ずに笑っちまった」

    魔王「殺したつもりはないから、多分生き延びると思う」

    女神「そうか、」

    女神「だから君は、そんな酷い顔をしているんだな」

    魔王「わかってる事とはいえ、面と向かって言われるとそれなりにクるわけで」ヘラリ

    女神「……………」
    魔王「……………」

    女神「ここに来るのがキミじゃなければ良いのに、そう思っていた」

    魔王「俺も、勘違いであってくれ、ってずっと思ってた」





    67:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 20:40:07 ID:xqlETJsU

    魔王「………………」
    女神「………………」

    魔王「……俺さ、今は魔王なんて呼ばれてるけど、元々はどこにでもいる普通の悪魔だったんだ」

    魔王「どこにでもいる、ってのは違うか。どこにでもいる普通の悪魔より格段に強かったから、俺は魔王に担ぎ上げられた」

    魔王「求められていたのは魔王としての強さだけ。あとは……ただのお飾りだな」

    魔王「元の身分なんて最下層、上の悪魔が考えることなんてわからないし、わかる気もなかった。お飾りでいいと言われたから魔王の任に就いた。……文句なんてなかったよ、最初は」

    魔王「……気付いたら後戻り出来ない所まできていた。全部が全部、俺の命令として皆に伝わる。俺の知らない所で、俺は天使を殺せと言っていた」

    女神「……………」

    魔王「こうなったのは俺のせいじゃない、そう言って、逃げたかった。……でもさ、魔王は魔王なんだ」
    魔王「最初で俺が止めておけば、こんなことにはならなかったんだよ」

    女神「…………耳が痛いな」

    女神「……追ってくるのは、神や、魔王としての責任、か」

    魔王「逃げられるわけがないんだ」
    魔王「俺は弱いから、責任を放って逃げるなんて、出来ない」





    68:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 20:44:32 ID:xqlETJsU

    魔王「今は皆頭に血が上ってるから、ショックの一つや二つ受けてくれないと止まらない」

    女神「…………だから、私か君のどちらかが死ねば、か」
    女神「……本当に敵同士になってしまったな。……月見仲間は、あの小さな世界限定での話」

    魔王「……言ったじゃないか、外の世界でキミとは会いたくないって」

    女神「……思い出してみると、君の変わりようは凄いな。会う度に見せる表情が増えていった。雰囲気も会う度に緩んで、一緒にいて安らぐぐらい、穏やかになって」

    魔王「キミこそ、最初は無表情で変な天使だったくせに」
    魔王「ずっと一緒にいたいって思わせるぐらいに、変わってさ。いちいち可愛いんだよ、もう自重しろよってぐらいに」

    女神「ふふっ、言ってくれるね。可愛いなんて、君以外に言われたことはないよ。なんせ、こんな姿、君以外には見せないから」

    魔王「そっか、それは嬉しいな」

    女神「…………、」
    女神「因果なものだな。仲良くしていた相手は魔王か」

    女神「だが……狭間の世界、あの小さな世界を見付けた時点で、答えは出ているようなものか」

    女神「…………、駄目だ、」

    女神「君と長くいると、せっかくの覚悟が揺らいでしまう」





    69:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 20:47:29 ID:xqlETJsU

    魔王「…………、」

    女神「君は言ったな。自分に神は殺せないと」

    女神「そうだな。それは、そうだ」

    女神「だって君は、優しいから」

    魔王「…………っ、」

    女神「……身体、震えてる。おまけに、顔はさらに酷くなったな。今にも泣きそうじゃないか」ウルッ

    女神「どちらかが死ななければならないのなら、」
    女神「せめて私が、君の命をもらおう」

    魔王「………俺は、」
    女神「喋らないでくれ、」

    女神「私も泣いてしまうだろ?」

    女神「……キスというものは愛情表現のはずなのに、私と君とでは逆になってしまう」ソッ
    魔王「……………、」
    魔王(俺を抱きしめる手が、震えてるいる、)

    女神「……長くは苦しませないから、」
    魔王(−−唇が、重なる、)





    70:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 20:48:33 ID:xqlETJsU

    女神「…………、」
    魔王「…………、」ドクン

    女神「…………、」ポロッ
    魔王「…………、」ドクンドクンドクン

    女神(君の身体から、力が抜けていくのがわかる)

    女神「…………、」ポロポロ
    魔王「…………っあ、ぐ、」ゴポッ

    女神(−−血の味、)
    女神(もうすぐ君は、いなくなってしまうんだ)

    魔王「…………、」ドクンドクンドクン フォン
    女神「…………、」ポロポロ

    女神(ずっと言えなかった。口に出せば君をこの手で殺せなくなると思って)

    魔王「…………、」ドクンドクン グッ

    女神(−−君が、好きだ)

     ドスッ

    女神「…………、あ、」ゴポッ

    魔王「…………、」





    71:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 20:49:52 ID:xqlETJsU

    女神「……どう、して……?」
    女神(……胸から伸びる、この刃は、)

    魔王「…………、思ったんだ」ズルッ

    女神(きみの、もの………)フラッ

    魔王「キミが嫌いだっていうこの世界に、キミを一人残していくわけには……いかないって」グイッ ギュ

    女神「……………、」クスッ
    女神「……情けないな、私より泣いているなんて、」ポロポロ

    魔王「俺が格好良くない奴だって、キミは知ってるじゃないか」ボロボロ

    女神「……ああ、そうだったな」ポロポロ

    魔王「……安心、してくれ。キミが、ここに仕掛けた魔法陣でやろうとしていたことは、俺がやるよ……」ボロボロ

    女神「……なんだ、気付いて……」ポロポロ

    魔王「……だってさ、俺も同じの、仕掛けてきたんだ」ボロボロ

    女神「そうか……同じ考え、だったのか……」ニコッ





    72:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 20:53:22 ID:xqlETJsU

    女神「−−ああ、そうだ……君は、私に、頼み事をしたな……」
    女神「……私からも、一つ。頼みが、ある……」

    女神「笑ってくれ、」

    魔王「……………、」ボロボロ
    魔王「おう、」ヘラリ

    女神「……見事な、泣き笑いだ……」ヘラリ

    魔王「なんだよ、精一杯の笑顔なのにー」ボロボロケラケラ

    女神「ふふっ、………、」
    魔王(ああ、そうか)

    女神「……ありがとう、」
    魔王(本当に、俺は、)

    女神「あと、」
    魔王(キミを、この手で、)

    女神「……ごめん…………」
    魔王「…………っ、」ボロボロ

    女神「………………」

    魔王「…………ぅ、う、あ……、あああああああああ!!」ギュウ

    魔王(ごめん、は、俺を残して、逝くことか、)
    魔王(……最期の顔すら、もう、視えない)





    73:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 20:56:28 ID:xqlETJsU

    天界最深部。

     キィィィィィン ゴゴゴゴゴゴ

    魔王「……………けほっ、」ゴポッ
    魔王「…………」グイッ

    魔王(キミの死をキッカケにして展開を始めた、この大きな魔法陣)

    魔王「………………」フォン
    魔王(……範囲は急速に広がっていく。天界の半分に届く勢いだ)

    魔王(この魔法が発動すれば、その範囲を全て消し飛ばす)

    魔王(……そうだよな、俺達は、そう出来た悪魔でも天使でもないから、)
    魔王(もちろん、恨みはある。俺達がこうしないといけなかった、この世界に)フラッ

    魔王(…………まずいな、時間がない)トンッ
    魔王(壁を支えにしないと、自力で立っていることすら辛い)チラッ

    女神「」

    魔王(視力が回復することはもうないか、……当たり前だよな、気力で動いているようなものだし、)

    魔王(……とにかく、限界がくる前に、魔法陣をなんとかしないと)フォン

    魔王(こんなもの仕掛けるから、自己治癒に回す魔力がなくなるんだ)
    魔王(俺もだけどさ、)





    74:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 20:57:42 ID:xqlETJsU

    魔王「……………」フォン キィィィィィン

    魔王(−−やっぱり君も、本気で天界を壊す気はなかったということか、)
    魔王(でないと、外部からの刺激ですぐに威力を軽減できるようには仕掛けない)

    魔王(範囲は……天界の三分の一程度に、戦えない天使が避難している場所は最初から外すはず……さて、威力は、)

    魔王(……脅し、みたいなものだ、これは)

    魔王(神と魔王が戦えばこうなる、天使と悪魔が戦えば、いずれ必ずこうなる。そう知らしめるための、)

    魔王(種族間の争いが無くなることは難しい。けれど、これから先、こんな大掛かりな殺し合いだけは、させるわけにはいかない)

    魔王(……威力を軽減する気は無かったが……希望は見えたしな、)
    魔王(やっぱりいたんだ、種族が違っても仲良く出来る奴らは)

    魔王(威力は、半減する。俺から話を聞いたキミだって、きっとそうするだろう)キィィィン

    魔王(…………、指先の感覚が無い、)
    魔王(……急がないと、次は俺が魔界に仕掛けた魔法陣を……)フォン

     ドスッ ザシュ

    魔王「!!」

     ズルッ ボトッ

    魔王「…………、しばらくは、目覚めないと、思っていたが、」ズルズル





    75:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 20:59:01 ID:xqlETJsU

    悪魔「…………」ハァ ハァ
    天使「…………」ハァ ハァ

    魔王「……丈夫だな……お前ら……」

    魔王(急所を刺され、右腕は落とされたか、……もう、立てそうにない)
    魔王(……さて、魔界側は、どうやって止めようか)

    悪魔「トドメを刺さなかったことを、後悔することね……!」

    天使(……女神様、)タタタッ

    女神「」

    天使(……仇は、とりました……!)

    魔王「はは、そうだな……もう少し、痛めつける、べきだった……」
    魔王「……諦めなかった、お前等の、勝ち……だな」

    悪魔「……女神様には感謝するわ。命をかけて、アンタをここまで追い詰めてくれたんだから」

    魔王「………………、」

    悪魔「女神様のこの魔法、せめてアンタを道連れにしようと思ったのね。……天使だろうと悪魔だろうと、範囲内にいる何百人を犠牲にしてでも、」

    天使(……………、)
    天使(………、違う、)





    76:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 21:02:13 ID:xqlETJsU

    魔王「……そうだな、魔王と神が戦うということは、そういうことだ」
    魔王「……沢山死ぬ、おまけに世界が壊れる、それはそれは、悲しいこと、だな」ケラケラ

    悪魔「誰かが死ぬことがそんなに笑える?アンタって本当……最低ね」

    天使(……女神様は俺達天使を恨んでいた。俺達が無理やり、神の座においたから)
    天使(この魔法は女神様のものだ、しかし、範囲と威力を容易に書き換えられるよう作られている、)

    天使(そして、すでに書き換えられている。書き換えたのは、誰だ?)

    悪魔「アンタには苦しんで死んでほしかったけど、今すぐ息の根を止めてあげる」

    魔王「……どっちにしてももうすぐ死ぬんだがな」ケラケラ
    魔王「……まぁいい、俺を追い詰めたご褒美だ。受け取れよ」スッ

    天使(死に顔は、泣き濡れた、悲しい顔だ。それが、この世界を呪ってのものではないとしたら、)

    悪魔「なによ、腕なんかだして。そんなのいらないに決まってるじゃない」

    魔王「……いいのか?ご褒美と言っただろ?」
    魔王「……受け取らないならそれでいいさ。魔界に仕掛けた俺の魔法が、沢山殺すだけだ」ケラケラ

    魔王「……俺が死ねば、魔法は発動する。−−俺は悪魔の長だからな、俺が死ぬんなら、皆道連れになるのが当然だろ?」ケラケラ

    悪魔「アンタは、どこまでも……!」

    魔王「……ご褒美は、その魔法の支配権。この手を取れば、与えてやるよ」
    魔王「……まぁ、罠かもしれないわけだが」ニヤニヤ





    77:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 21:03:02 ID:xqlETJsU

    悪魔「……っ、」
    悪魔「わかった……受け取って、やろうじゃないの」スッ

    魔王「……死にかけを酷使するな、さっさと俺の手をとれ」フリフリ

    悪魔「…………まさかアンタ、」ソッ
    魔王「…………」ガシッ フォン

    悪魔「……くっ、」バチッ
    悪魔(魔力が流れ込んでくる……本当に、魔法の支配権だ。これで……止められる)

    悪魔(でも、どうして?……あの魔王が、わざわざ魔法の支配権を私に?)
    悪魔(考えてみれば、おかしい。どうして私達を生かした?−−あれはまるで、殺さないよう配慮した、攻撃、)
    悪魔(そして魔王は、目が視えていない)

    魔王「……受け取ったな?精々頑張って止めて見せろよ、」

    天使(あの魔王が、俺達の攻撃を防げ無かったのは何故だ?罠にしても、あの様子では本当に死ぬだろう)
    天使(死にたかったというのか?……それにしては、全く、俺達に気付いた素振りを見せたかった)

    悪魔(魔王に外傷は無かった。外傷無しに、私達が近付くのを気付けない程、追い詰めることなんて、)

    天使(−−女神様の傷は、胸を刺された傷の一つ限り。魔王と戦ったにしては傷が少なすぎる、)

    天使「まさか、」





    78:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 21:19:41 ID:xqlETJsU

    天使「……まさか、お前は……!!」

    魔王「…………」

    天使「お前、だったというのか、世界に絶望していた女神様を、救ったのは、」
    天使「支えていたのは、お前だったのか、」

    天使「女神様はお前のために、泣いていたのか……!!」

    魔王「…………、」

    悪魔「!!」
    悪魔(魔王は元々政治に参加しないお飾りだと言われていた)
    悪魔(表に引っ張り出されるようになったのは、戦争が始まってからだ)
    悪魔(それが、悪魔達を煽動するために、仕組まれたことだとしたら、)

    悪魔「説明しなさいよ、」
    悪魔「アンタは何がしたかったの!?」

    魔王「…………、」

    天使「女神様の魔法を書き換えたのは、お前だな、」
    天使「この魔法は、警告のつもりか。それぞれの長が死に、沢山の天使と悪魔が死に、土地にすら損害を与えたとあれば、」

    天使「どちらも、これほどの戦争を起こそうとは……もう、」





    79:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 21:26:43 ID:xqlETJsU


    魔王「…………、」
    魔王(−−何も、聞こえない)


    悪魔「……ふざけないでよ、」
    悪魔「何か、言いなさいよ……!!」


    魔王(……そうか。俺は、死ぬのか、)

    魔王(…………、)

    魔王(……そういえば、結局、言えなかった、な……)


    悪魔「言いなさいよ、ちゃんと……言ってから、死になさいよ、」

    悪魔「何でアンタ……泣いてるのよ……!!」


    魔王(キミが、好きだ、って)












    80:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 22:58:23 ID:xqlETJsU

    (昔から、同じ夢ばかり視ていた)

     いつかの未来。

     魔族領。某国。魔王城。


    魔王「お父さんは心配だ。お母さんも心配しているぞ」

    青年「……父上や母上に心配されるような覚えは無いのですが、」

    魔王「あるだろ。大きな問題があるだろ!!!」

    青年「……本当に、心当たりは無いのですが」

    魔王「……お父さんは怒らないぞ、お母さんも、お父さんと同じく覚悟はしている」

    青年「………?」

    魔王「正直に言ってくれ息子よ」

    魔王「お前ガチホモなの?男が好きなの?」

    青年「」ブッフォ
    青年「な、なななななな!!?いきなり何言って!?俺が、俺が……!?」

    魔王「どうなの?とーちゃん怒らないから正直に言おうよ」





    81:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 22:58:58 ID:xqlETJsU

    青年「全力で否定させてもらいます!誰がガチホモだって!?俺は女の子が心から好きだ!!」

    魔王「ほんとにほんと?」

    青年「この世界に神なんていないけど!誓ってやりますよ!俺は女の子が好きだ!」

    魔王「……ふぅ、」
    魔王「安心したわ」

    魔王「だってお前いい年して女遊びの一つもしないんだもん」
    魔王「私の息子だから寄ってくる女の子いっぱいいるのにまったく手出さないし、誘ってものらないらしいし」

    魔王「例えガチホモな息子でも私達の息子だって私かーちゃんと話し合って覚悟までしたんだぞ」

    青年「まったく、母上巻き込んで何やってるんですか、」ハァ

    魔王「しかし安心した!これで話は決まりだ!!あとはお前に行ってもらうだけだな」

    青年「……何の話ですか?」

    魔王「お見合いの話」

    青年「……誰の?」

    魔王「お前の」

    青年「……誰と?」

    魔王「魔族領唯一の若き女魔王。見た目お前の外見年齢よりちょっと下ぐらい。あとすごく可愛い。映像がこちら」フォン





    82:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 22:59:30 ID:xqlETJsU

    青年「映像魔法までして、って、マジで可愛い!!驚きの美女!!」

    魔王「とりあえずこの魔王とお見合いしてこい。あっちは小さい国だし気に入ったんならとーちゃんごり押しでお前の嫁にしてやるから」

    青年「それは遠慮します。こんなのはお互いの気持ちってものが、」

    魔王「私の息子なのに真面目なんだからなお前」

    青年「正直乗り気じゃないです」

    魔王「拒否は許さんぞ。明日にも女魔王がいる国へ発ってもらうからな」ニコニコ ザワザワ

    青年「…………笑顔で脅しますか」ハァ

    青年「わかりました。行きますよその国へ、してきますよお見合いを」

    魔王「可愛い嫁さんちゃんと連れて帰ってこいよ!」ニコニコ

    青年「善処します」ハァ





    83:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 23:00:08 ID:xqlETJsU

     人間領 勇者協会。
     地下の隔離部屋。

    勇者「おい見てるか相棒」
    相棒「見てる見てる。これはすごい」

    相棒「まさか勇者協会の地下にこんな部屋があって、」
    勇者「おまけに綺麗な女のヒトが捕らわれてるなんて、」

    美女「………………」

    勇者「表情無いな。生きてるのかな」

    相棒「首輪に手錠までして吊されてる、一種のプレイかな」

    勇者「お前どこでそんな言葉覚えたんだよ」

    相棒「私だってもう子供じゃないんだから、そっち方面も学ぶようにしてるんだ」

    勇者「マジか。−−そうだよな、俺達もう子供じゃないもんなぁ」ウンウン

    美女「…………ふふっ、」

    勇者「あ、笑った」
    相棒「笑うとさらに綺麗だねお姉さん」

    美女「綺麗、ね。ありがとう」
    美女「あと、プレイとかじゃないから。捕まってるだけだから」クスクス

    勇者「捕まってるってことは、お姉さん何か悪いことでもしたのか?」





    84:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 23:00:41 ID:xqlETJsU

    美女「……上司の息子と無理やり結婚させられそうになってね、嫌だったから拳で拒否したんだ」
    美女「その結果がこれだ」

    相棒「えー、それは拒否するよ拳出るよ」
    勇者「そうだそうだ。結婚ってのはお互い好きな者同士がするもんだと思います」

    美女「世の中全てがそうではないさ」

    勇者「……………、」シュン
    相棒「……………、」シュン

    美女「未来ある若者がそんな悲しそうな顔しちゃ駄目だ」クスクス

    勇者「……お姉さんだって、悲しそうな顔してるけど」
    相棒「まるで、自分に言ってるみたいだ」コクン

    美女「…………、目ざとい子達だ」

    勇者「……俺達さ、好きなヒトがいるんだ」
    勇者「ずっと一緒にいたいと思ってる」

    勇者「お姉さんは、そんなヒト、いないの?」

    美女「……いるよ」

    相棒「じゃあ、どうしてこんな所に?会いにいかないの?」

    美女「会えないとわかるのが怖いんだ。彼はもう、この世界にいないかもしれないから」





    85:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 23:03:04 ID:xqlETJsU

    相棒「それって確定なの?」

    美女「……いいや」

    勇者「じゃあ駄目だって、こんな所にいちゃ。会えないとわかるのが怖いなんておかしいよ、」

    勇者「ここにいることでもう会えなくなってしまう事の方が、怖いに決まってる」

    美女「…………、」
    美女「…………、確かに、そうだな」

    美女「目が覚めたよ。とりあえず、ここから、」

     ヒュン ガシャン ガシャン

    美女「……あ、」ガクン
    相棒「っと、お姉さんをキャッチ!」

    勇者「脱出すらなら協力するよ!」

    美女「…………、私を逃がしたとあれば、君達はもう人間領にはいられなくなる」

    勇者「全く問題ないよ。な、相棒」

    相棒「うん、そうだね。だって私達、魔族領に住んでるし」ニコニコ
    勇者「だから、人間領にいられなくなっても困らないんだ」ニコニコ





    86:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 23:03:50 ID:xqlETJsU

     魔族領。
     某国。魔王城。

    青年「お見合いかぁ、」ハァ

    双子妹「兄様ー!」ズタタタタ
    双子弟「兄様ー!」ズタタタタ

    青年「」ヒョイ

    双子「」ビターン

    双子妹「酷いですわ兄様!可愛い私達を壁に激突させるなんてっ!!」
    双子弟「酷いよ兄様!ほら見て僕達のおでここんなに赤い!」

    青年「はいはいごめんごめん」
    青年「でも兄ちゃんお前らにタックルされて倒れて頭割ったことあるから怖くてな」

    双子妹「過ぎ去った過去を何時までも!カッコ悪いです!ああそんなことより!聞きましたわ兄様!!」
    双子弟「他国の女魔王とお見合いするって本当ですか!?」

    青年「まぁ、うん。父上がなー、」
    青年「正直気がのらないんだけど、もう約束しちゃったみたいだし、行くしかないんだよ」

    双子妹「やだぁああああ!!やだやだやだやだあ!!嫌ですわ兄様行っちゃ嫌ですわぁああ!!」ジタバタ
    双子弟「兄様は僕達がかわいくないんですか!!こんなに慕ってるのにお婿に行ってしまうなんてー!!」ジタバタ

    青年「婿にいってもいいけど父上は嫁連れて帰れ言ってたからなぁ、」





    87:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 23:04:25 ID:xqlETJsU

    双子妹「連れ帰る!?でしたら安心です!!兄様童貞だからお嫁さんを連れて帰るなんて無理無理!!」キャッキャ

    双子弟「おまけにインポだからね!兄様をお婿さんにするなんて、相手の方からお断りだよ!!」キャッキャ

    青年「…………」
    青年「にいちゃんは耳おかしくなったのかな、今双子の兄妹の口から聞き慣れない言葉が、」

    青年「……にいちゃん怒らないから、ゆっくり、最初から言ってみなさい」

    双子妹「兄様は童貞」スパッ
    双子弟「おまけにインポ」スパッ

    青年「ゆっくりどころかはっきり即答で該当箇所完全に抜き出してるじゃないか!!」

    青年「つか子供がそんな言葉口にしちゃいけません!!それににいちゃんは……」

    双子「「童貞じゃないの?」」

    青年「……少なくともインポではないぞ、」

    双子妹「兄様は童貞」キャッキャ
    双子弟「兄様はやっぱり童貞」キャッキャ

    青年「にいちゃんはその……そういうのは、本当に好きなヒトとやるものだと考えていてだな、」





    88:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 23:04:49 ID:xqlETJsU

    双子妹「そんな事言ってー。兄様まだよく夢に出るっていう女のヒトのこと好きなんでしょ」
    双子弟「そりゃ好きになりますよ、その女性は、兄様の好みで形成されてるんですから。いい加減現実に戻って下さい」

    青年「う……」

    双子妹「それに、安心してよ!私達が兄様より強くなったら兄様を私達のお嫁さんにしてあげる!」
    双子弟「僕たち男女の双子でよかったです!例え兄様がガチホモでも対応できますから!」

    青年「だからにいちゃんはガチホモじゃないし、それに、兄妹で結婚は出来ないんだぞ」

    双子妹「でも私達血は繋がってないじゃない」
    双子弟「兄様は父様や母様から生まれたわけじゃないですもん」

    青年「なんだ、知ってたのか」

    双子妹「最初はショックでしたけど……兄様と結婚出来ることに気付いて私達歓喜しました!」
    双子弟「これで僕達がずっと一緒にいられると確定したわけです!」

    青年「ったく」ワシャワシャ

    双子妹「ふあっ!いきなり頭をわしゃわしゃしないでください!」ニコニコ
    双子弟「髪が乱れるじゃないですか!」ニコニコ





    89:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 23:06:03 ID:xqlETJsU

    青年「どうせお前等にも、いつか本気で好きになるヒトが出来るんだよ」
    青年「それまではブラコンでいさせてやるから」ケラケラ

    双子妹「へたれ童貞のくせにむかつきます」ムゥ
    双子弟「へたれ童貞のくせに調子にのってます」ムゥ

    青年「よく言うよな、お前等は」ケラケラ

    双子「「………………」」

    双子妹「出立は明日だとききました」
    双子弟「僕達は心配です。兄様が怪我しないか、ちゃんと帰ってくるのか、」

    青年「にいちゃんは強いから大丈夫だって、ちゃんと帰ってくる」

    双子妹「本当ですか?」

    青年「うん」

    双子弟「でも兄様、お見合いに乗り気でないというわりに」

    双子妹「すごく楽しみだっていう顔をしてますから」

    青年「あー、うん、なんつーかな、お見合い自体は嫌なんだけど、」


    青年「大切な誰かと、また会える、そんな気がして」





    90:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 23:06:39 ID:xqlETJsU

     人間領。
     勇者協会。

     ヴーヴーヴーヴーヴーヴー

    勇者「あ、警報だ」ケラケラ
    相棒「バレたみたいだね」ケラケラ

    美女「君達は、こんな時でも本当に楽しそうに笑うね」

    勇者「ああ!楽しい!」
    相棒「これから帰って、みんなに会えるって楽しみもあるからね!」

    美女「魔族領が、人間領と同じく国ごとに魔王をたてるようになったのは知っていたが……」
    美女「まさか勇者とその連れが、魔王と繋がっているとはね」
    美女「種族の差は気にならないのか?元は戦っていた相手だろう?」

    勇者「気にならないよ、まったく」
    勇者「だって俺、魔王様のこと好きだし」ヘラリ
    相棒「魔族だからなんだー、って感じだよ。魔族にだって良いヒトはいっぱいいるんだ」

    勇者「−−あ、もしかして、お姉さんが魔族領に行くのってまずい?」
    相棒「あ、そうだね。だってお姉さん天使さんだし」

    美女「……堕ちた天使を天使と見破ることは、普通天界の者にしか出来ないことだが」

    美女「どうやら君達は、私の予想をはるかに上回る力を持っているらしい」
    美女「協会の……私がいた場所に侵入した時点で、相当な手練れだとは思っていたけれど、」





    91:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 23:08:39 ID:xqlETJsU

    勇者「本当はさ、強そうなヒトがいる気がして、適当に突き進んでただけなんだ」
    相棒「怪我だらけでボロボロなお姉さんに今言っちゃうのもなんだけど、」

    相棒「怪我が治って元気になったら、」キラキラ
    勇者「俺達と闘ってほしいな、って」キラキラ

    美女「君達が言う戦いは、殺さない闘いなのか?」

    勇者「そうだよ当たり前じゃないか!」
    相棒「私達殺しとか嫌いだもんね!」

    美女「そうか、」クスッ

    美女「いいよ。受けて立とう」ニコリ

    勇者「やった!」ニコニコ
    相棒「やった!」ニコニコ

    勇者「ああ!そうだ、話を戻してお姉さん!魔族領にいっても大丈夫なのか?」
    相棒「すごく昔、魔族が悪魔って呼ばれてた頃、天使と悪魔が近付くと大変なことになるって、本で読んだことあるよ」

    美女「…………大丈夫だよ、アレは昔の話」
    美女「今は違う。それに私は堕ちた身だから、もう天界との縁は切れてる」





    92:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 23:10:19 ID:xqlETJsU

    勇者「そっか、じゃあ安心だ!」

    相棒「−−ねえお姉さん、追っ手をまいて落ち着いたら、会いたいヒトの話、聞いてもいい?」
    勇者「あ、それ俺も聞きたい」

    美女「…………、」クスッ
    美女「いいよ、話しても」

    美女「何故かな、君達と話してると、前向きになれる。世界が広がった気がするよ」

    勇者「そう言われるとなんだろう、嬉しいな」ニコニコ
    相棒「でもちょっとこそばゆいね」ニコニコ

    勇者「でもまずは!」フォン
    相棒「追っ手を振り切らなきゃ」フォン

    勇者「とばすよお姉さん!!」


    美女(根拠はない。けれど……、もうすぐ、会える気がしてきたんだ)

    美女(−−君に)



     −−再会まで、あと少し。


     おわり。





    93:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 23:12:33 ID:xqlETJsU

    誤字多いし大事な所で三つ分の台詞を抜かしてさらに不可解になったりしてるのに、読んでくれた人、ありがとう。羞恥心に耐えられたのはレスくれた人のおかげ。ありがとう。





    94:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/19(水) 23:17:16 ID:znm/jsYY

    乙!いい物語だった!

    でもひたすらイチャコラする蛇足も見たいなー(チラッ





    95:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/20(木) 16:19:11 ID:JcivyOOo

    おつ





    96:以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/20(木) 22:40:41 ID:zPn3mWfA

    乙乙




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